女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
空欄の場合はデフォルト名になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~堀川side~
「えっ、どうなってるの…?」
この日は僕と兼さんが薙さんと過ごすことになっていて、少しでも夢と“声”のことを忘れられるようにトランプで遊ぶことにした。
その前に薙さんに見せたのはトランプを使ったマジック。薙さんの手のひらに乗せた3枚のカードのうちの1枚が最初に僕が見せたものに変わっている、というものだ。
タネも仕掛けもない至って普通のトランプを、薙さんが角度を変えたり裏と表を何度も見るその姿はいつも通りで、僕たちが良く知る薙さんだった。
「私にも出来る?」
「すみません、このネタを知るのは兼さんと僕だけなんです」
もふ丸のように頬を膨らませた薙さんに安堵したのは兼さんも同じみたいで、兼さんにしては珍しい微笑みを薙さんに向けていた。
「じゃあ、今度こそトランプで遊びましょう。薙さん、何にしますか?」
「ババ抜き?」
「よーし、いっちょやってやろうじゃねぇか!」
―数十分後。
「薙…、弱すぎねぇか…?」
机に突っ伏した薙さんの手からジョーカーがはらりと落ちた。3戦して3回とも薙さんの手元にはジョーカーが残り続けて、まるで好かれているかのようだ。
後でおやつ買って来た方がいいかな…。
今日はおやつがない日。兼さんも僕も常備しないタイプだから、必要なら万屋に行くしかない。
「薙ー、入ってもいい?」
ババ抜きで勝てないならジジ抜きにしようと提案したところで、障子の向こうから加州さんから声が掛かった。何かを持っているみたいだ。
「はい、江雪たちから」
「わぁ、キレイに咲いたんだね」
笑顔で受け取って早速机に飾った花は現世遠征で買って来たものだと教えてくれた。気に掛けてはいたものの、「この調子だから見に行きたくても行けなかった」と小さく撫でた。
「…で、みんなは何してたの?」
「ババ抜き、なんですが…」
「薙が驚くほど弱ぇんだよ」
「あーあ…。この間も粟田口の奴らとやって負けまくってたじゃん。薙も懲りないね」
「良かったら加州さんも遊びませんか?人数が多い方が楽しいですし」
「仕方ないなー」と空けたスペースに腰を下ろした。何だかんだ嬉しそうだ。
「安定くんは?」
「あいつは今日厨当番」
そうか、薙さんは一緒に過ごすのを僕たちだけにしているのを知らないんだった。そして僕たちがここにいる分、内番をみんなで回していることも知らない。薙さんがそれを知ったら思いつめちゃうから、ここは隠し通さなきゃならない。
「そっか…」としょんぼりする薙さんが被ったカードを置いていくのを横目に加州さんと頷き合った。
それでも、一緒に過ごす人が固定されていたら薙さんが勘づいてしまう可能性も拭えない。様子を見て人数を増やすことも検討している。
「やった、上がりっ!」
しばらくして、薙さんがとっても嬉しそうにカードを机に置いた。
「ウソだろ?!」
ババ抜きのあまりの弱さに油断していた兼さんが手元のカードと机に置かれたカードを交互に見た。まだ僕も加州さんもカードがある。勝負はまだどうなるか分からない。
「当たりはどれかな」
白熱していく戦いに両手で頬杖をついてにこにこと見守る薙さん。もふ丸もちょろちょろと動き回って僕たちのカードを見て、「まだ分かりませんねぇ」と僕の肩に乗った。
その時だった。
「っ…!」
「薙?!」
顔を歪めて頭を押さえた。何かが見えたのか、目をぎゅっとつぶって見えているものをちゃんと見ようとしている、そんな顔だった。
「だ、れ…」
「薙、しっかりしろ!」
「だい、じょ…うぶ、“声”、じゃ…ない、です…」
「“声”じゃない…?」
カードを放り投げた加州さんが薙さんの背中を擦る。僕は震える手を握って薙さんの言葉を待った。
「姫様…?」
僕の手を握る薙さんの握力が強くなってきて、更に手を重ねた。
「何か、視線を感じる…。すごく私を妬んでる、そんな感じ…」
荒くなり始めた呼吸に深呼吸で落ち着かせようとする薙さんの様子に、万が一に備えて兼さんが身構える。
「やだっ、何でっ…!」
「大丈夫だよ、薙。薙はそこにはいない。俺たちと一緒にここにいるから…!」
「何で、私何もしてないよ…!」
「大丈夫、俺たちはここにいるよ」
僕の手が痛くなるぐらい握力が強くなって、それだけ薙さんは必死に抗っているのが嫌というほど伝わってきた。加州さんも体が震えだした薙さんを横から抱きしめて、「大丈夫」と何度も言い聞かせて頭を撫でる。それでも呼吸は荒くなる一方だ。
それからどれぐらい経ったんだろう。過呼吸に陥った薙さんが気を失って、抱きしめていた加州さんが受け止めた。
「薙さん…」
「…ひとまず、寝かせねぇとな」
「そーね…」
薙さんを布団に寝かせて、これまでの間にお香が消えていたことに気付いた兼さんが新しく火を点ける。そこに主さんと鳴狐さんがやって来た。
「ごめん、間に合わなかった…!」
「大丈夫、今回は大事には至らなかったから」
昼餉が近いせいか、いつも聞こえてくる手合わせの掛け声が聞こえなくなっていた。みんなは思い思いに過ごしているはずなのに、この部屋だけが切り取られたかのように静寂に包まれている。
「長義様から連絡があったの」
「どういうこと?」
「歴防本部で薙を直接調べたいって」
「そんな…!そんなことしたら薙さんがどうなるか…!」
歴防の関係者が何をどこまで考えているのかは分からないけれど、きっと調べるだけでは終わらないことだけは容易に想像出来た。
「一部でその話が出ているとのことですが、長義様が止めていると仰っておりました」
「あいつが止めてくれてるなら安心、か…?」
長義さんも同じく刀剣男士なのもあってか、歴防関係者であっても立場は僕たち寄りだ。フィルター役になってくれていると言ってもいい。
「状況次第では水心子様も清麿様も、朝尊様も肥前様も動いてくれるって」
「肥前が?意外じゃん」
「肥前様も肥前様なりに思うことがあるんだと思うよ」
「朝尊が何か変なこと考えてなきゃいいけどねー」
「私もそれは否めないんだけど」とさらっと失礼なことを返しつつ、「朝尊様も朝尊様なりに考えがあるって思おう」と薙さんの髪を梳いた。
「まぁ、長義さんは怒ったら怖いですからね。清麿さんもああ見えて怒らせちゃいけないタイプみたいですし」
「それを言ったら主もだろ…」
「そう?」
そんな主さんは過去に歴防に対して怒ったことがあった。けれど、(どういうわけか)それを知った遊玄様が主さん以上に怒って殴り込みに行ったぐらいの大事になったから、何が起こったのかは言わないでおこう…。
「えっ、どうなってるの…?」
この日は僕と兼さんが薙さんと過ごすことになっていて、少しでも夢と“声”のことを忘れられるようにトランプで遊ぶことにした。
その前に薙さんに見せたのはトランプを使ったマジック。薙さんの手のひらに乗せた3枚のカードのうちの1枚が最初に僕が見せたものに変わっている、というものだ。
タネも仕掛けもない至って普通のトランプを、薙さんが角度を変えたり裏と表を何度も見るその姿はいつも通りで、僕たちが良く知る薙さんだった。
「私にも出来る?」
「すみません、このネタを知るのは兼さんと僕だけなんです」
もふ丸のように頬を膨らませた薙さんに安堵したのは兼さんも同じみたいで、兼さんにしては珍しい微笑みを薙さんに向けていた。
「じゃあ、今度こそトランプで遊びましょう。薙さん、何にしますか?」
「ババ抜き?」
「よーし、いっちょやってやろうじゃねぇか!」
―数十分後。
「薙…、弱すぎねぇか…?」
机に突っ伏した薙さんの手からジョーカーがはらりと落ちた。3戦して3回とも薙さんの手元にはジョーカーが残り続けて、まるで好かれているかのようだ。
後でおやつ買って来た方がいいかな…。
今日はおやつがない日。兼さんも僕も常備しないタイプだから、必要なら万屋に行くしかない。
「薙ー、入ってもいい?」
ババ抜きで勝てないならジジ抜きにしようと提案したところで、障子の向こうから加州さんから声が掛かった。何かを持っているみたいだ。
「はい、江雪たちから」
「わぁ、キレイに咲いたんだね」
笑顔で受け取って早速机に飾った花は現世遠征で買って来たものだと教えてくれた。気に掛けてはいたものの、「この調子だから見に行きたくても行けなかった」と小さく撫でた。
「…で、みんなは何してたの?」
「ババ抜き、なんですが…」
「薙が驚くほど弱ぇんだよ」
「あーあ…。この間も粟田口の奴らとやって負けまくってたじゃん。薙も懲りないね」
「良かったら加州さんも遊びませんか?人数が多い方が楽しいですし」
「仕方ないなー」と空けたスペースに腰を下ろした。何だかんだ嬉しそうだ。
「安定くんは?」
「あいつは今日厨当番」
そうか、薙さんは一緒に過ごすのを僕たちだけにしているのを知らないんだった。そして僕たちがここにいる分、内番をみんなで回していることも知らない。薙さんがそれを知ったら思いつめちゃうから、ここは隠し通さなきゃならない。
「そっか…」としょんぼりする薙さんが被ったカードを置いていくのを横目に加州さんと頷き合った。
それでも、一緒に過ごす人が固定されていたら薙さんが勘づいてしまう可能性も拭えない。様子を見て人数を増やすことも検討している。
「やった、上がりっ!」
しばらくして、薙さんがとっても嬉しそうにカードを机に置いた。
「ウソだろ?!」
ババ抜きのあまりの弱さに油断していた兼さんが手元のカードと机に置かれたカードを交互に見た。まだ僕も加州さんもカードがある。勝負はまだどうなるか分からない。
「当たりはどれかな」
白熱していく戦いに両手で頬杖をついてにこにこと見守る薙さん。もふ丸もちょろちょろと動き回って僕たちのカードを見て、「まだ分かりませんねぇ」と僕の肩に乗った。
その時だった。
「っ…!」
「薙?!」
顔を歪めて頭を押さえた。何かが見えたのか、目をぎゅっとつぶって見えているものをちゃんと見ようとしている、そんな顔だった。
「だ、れ…」
「薙、しっかりしろ!」
「だい、じょ…うぶ、“声”、じゃ…ない、です…」
「“声”じゃない…?」
カードを放り投げた加州さんが薙さんの背中を擦る。僕は震える手を握って薙さんの言葉を待った。
「姫様…?」
僕の手を握る薙さんの握力が強くなってきて、更に手を重ねた。
「何か、視線を感じる…。すごく私を妬んでる、そんな感じ…」
荒くなり始めた呼吸に深呼吸で落ち着かせようとする薙さんの様子に、万が一に備えて兼さんが身構える。
「やだっ、何でっ…!」
「大丈夫だよ、薙。薙はそこにはいない。俺たちと一緒にここにいるから…!」
「何で、私何もしてないよ…!」
「大丈夫、俺たちはここにいるよ」
僕の手が痛くなるぐらい握力が強くなって、それだけ薙さんは必死に抗っているのが嫌というほど伝わってきた。加州さんも体が震えだした薙さんを横から抱きしめて、「大丈夫」と何度も言い聞かせて頭を撫でる。それでも呼吸は荒くなる一方だ。
それからどれぐらい経ったんだろう。過呼吸に陥った薙さんが気を失って、抱きしめていた加州さんが受け止めた。
「薙さん…」
「…ひとまず、寝かせねぇとな」
「そーね…」
薙さんを布団に寝かせて、これまでの間にお香が消えていたことに気付いた兼さんが新しく火を点ける。そこに主さんと鳴狐さんがやって来た。
「ごめん、間に合わなかった…!」
「大丈夫、今回は大事には至らなかったから」
昼餉が近いせいか、いつも聞こえてくる手合わせの掛け声が聞こえなくなっていた。みんなは思い思いに過ごしているはずなのに、この部屋だけが切り取られたかのように静寂に包まれている。
「長義様から連絡があったの」
「どういうこと?」
「歴防本部で薙を直接調べたいって」
「そんな…!そんなことしたら薙さんがどうなるか…!」
歴防の関係者が何をどこまで考えているのかは分からないけれど、きっと調べるだけでは終わらないことだけは容易に想像出来た。
「一部でその話が出ているとのことですが、長義様が止めていると仰っておりました」
「あいつが止めてくれてるなら安心、か…?」
長義さんも同じく刀剣男士なのもあってか、歴防関係者であっても立場は僕たち寄りだ。フィルター役になってくれていると言ってもいい。
「状況次第では水心子様も清麿様も、朝尊様も肥前様も動いてくれるって」
「肥前が?意外じゃん」
「肥前様も肥前様なりに思うことがあるんだと思うよ」
「朝尊が何か変なこと考えてなきゃいいけどねー」
「私もそれは否めないんだけど」とさらっと失礼なことを返しつつ、「朝尊様も朝尊様なりに考えがあるって思おう」と薙さんの髪を梳いた。
「まぁ、長義さんは怒ったら怖いですからね。清麿さんもああ見えて怒らせちゃいけないタイプみたいですし」
「それを言ったら主もだろ…」
「そう?」
そんな主さんは過去に歴防に対して怒ったことがあった。けれど、(どういうわけか)それを知った遊玄様が主さん以上に怒って殴り込みに行ったぐらいの大事になったから、何が起こったのかは言わないでおこう…。
