女性審神者の名前です。
梅「審神者として出来ることは全てやらなきゃ」
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~薙side~
私は、体を拭いてもらっている時に“時間遡行軍”という歴史修正主義者たちと戦う為に顕現したのだと教わった。刀置き台にあるのが私の本体で、私自身は刀剣の付喪神。そうして人の身として顕現させたのは“審神者”と呼ばれる者で、今の主にあたるという。目の前にいる方も人間。私が目を覚ました時、人々が「主」と呼んでいたから私もそう呼ぶべきなのだろう。
目が覚めて食事を摂った後、主様の提案で立ってみた時に思ったのは、私はこの感覚を“知っている”、だった。刀置き台にあるようにただそこにいただけではなかったのはすぐに気付いたし、本来は皆のように誰かと何かの行動していたのも何となく分かった。けれど、それが朧気なのだ。覚えているような、覚えていないような。もどかしい気持ちだった。
そして私は今、話せない。それを悔しく思ったということは、元々は話せていたのだと思う。
「……」
「薙さん、どうしたんですか?」
前の主が新選組副長・土方歳三で、私と同じく脇差の堀川国広が部屋のあちこちを見る私に声を掛けた。“何をどこまで知っているのか分からない”とノートに書くと、「これは分かりますか?」と机に置かれた小さなものを指した。それが花瓶と3輪の花であることは分かるけれど、花の名前が浮かんでこない。私はこの花を見たことがあったんだろうか。花の名前だけ分からないと気付いてくれたようで、「水仙です」と教えてくれた。冬に咲く花なのだとも。
「お見舞いの花ですよ。江雪左文字、宗三左文字、小夜左文字。左文字三兄弟の3振りが薙さんに、って」
私への…?
自身を指す私に笑顔で続ける。
「みんな、薙さんのことを心配しているんです。みんな思いやりがあって、優しくて、楽しい人ばかりですから」
私は自分のことすら分からないのに、仲良く出来るのかな。
そんなことを思ってしまった。今の私は表情と筆談でしか思いを伝えられない。あまり顔に出さないようにした方がいいかもしれない。
自覚のある作り笑いに堀川くんは気付いたのか気付かないふりをしてくれたのかは分からない。「元気になったらみんなと話しましょうね」と笑顔で言ってくれた。そこでふと他のことに気付いて会話の方向を変えてみる。
“花をくれた方々は兄弟と言っていたけれど、堀川くんや他の人にもつながりがある人はいるの?”
「はい、いますよ。僕にも同じ“国広”の名前がついている刀剣がいて、僕も兄弟と呼んでいます。それと、さっきいた加州清光。加州さんの前の主は新選組の沖田総司です。大和守安定も同じ主で、すごく仲が良いんですよ」
他の新選組の繋がりとして、和泉守兼定、長曽祢虎徹もいると教えてくれた。
新選組は幕末に活躍した組織とも教えてくれたけれど、後世に語り継がれているというのにも関わらず聞いたことがない。主に京で活動していたというから、私はその地と縁がなかったとも言えるけれど…?
他にも長曽祢虎徹にも弟である刀剣が2振りいると聞いた。
私にも繋がりのある刀剣はいるのかな。
それを筆談で伝えてみると、少し困ったような表情を浮かべる堀川くん。どういうことなんだろうか。
「薙、実はね」
このやり取りを見ていたこんのすけが隣の部屋へ向かい、主様と何か話していた。そして私のところに来て事情を話してくれた。
「さっき話したとおり、女性の刀剣が顕現したのは薙が初めてなの。だから、まだみんなにはこのことを話してないんだ。みんなビックリして大騒ぎになっちゃうから」
…なるほど。私がこの部屋にいるのは調子が悪いだけではなくて、気を遣ってくれていたということなのか。
“主様のお気遣いに感謝いたします。ですが、私は皆様方に伝えても良いと思っています。もしかしたら、私とつながりのある刀剣がいるかもしれません”
「私もその可能性も考えていたんだけど、せめて薙の体調が良くなってからでも良いかなって思ってたんだ」
「主様は慎重に事を運ぼうとお考えでした。もし薙さんがそう仰るのであれば、選択を変えるのもありかもしれません。主様、如何いたしますか?」
「…分かった。明日の朝礼でみんなには私から伝えるね。こんのすけ、長谷部と清光を呼んできてくれる?」
「はい!」
こんのすけに呼ばれた2振りはすぐに来た。そうして私と主様の考えを伝えると、「主が決めたことならば」と賛成してくれた。
“長谷部さんも清光くんも、気を遣ってくれてありがとうございます”
「いいよ、気にしないで。でも薙が不調なのは変わらないから、この辺りでは静かにしとけってのは続けた方がいいかもね~」
「俺もそう思います」
「そうだね。みんなと会うのは急がなくてもいいし。薙はそれでいいかな?」
コクリと頷く。声に出せずとも「ありがとうございます」と口を動かした。そんな私の頭を主様が撫でてくれて何だか懐かしい気持ちになる。その懐かしい気持ちだけは忘れまいと、胸に手を当てて目を閉じた。
「さ、あと少しで夕餉だよ。一緒に食べようね」
「“女子会”になりそうだから、俺は安定とたーべよっと」
「なーぎ、元気になったら俺とも一緒に食べてよねー」とちょっと拗ねた様子で部屋を出て行った。それに長谷部さんと堀川くんが続き、時間になったら長谷部さんが私たちの食事を持って来てくれるという。
思いやりがあって、優しくて、楽しい人ばかりならきっと楽しい食事の時間を過ごせる。そう思ったら何だか心が温かくなった。
私は、体を拭いてもらっている時に“時間遡行軍”という歴史修正主義者たちと戦う為に顕現したのだと教わった。刀置き台にあるのが私の本体で、私自身は刀剣の付喪神。そうして人の身として顕現させたのは“審神者”と呼ばれる者で、今の主にあたるという。目の前にいる方も人間。私が目を覚ました時、人々が「主」と呼んでいたから私もそう呼ぶべきなのだろう。
目が覚めて食事を摂った後、主様の提案で立ってみた時に思ったのは、私はこの感覚を“知っている”、だった。刀置き台にあるようにただそこにいただけではなかったのはすぐに気付いたし、本来は皆のように誰かと何かの行動していたのも何となく分かった。けれど、それが朧気なのだ。覚えているような、覚えていないような。もどかしい気持ちだった。
そして私は今、話せない。それを悔しく思ったということは、元々は話せていたのだと思う。
「……」
「薙さん、どうしたんですか?」
前の主が新選組副長・土方歳三で、私と同じく脇差の堀川国広が部屋のあちこちを見る私に声を掛けた。“何をどこまで知っているのか分からない”とノートに書くと、「これは分かりますか?」と机に置かれた小さなものを指した。それが花瓶と3輪の花であることは分かるけれど、花の名前が浮かんでこない。私はこの花を見たことがあったんだろうか。花の名前だけ分からないと気付いてくれたようで、「水仙です」と教えてくれた。冬に咲く花なのだとも。
「お見舞いの花ですよ。江雪左文字、宗三左文字、小夜左文字。左文字三兄弟の3振りが薙さんに、って」
私への…?
自身を指す私に笑顔で続ける。
「みんな、薙さんのことを心配しているんです。みんな思いやりがあって、優しくて、楽しい人ばかりですから」
私は自分のことすら分からないのに、仲良く出来るのかな。
そんなことを思ってしまった。今の私は表情と筆談でしか思いを伝えられない。あまり顔に出さないようにした方がいいかもしれない。
自覚のある作り笑いに堀川くんは気付いたのか気付かないふりをしてくれたのかは分からない。「元気になったらみんなと話しましょうね」と笑顔で言ってくれた。そこでふと他のことに気付いて会話の方向を変えてみる。
“花をくれた方々は兄弟と言っていたけれど、堀川くんや他の人にもつながりがある人はいるの?”
「はい、いますよ。僕にも同じ“国広”の名前がついている刀剣がいて、僕も兄弟と呼んでいます。それと、さっきいた加州清光。加州さんの前の主は新選組の沖田総司です。大和守安定も同じ主で、すごく仲が良いんですよ」
他の新選組の繋がりとして、和泉守兼定、長曽祢虎徹もいると教えてくれた。
新選組は幕末に活躍した組織とも教えてくれたけれど、後世に語り継がれているというのにも関わらず聞いたことがない。主に京で活動していたというから、私はその地と縁がなかったとも言えるけれど…?
他にも長曽祢虎徹にも弟である刀剣が2振りいると聞いた。
私にも繋がりのある刀剣はいるのかな。
それを筆談で伝えてみると、少し困ったような表情を浮かべる堀川くん。どういうことなんだろうか。
「薙、実はね」
このやり取りを見ていたこんのすけが隣の部屋へ向かい、主様と何か話していた。そして私のところに来て事情を話してくれた。
「さっき話したとおり、女性の刀剣が顕現したのは薙が初めてなの。だから、まだみんなにはこのことを話してないんだ。みんなビックリして大騒ぎになっちゃうから」
…なるほど。私がこの部屋にいるのは調子が悪いだけではなくて、気を遣ってくれていたということなのか。
“主様のお気遣いに感謝いたします。ですが、私は皆様方に伝えても良いと思っています。もしかしたら、私とつながりのある刀剣がいるかもしれません”
「私もその可能性も考えていたんだけど、せめて薙の体調が良くなってからでも良いかなって思ってたんだ」
「主様は慎重に事を運ぼうとお考えでした。もし薙さんがそう仰るのであれば、選択を変えるのもありかもしれません。主様、如何いたしますか?」
「…分かった。明日の朝礼でみんなには私から伝えるね。こんのすけ、長谷部と清光を呼んできてくれる?」
「はい!」
こんのすけに呼ばれた2振りはすぐに来た。そうして私と主様の考えを伝えると、「主が決めたことならば」と賛成してくれた。
“長谷部さんも清光くんも、気を遣ってくれてありがとうございます”
「いいよ、気にしないで。でも薙が不調なのは変わらないから、この辺りでは静かにしとけってのは続けた方がいいかもね~」
「俺もそう思います」
「そうだね。みんなと会うのは急がなくてもいいし。薙はそれでいいかな?」
コクリと頷く。声に出せずとも「ありがとうございます」と口を動かした。そんな私の頭を主様が撫でてくれて何だか懐かしい気持ちになる。その懐かしい気持ちだけは忘れまいと、胸に手を当てて目を閉じた。
「さ、あと少しで夕餉だよ。一緒に食べようね」
「“女子会”になりそうだから、俺は安定とたーべよっと」
「なーぎ、元気になったら俺とも一緒に食べてよねー」とちょっと拗ねた様子で部屋を出て行った。それに長谷部さんと堀川くんが続き、時間になったら長谷部さんが私たちの食事を持って来てくれるという。
思いやりがあって、優しくて、楽しい人ばかりならきっと楽しい食事の時間を過ごせる。そう思ったら何だか心が温かくなった。