女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~清光side~
障子を開けたら、薙が鳴狐に抱きしめられてた。何が起こったのか尋ねたくても言葉が出ない。“言葉が出ない”っていうのはまさにこのこと。本当にそんな経験をするとは夢にも思わなかった。…状況が状況だけに。
「温かかった…」
どうにか話せるようになった薙から事情を聞いて、「そうだけどそうじゃない…」と頭を抱えた。
確かに食事を食べさせていることは伝えていたけど、それは手の震えが出てからであって、薙は最初から頼ってない。何をどうやったらそうなったのか、それは鳴狐に直接聞いてみないと分からない。
この件はちょーっと他の奴らには言えないかな。
乱ならまだしも、とにかく鳴狐は意外すぎた。
薙が主と風呂に行ってる間に、安定と色々と整理した結果。
「聞いて来る」
「聞いちゃうの?!」
「さすがにこのままだと、俺たちももやもやが消えないでしょ。薙もどうしたらいいのか分かんないみたいだし。ここは聞かないと」
「まぁ、確かにそうだけどさ…」
薙が風呂から戻ったら乱と少し話すことになってたから、粟田口の部屋に行って呼びに行くがてら、鳴狐にも声を掛けてみる。近侍のことだと思ったのか、すんなりと来てくれた。
「えーっと、さ」
「…?」
「鳴狐にとって、薙はどんな存在?」
「…姪」
待って、確かに一期たちは甥だけど(諸説あり)、何でそうなるの?
「と、刀派が分からないのに、姪なんだ?」
「皆が薙殿を姉と慕っているのもあります。刀派が不明だからこそ、鳴狐は薙殿を粟田口の一員として受け入れているのですよぅ。もし薙殿が刀派に属していなかったとしたら、尚更そうしたいと考えているのです」
「あー、なるほど、ね…?」
キツネは鳴狐が薙を抱きしめていたことは知らないはずだ。キツネには不自然に思われるのを覚悟の上で、みんなと遊んでていいよと伝えて、改めて尋ねてみる。
「薙を抱きしめたのは、薙がみんなを膝の上に乗せてたから同じようなことをしたかったってことで合ってる、よね?」
「…うん」
「水羊羹を食べさせてあげたのは?」
「…好きだから」
「好き?!」
思わぬ発言に思わず大きな声が出た。慌てて誰かいないか辺りを見回して、聞かれてないことに安堵する。
というか、落ち着いて俺。鳴狐は“姪”って言ったじゃんか。
「…あの水羊羹、鳴狐も好き」
「あ、あぁ、そーいうことね…」
俺も鳴狐とこうして話す機会はほとんどない。口数が少ない上に話し方が倒置法だし分かりにくい。
「…それに、薙、可愛かった」
「は?!」
「…いつもみんなに見せる表情とは違ったから、見れて嬉しかった」
「……」
「…変なこと、言った?」
首を傾げて放った無自覚発言。
「まぁ何というか、アレを見たのが俺と安定だけで良かった、かな…?」
「…そうなの?」
鳴狐、天然確定。
「薙の面倒を見てくれてありがと」とお礼を伝えて部屋に戻ろうとしたら、次郎太刀の店で1杯引っかけてきた陸奥守が呆然と突っ立っていた。
「かかか加州、今の話はほんまか?」
…しまった、聞かれてた。
どこから聞かれてたんだろ。
「鳴狐は、薙のことが好きながか…?」
あー、ピンポイントで聞かれてた。
1番誤解されるタイミング。口元をひきつらせた俺を見て「わしゃこれからどうしたらえいがや?!」と慌てふためいてて、軽く飲んできたせいで少し赤くなってる顔が、薄暗いこの場でも分かるほどに更に顔が赤くなっている。
「あー、違う違う」
事の経緯を説明してやると「そうやったがか」と大きなため息をついた。…抱きしめていたことは伏せといたけど。
これ知ったら陸奥守が壊れそう。
きっと他の奴らもそうなりそうだから、見たのが俺たちだけでホントに良かったと思う。
「そーいうことだから、安心して」
これ以上他の奴らに聞かれようものなら大騒ぎになっちゃうから、ひとまず部屋に戻ることに。
ちらりと陸奥守を見やると桜の木を眺めながら思い耽っている。誤解してあそこまで動揺してたのは何か理由がありそうだけど、そこは聞かないでおこう。
陸奥守の反応に逆に冷静になった中、陸奥守は自分の部屋へ、俺は薙にあの意味を説明しようと薙の障子を優しく叩く。
「鳴狐にとって薙は姪」であり、「本丸で1番の天然」と伝えると、薙は脱力して乱の膝に崩れた。
「あー…」
乱には心当たりがいくつかあるのか、顎に人差し指を当てて天井を見た。薙もどういうことなのか知りたくて、同じく粟田口の乱にアレを話したらしい。
「というか、薙さんもその部類に入ると思うんだけど」
「何かあったっけ…?」
「ほら、肩車のあれ」
どういうことなのか尋ねてみたら、枝に引っ掛かった竹とんぼを薙が鳴狐を肩車して取ろうとしていた、ということらしい。そこにすかさずツッコミを入れた長谷部が代わった、とも。
「そこはさー、脚立取りに行こーよ…」
「長谷部さんにもそう怒られた…」
「…だろーね」
「鳴狐さんもいいよって言ってくれたんだもん…」
いつだったか、薙が安定を膝に乗せていたことを思い出した。安定も安定で躊躇なく乗ってたし。
…つまり。
この本丸は天然が多い。
障子を開けたら、薙が鳴狐に抱きしめられてた。何が起こったのか尋ねたくても言葉が出ない。“言葉が出ない”っていうのはまさにこのこと。本当にそんな経験をするとは夢にも思わなかった。…状況が状況だけに。
「温かかった…」
どうにか話せるようになった薙から事情を聞いて、「そうだけどそうじゃない…」と頭を抱えた。
確かに食事を食べさせていることは伝えていたけど、それは手の震えが出てからであって、薙は最初から頼ってない。何をどうやったらそうなったのか、それは鳴狐に直接聞いてみないと分からない。
この件はちょーっと他の奴らには言えないかな。
乱ならまだしも、とにかく鳴狐は意外すぎた。
薙が主と風呂に行ってる間に、安定と色々と整理した結果。
「聞いて来る」
「聞いちゃうの?!」
「さすがにこのままだと、俺たちももやもやが消えないでしょ。薙もどうしたらいいのか分かんないみたいだし。ここは聞かないと」
「まぁ、確かにそうだけどさ…」
薙が風呂から戻ったら乱と少し話すことになってたから、粟田口の部屋に行って呼びに行くがてら、鳴狐にも声を掛けてみる。近侍のことだと思ったのか、すんなりと来てくれた。
「えーっと、さ」
「…?」
「鳴狐にとって、薙はどんな存在?」
「…姪」
待って、確かに一期たちは甥だけど(諸説あり)、何でそうなるの?
「と、刀派が分からないのに、姪なんだ?」
「皆が薙殿を姉と慕っているのもあります。刀派が不明だからこそ、鳴狐は薙殿を粟田口の一員として受け入れているのですよぅ。もし薙殿が刀派に属していなかったとしたら、尚更そうしたいと考えているのです」
「あー、なるほど、ね…?」
キツネは鳴狐が薙を抱きしめていたことは知らないはずだ。キツネには不自然に思われるのを覚悟の上で、みんなと遊んでていいよと伝えて、改めて尋ねてみる。
「薙を抱きしめたのは、薙がみんなを膝の上に乗せてたから同じようなことをしたかったってことで合ってる、よね?」
「…うん」
「水羊羹を食べさせてあげたのは?」
「…好きだから」
「好き?!」
思わぬ発言に思わず大きな声が出た。慌てて誰かいないか辺りを見回して、聞かれてないことに安堵する。
というか、落ち着いて俺。鳴狐は“姪”って言ったじゃんか。
「…あの水羊羹、鳴狐も好き」
「あ、あぁ、そーいうことね…」
俺も鳴狐とこうして話す機会はほとんどない。口数が少ない上に話し方が倒置法だし分かりにくい。
「…それに、薙、可愛かった」
「は?!」
「…いつもみんなに見せる表情とは違ったから、見れて嬉しかった」
「……」
「…変なこと、言った?」
首を傾げて放った無自覚発言。
「まぁ何というか、アレを見たのが俺と安定だけで良かった、かな…?」
「…そうなの?」
鳴狐、天然確定。
「薙の面倒を見てくれてありがと」とお礼を伝えて部屋に戻ろうとしたら、次郎太刀の店で1杯引っかけてきた陸奥守が呆然と突っ立っていた。
「かかか加州、今の話はほんまか?」
…しまった、聞かれてた。
どこから聞かれてたんだろ。
「鳴狐は、薙のことが好きながか…?」
あー、ピンポイントで聞かれてた。
1番誤解されるタイミング。口元をひきつらせた俺を見て「わしゃこれからどうしたらえいがや?!」と慌てふためいてて、軽く飲んできたせいで少し赤くなってる顔が、薄暗いこの場でも分かるほどに更に顔が赤くなっている。
「あー、違う違う」
事の経緯を説明してやると「そうやったがか」と大きなため息をついた。…抱きしめていたことは伏せといたけど。
これ知ったら陸奥守が壊れそう。
きっと他の奴らもそうなりそうだから、見たのが俺たちだけでホントに良かったと思う。
「そーいうことだから、安心して」
これ以上他の奴らに聞かれようものなら大騒ぎになっちゃうから、ひとまず部屋に戻ることに。
ちらりと陸奥守を見やると桜の木を眺めながら思い耽っている。誤解してあそこまで動揺してたのは何か理由がありそうだけど、そこは聞かないでおこう。
陸奥守の反応に逆に冷静になった中、陸奥守は自分の部屋へ、俺は薙にあの意味を説明しようと薙の障子を優しく叩く。
「鳴狐にとって薙は姪」であり、「本丸で1番の天然」と伝えると、薙は脱力して乱の膝に崩れた。
「あー…」
乱には心当たりがいくつかあるのか、顎に人差し指を当てて天井を見た。薙もどういうことなのか知りたくて、同じく粟田口の乱にアレを話したらしい。
「というか、薙さんもその部類に入ると思うんだけど」
「何かあったっけ…?」
「ほら、肩車のあれ」
どういうことなのか尋ねてみたら、枝に引っ掛かった竹とんぼを薙が鳴狐を肩車して取ろうとしていた、ということらしい。そこにすかさずツッコミを入れた長谷部が代わった、とも。
「そこはさー、脚立取りに行こーよ…」
「長谷部さんにもそう怒られた…」
「…だろーね」
「鳴狐さんもいいよって言ってくれたんだもん…」
いつだったか、薙が安定を膝に乗せていたことを思い出した。安定も安定で躊躇なく乗ってたし。
…つまり。
この本丸は天然が多い。
