女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~薙side~
昼餉をいただいた後、綾菜様が作って下さった一覧表を片手に陸奥守さんと本丸内を訪ねて回った。主様は綾菜様と共に他の男士たちと交流をしている。私が集中して見て回れるようにする為の配慮だった。
私が立っている方向が次に向かう部屋だと教えてもらって、そちらを振り向いたと同時に誰かとぶつかってしまった。
「おっと」
「わっ」
「これは失礼。若鳥よ、怪我はないか?」
「へっ?あ、だ、大丈夫です。えっと…」
「怪我がなくて何よりだった。私は山鳥毛。上杉家御手選三十五腰のひとつと言われている。刀派は福岡一文字さ」
「こちらこそ失礼しました!私は紅葉薙、元薙刀の脇差です」
今まで見たことのない外見、聞いたことのない声色。自然と口調が変わってしまうほど彼の纏う雰囲気は独特で、今まで接してきた男士たちとは全く違う。貫禄があって、寛大。それが私が抱いた第一印象だった。
「小鳥から聞いていたが、こんなにも可愛らしい若鳥だったとは」
「小鳥…?」
陸奥守さんから「主のことじゃ」と小声で教えてもらい、直感的に“若鳥”が他の男士を指すことを知る。
「すまない、古臭いのでな。この言い回しをするのはお許しいただこう」
「素敵な表現だと思います」
率直な意見を述べたら少し恥ずかしそうに庭を見やった。つられて見ると、私たちの本丸と同じく手合わせをする元気な声が聞こえてきた。
「…して、若鳥はこれから我々のことも調べると聞いているが」
「はい。お時間をいただいても宜しいでしょうか」
「もちろん。同じ刀派の者たちを同じ部屋に集めてある。案内しよう」
何だか緊張してきた。急に心臓がばくばくとうるさくなって、助けを求めるように陸奥守さんを見ると「大丈夫ぜよ」とにかっと笑ってくれた。
「……」
これのどこが大丈夫なのだろうか。
案内された先には、更に独特な雰囲気の男士たちが揃っていた。この空間だけ明らかに別世界だ。
「失礼しました」
本能的に何かを察して、踵を返してしまうほど威圧的な男士ばかり。陸奥守さんに強制的に戻され、怠そうにしている男士…姫鶴一文字さんと、動じることなく正座する男士…日光一文字さん、そわそわと落ち着きのない男士…南泉一文字さん。それぞれのあまりのオーラに、色んな意味で怖くなった。
「俺たちのこと、調べるんじゃないの?」
姫鶴さんの声にびくりと肩が跳ねた。「怖がらせるな」と日光さんが注意しても反省する素振りもなくただ気だるそうにしているだけ。
「許してほしい、お嬢」
「お嬢?!」
“若鳥”、からの“お嬢”。見ずとも明らかに同じ家とゆかりがあったり何か繋がりはないように感じる。
…あった方がある意味怖い。
ここまで来て何もせずに「分かりません」は色々と怖い(主に姫鶴さん)。しっかりと調べなければ。
…というか私、さっきから「怖い」としか思ってない。
「まずは私からいこう。鳥たちよ、しっかりと見るように」
「お頭じゃなくてオレが最初にいく、にゃっ…」
「敬意を示すにはこれが妥当だろう」
「敬意?」
すっかり縮こまっている私の頭を撫で、そっと微笑んだ。
「若鳥は己の力で己を知ろうとしている。懸命に飛ぶ若鳥に敬意を示すのは自然だろう。私が若鳥を迎えに出たのもそういうことだ」
その言葉に日光さんも深く頷いた。だから私を“お嬢”と呼んだ…?のだろうか。
「さぁ、存分に見るといい」
「しし失礼します…」
御髪が乱れるのでは…。
髪に触れない程度に頭に手をかざし、集中する。
山鳥毛さんは上杉家とゆかりのある刀剣。…ということは、五虎退くんと繋がりもある。五虎退くんを見ても何も感じなかったから、恐らく彼とも繋がりはないだろう。それでも何か得られるものがあるかもしれないと山鳥毛さんの肩に手を置き、目を閉じた。
「……」
ふるふると小さく首を振った。
結論から言えば、4振りからは情報を得られなかった。ただ、日光さんからは神社で得た霊力を感じたので、尋ねてみると確かに神社にいた頃があったと教えてくれた。
神様やってました、って言ったら呼び方がまた変わりそうだから伏せておこう…。
「ありがとうございました」
日光さんに気付かれないうちにお暇しようと、しっかりと頭を下げる。
「仕方ないにゃ。紅葉薙、だっけ?紅葉薙が自分と向き合っているのはオレたちにも分かるにゃ。…何で“にゃ”が抜けないにゃ…?」
「私が見たせいですかね?!」
「気にしないでくれ。口癖が今日は強く出ているだけだ」
呆れてため息をつく日光さんに乾いた笑いしか返せない。…とにかく、皆さんには申し訳ないけどそろそろこの場を後にしないと私がもたない。色々と。
改めて礼を述べると、最初から最後まで気だるそうにしていた姫鶴さんが、流し目で私を見てぽつりと零した。
「…ま、頑張りなよ」
昼餉をいただいた後、綾菜様が作って下さった一覧表を片手に陸奥守さんと本丸内を訪ねて回った。主様は綾菜様と共に他の男士たちと交流をしている。私が集中して見て回れるようにする為の配慮だった。
私が立っている方向が次に向かう部屋だと教えてもらって、そちらを振り向いたと同時に誰かとぶつかってしまった。
「おっと」
「わっ」
「これは失礼。若鳥よ、怪我はないか?」
「へっ?あ、だ、大丈夫です。えっと…」
「怪我がなくて何よりだった。私は山鳥毛。上杉家御手選三十五腰のひとつと言われている。刀派は福岡一文字さ」
「こちらこそ失礼しました!私は紅葉薙、元薙刀の脇差です」
今まで見たことのない外見、聞いたことのない声色。自然と口調が変わってしまうほど彼の纏う雰囲気は独特で、今まで接してきた男士たちとは全く違う。貫禄があって、寛大。それが私が抱いた第一印象だった。
「小鳥から聞いていたが、こんなにも可愛らしい若鳥だったとは」
「小鳥…?」
陸奥守さんから「主のことじゃ」と小声で教えてもらい、直感的に“若鳥”が他の男士を指すことを知る。
「すまない、古臭いのでな。この言い回しをするのはお許しいただこう」
「素敵な表現だと思います」
率直な意見を述べたら少し恥ずかしそうに庭を見やった。つられて見ると、私たちの本丸と同じく手合わせをする元気な声が聞こえてきた。
「…して、若鳥はこれから我々のことも調べると聞いているが」
「はい。お時間をいただいても宜しいでしょうか」
「もちろん。同じ刀派の者たちを同じ部屋に集めてある。案内しよう」
何だか緊張してきた。急に心臓がばくばくとうるさくなって、助けを求めるように陸奥守さんを見ると「大丈夫ぜよ」とにかっと笑ってくれた。
「……」
これのどこが大丈夫なのだろうか。
案内された先には、更に独特な雰囲気の男士たちが揃っていた。この空間だけ明らかに別世界だ。
「失礼しました」
本能的に何かを察して、踵を返してしまうほど威圧的な男士ばかり。陸奥守さんに強制的に戻され、怠そうにしている男士…姫鶴一文字さんと、動じることなく正座する男士…日光一文字さん、そわそわと落ち着きのない男士…南泉一文字さん。それぞれのあまりのオーラに、色んな意味で怖くなった。
「俺たちのこと、調べるんじゃないの?」
姫鶴さんの声にびくりと肩が跳ねた。「怖がらせるな」と日光さんが注意しても反省する素振りもなくただ気だるそうにしているだけ。
「許してほしい、お嬢」
「お嬢?!」
“若鳥”、からの“お嬢”。見ずとも明らかに同じ家とゆかりがあったり何か繋がりはないように感じる。
…あった方がある意味怖い。
ここまで来て何もせずに「分かりません」は色々と怖い(主に姫鶴さん)。しっかりと調べなければ。
…というか私、さっきから「怖い」としか思ってない。
「まずは私からいこう。鳥たちよ、しっかりと見るように」
「お頭じゃなくてオレが最初にいく、にゃっ…」
「敬意を示すにはこれが妥当だろう」
「敬意?」
すっかり縮こまっている私の頭を撫で、そっと微笑んだ。
「若鳥は己の力で己を知ろうとしている。懸命に飛ぶ若鳥に敬意を示すのは自然だろう。私が若鳥を迎えに出たのもそういうことだ」
その言葉に日光さんも深く頷いた。だから私を“お嬢”と呼んだ…?のだろうか。
「さぁ、存分に見るといい」
「しし失礼します…」
御髪が乱れるのでは…。
髪に触れない程度に頭に手をかざし、集中する。
山鳥毛さんは上杉家とゆかりのある刀剣。…ということは、五虎退くんと繋がりもある。五虎退くんを見ても何も感じなかったから、恐らく彼とも繋がりはないだろう。それでも何か得られるものがあるかもしれないと山鳥毛さんの肩に手を置き、目を閉じた。
「……」
ふるふると小さく首を振った。
結論から言えば、4振りからは情報を得られなかった。ただ、日光さんからは神社で得た霊力を感じたので、尋ねてみると確かに神社にいた頃があったと教えてくれた。
神様やってました、って言ったら呼び方がまた変わりそうだから伏せておこう…。
「ありがとうございました」
日光さんに気付かれないうちにお暇しようと、しっかりと頭を下げる。
「仕方ないにゃ。紅葉薙、だっけ?紅葉薙が自分と向き合っているのはオレたちにも分かるにゃ。…何で“にゃ”が抜けないにゃ…?」
「私が見たせいですかね?!」
「気にしないでくれ。口癖が今日は強く出ているだけだ」
呆れてため息をつく日光さんに乾いた笑いしか返せない。…とにかく、皆さんには申し訳ないけどそろそろこの場を後にしないと私がもたない。色々と。
改めて礼を述べると、最初から最後まで気だるそうにしていた姫鶴さんが、流し目で私を見てぽつりと零した。
「…ま、頑張りなよ」
