女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~薙side~
鳴狐さんにとって、私は姪。
理由を知って安心したようなちょっと複雑な気持ちの中、こんな私を姪と思ってくれているのが何だかこそばゆくて、それもあってか早くに目が覚めてしまった。厨当番もまだ起きる時間帯じゃない。
色々と思い巡らせつつ顔を洗いに部屋を出たら、心地良い朝の空気が私を包んでくれた。今は調子もいい。畑の様子を見るがてら少しだけ散歩をしようと、現世遠征で買った靴を履いてそこへと向かう。
もうこんなに育ってるんだ。
天気にも恵まれているし、薬研くんの薬品のおかげでもあるだろう。前回の畑当番の頃よりしっかりと育っている大豆の葉っぱを裏返して状態を見たり、そろそろ食べ頃になる野菜の献立を考えてみたりしているところに声を掛けられた。籠を持った歌仙さんだった。
「おはよう、薙」
「おはようございます」
何かしら手伝えることがあるだろうと歌仙さんと歩く。向かった先は大根の畑。採れたての野菜を使った料理は贅沢。それを引っこ抜きながら何に使うのか尋ねたら、昼餉に使うとのことだった。大根はどんな料理にも合うから私は好きだ。
「久々に会えたのだし、食べたいものがあるなら教えておくれ。僕が腕を振るって作るよ」
「えーっと…」
空を見上げて考えてみる。歌仙さんは雅を追求しているのもあってか、出汁が上品。…それなら。
「ふろふき大根…。あ、そぼろあんかけもいいですね」
「それならば、どちらかを作ろう。楽しみにしていておくれ」
そう、にっこりと優しい微笑みを見せてくれた。
…そうだ。
「…あの、歌仙さん。袴を貸していただけませんか?」
「お安い御用だよ」
一緒に歌仙さんの部屋へと寄る。早速それに着替えて準備を整えた。
「……」
さすがに朝が早すぎて岩融さんから本体は借りられないから、薙刀は稽古場にある木刀。姫様が私を大切に扱って下さったように、私もそれを思い出しながら裸足になって畑に再び足を踏み入れた。
今の私に出来ることはこの舞だけだと思っている。
みんなが美味しい食事を作れるように。
みんなが美味しい食事を楽しめるように。
たくさんの思いと共に舞った。この時だけは自分がかつて五穀豊穣の神であって良かったと思う。そうじゃなかったら、私は本当に何も役に立てない、迷惑しかかけていない刀剣。初めて自分の過去に助けられた気がした。
…もう1回。
舞っている間に少しだけ乱れた髪が、額に浮かんだ汗で張り付いても続けた。ほとんど部屋に籠っていたのもあってか、体力も落ちている。それを終える頃にはすっかり息も上がっていた。
「薙」
振り向いた先には、今度は陸奥守がいた。見慣れた手拭いを2枚持っていた。
「使いとーせ」
「ありがとう」
厨当番だったら既に厨にいるはず。こんな朝早くに陸奥守がもう起きているのを不思議に思いつつ、差し出してくれた手拭いで優しく汗を拭う。
「わしが思いよった以上に汗をかいちゅうね。内湯にでも入って来たらどうじゃ?」
白衣 がしっとりしているほど汗をかいていて、みんなが起きる前にシャワーを浴びようか、でも誰かに見られないかと迷っているところだった。「わしが見張っちゃるきね」と、その言葉に甘えて内湯へと向かった。あまり時間を掛けられないし、髪は部屋で乾かそうとドライヤーを借りてすぐに内湯を出た。
「なっ、薙!風邪をひいてしまうぜよ!時間はまだあるき、早う乾かしとーせ!」
顔を赤くした陸奥守に疑問符を浮かべつつ、「大丈夫だから」とそのまま2振りで部屋へと戻っている間も、陸奥守は顔を赤らめたまま私から視線を反らしている。汗を吸った白衣と袴、湯上りで着ていないジャージ、お風呂道具。意外と重い。何度か持ち直しながら廊下を進んでいると、曲がり角で薬研くんと鉢合わせた。
「っと、すまねぇ」
彼の目にはクマ。どうやら徹夜したみたいだ。
「薬研くんは研究?」
「あぁ、もうちょっとで新しい薬品が完成しそうでな。そんで気付いたら朝になってたってとこだ」
そんな会話をしている横にいる陸奥守は、顔がもっと赤くなっている気がする。そんな陸奥守をちらりと見やった薬研くんが、どういうわけか大きなため息をついて私を見た。
「…薙、その恰好で本丸をうろつくのは止めといた方がいいぜ」
「え?私、いつもの恰好だよ?」
更に浮かんだ疑問符に、2振りは顔に手を当てている。その理由がそれぞれ異なるのは分かった。
「とにかく、早う部屋に戻るぜよ…」
「う、うん…」
意味が分からず、それぞれが部屋に戻る。いない間に起きていたもふ丸にも、「まっ、まずは早く髪を乾かして下さいっ!」と言われたのは何でだろう…?
鳴狐さんにとって、私は姪。
理由を知って安心したようなちょっと複雑な気持ちの中、こんな私を姪と思ってくれているのが何だかこそばゆくて、それもあってか早くに目が覚めてしまった。厨当番もまだ起きる時間帯じゃない。
色々と思い巡らせつつ顔を洗いに部屋を出たら、心地良い朝の空気が私を包んでくれた。今は調子もいい。畑の様子を見るがてら少しだけ散歩をしようと、現世遠征で買った靴を履いてそこへと向かう。
もうこんなに育ってるんだ。
天気にも恵まれているし、薬研くんの薬品のおかげでもあるだろう。前回の畑当番の頃よりしっかりと育っている大豆の葉っぱを裏返して状態を見たり、そろそろ食べ頃になる野菜の献立を考えてみたりしているところに声を掛けられた。籠を持った歌仙さんだった。
「おはよう、薙」
「おはようございます」
何かしら手伝えることがあるだろうと歌仙さんと歩く。向かった先は大根の畑。採れたての野菜を使った料理は贅沢。それを引っこ抜きながら何に使うのか尋ねたら、昼餉に使うとのことだった。大根はどんな料理にも合うから私は好きだ。
「久々に会えたのだし、食べたいものがあるなら教えておくれ。僕が腕を振るって作るよ」
「えーっと…」
空を見上げて考えてみる。歌仙さんは雅を追求しているのもあってか、出汁が上品。…それなら。
「ふろふき大根…。あ、そぼろあんかけもいいですね」
「それならば、どちらかを作ろう。楽しみにしていておくれ」
そう、にっこりと優しい微笑みを見せてくれた。
…そうだ。
「…あの、歌仙さん。袴を貸していただけませんか?」
「お安い御用だよ」
一緒に歌仙さんの部屋へと寄る。早速それに着替えて準備を整えた。
「……」
さすがに朝が早すぎて岩融さんから本体は借りられないから、薙刀は稽古場にある木刀。姫様が私を大切に扱って下さったように、私もそれを思い出しながら裸足になって畑に再び足を踏み入れた。
今の私に出来ることはこの舞だけだと思っている。
みんなが美味しい食事を作れるように。
みんなが美味しい食事を楽しめるように。
たくさんの思いと共に舞った。この時だけは自分がかつて五穀豊穣の神であって良かったと思う。そうじゃなかったら、私は本当に何も役に立てない、迷惑しかかけていない刀剣。初めて自分の過去に助けられた気がした。
…もう1回。
舞っている間に少しだけ乱れた髪が、額に浮かんだ汗で張り付いても続けた。ほとんど部屋に籠っていたのもあってか、体力も落ちている。それを終える頃にはすっかり息も上がっていた。
「薙」
振り向いた先には、今度は陸奥守がいた。見慣れた手拭いを2枚持っていた。
「使いとーせ」
「ありがとう」
厨当番だったら既に厨にいるはず。こんな朝早くに陸奥守がもう起きているのを不思議に思いつつ、差し出してくれた手拭いで優しく汗を拭う。
「わしが思いよった以上に汗をかいちゅうね。内湯にでも入って来たらどうじゃ?」
「なっ、薙!風邪をひいてしまうぜよ!時間はまだあるき、早う乾かしとーせ!」
顔を赤くした陸奥守に疑問符を浮かべつつ、「大丈夫だから」とそのまま2振りで部屋へと戻っている間も、陸奥守は顔を赤らめたまま私から視線を反らしている。汗を吸った白衣と袴、湯上りで着ていないジャージ、お風呂道具。意外と重い。何度か持ち直しながら廊下を進んでいると、曲がり角で薬研くんと鉢合わせた。
「っと、すまねぇ」
彼の目にはクマ。どうやら徹夜したみたいだ。
「薬研くんは研究?」
「あぁ、もうちょっとで新しい薬品が完成しそうでな。そんで気付いたら朝になってたってとこだ」
そんな会話をしている横にいる陸奥守は、顔がもっと赤くなっている気がする。そんな陸奥守をちらりと見やった薬研くんが、どういうわけか大きなため息をついて私を見た。
「…薙、その恰好で本丸をうろつくのは止めといた方がいいぜ」
「え?私、いつもの恰好だよ?」
更に浮かんだ疑問符に、2振りは顔に手を当てている。その理由がそれぞれ異なるのは分かった。
「とにかく、早う部屋に戻るぜよ…」
「う、うん…」
意味が分からず、それぞれが部屋に戻る。いない間に起きていたもふ丸にも、「まっ、まずは早く髪を乾かして下さいっ!」と言われたのは何でだろう…?
