女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~薙side~
目を覚ましてぼんやりとする意識の中、安堵の表情を浮かべた堀川くんの顔が映った。
「あ、兼さん、薙さんが起きましたよ」
「おぉ、おはようさん。つっても、夜だけどな」
「…?」
どうして2振りがここにいるんだろう。
おぼろげな記憶を辿って聞こえてきたのは、私自身の声。
“ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!”
“止めて、止めて、助けて…!”
「っ…!」
伝った涙を堀川くんが優しくタオルで拭ってくれた。ふわふわのタオルはすぐに涙を吸って、その柔らかさが今の私には妙に心地よく感じた。
「わ、たし…」
「……」
「ごめ、ん…なさい…」
“薙、許しとおせ…!”
全てを思い出して涙が溢れてくる。「薙さんが謝ることじゃないですよ」と、頬を拭ってくれる堀川くんと私を見て、和泉守さんが「主んとこに行って来る」と席を外した。
ゆっくりと体を起こして渡してくれた水を飲む。どうしたらいいのか分からなくて、堀川くんと何を話せばいいのかも分からない。今は「ごめんなさい」としか言えない。堀川くんもきっと同じ言葉を繰り返すだろう。もふ丸も何も言わずに肩に乗って頬ずりをしてくれて、いつもの温もりに少しだけ心が落ち着いた気がした。
「薙、入るね」
しばらくして桶を持った主様と堀川くんが入り違った。
「ご飯食べられそう?」
「…すみません、今は食べられそうにありません」
「分かった。あ、薙が買って来たお香を焚こうか」
持って来たお香を香皿の横に置いて、「いい香りだね」とそれに火を点けた。そういえば、蜂須賀さんと万屋で見つけたお香はまだ使っていなかった。
「じゃあ、お風呂に入ろう?その間に部屋がいい香りになるよ」
「…はい」
時計を見ると、21時を過ぎていた。私はどれだけ意識を手放していたんだろう。
それも分からないまま一緒にお風呂に入った。髪も体も洗ってくれて、ゆっくりと湯舟に浸かる。主様は無理に話し掛けずに、ただ私に合わせてその時間を過ごしてくれた。
「早く着ないと風邪引いちゃうよ?」
「……」
火傷の痕、私が焼身になった証拠。鏡に映るそれをそっとなぞってみる。
刀剣として戦っていた時代、神と崇められていた時代。間違いなく後者の方が長かったのは間違いないし、記憶もそちらの方が思い出せている。
姫様と戦っていた私がどうして奉納されたのか、そこまでは繋がらない。
早くそれも思い出したいな…。
しばらく火傷の痕を眺めた後、主様が肩に掛けてくれた寝間着に袖を通し、いつも通りに髪を乾かす。私の心情とは裏腹に、すっかり髪は潤いがあってさらさらだ。お風呂に入れば多少は気分が落ち着くと思っていたのにそれは変わらなかった。今は“声”が聞こえないだけましだと心が重いまま戻ると、部屋の前におにぎりが3個置かれていて、その隣ではもふ丸が私を待ってくれていた。
「寝てても良かったのに」
「薙の顔を見るまで寝ないと決めてましたから」
「…そっか」
今夜は主様が一緒に寝てくれることになっていて、既にもう1組が敷かれてあった。
もふ丸は眠い中頑張って起きてくれていたんだろう。掛け布団を掛けてやればすぐに丸まって眠りに落ちた。私がこんな状態なのだから中々眠れないんじゃないかと思っていたから、その姿に小さく安堵のため息をつく。
「寝る前に食べるのは体に悪いけど、一口だけでもいいから食べてみよう」
「具は何かな~」と半分に割った中にはねぎ味噌が入っていた。
あ…。
この握り方は大倶利伽羅さんだ。
あの時を思い出して、差し出してくれた半分を食べ切った。「食べられて偉い」と主様がもう1つを半分に割る。今度は鯖を解したものだった。
それも半分食べて、残りの1つは梅おかか。なんだかんだ体は食べ物を欲していたようで、それも半分こして食べた。
少し話をして床につく。主様が手を握ってくれて、その温かさに瞼が重くなっていく。見た夢は覚えていないけど、何だか楽しく過ごしているものだった気がした。
目を覚ましてぼんやりとする意識の中、安堵の表情を浮かべた堀川くんの顔が映った。
「あ、兼さん、薙さんが起きましたよ」
「おぉ、おはようさん。つっても、夜だけどな」
「…?」
どうして2振りがここにいるんだろう。
おぼろげな記憶を辿って聞こえてきたのは、私自身の声。
“ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!”
“止めて、止めて、助けて…!”
「っ…!」
伝った涙を堀川くんが優しくタオルで拭ってくれた。ふわふわのタオルはすぐに涙を吸って、その柔らかさが今の私には妙に心地よく感じた。
「わ、たし…」
「……」
「ごめ、ん…なさい…」
“薙、許しとおせ…!”
全てを思い出して涙が溢れてくる。「薙さんが謝ることじゃないですよ」と、頬を拭ってくれる堀川くんと私を見て、和泉守さんが「主んとこに行って来る」と席を外した。
ゆっくりと体を起こして渡してくれた水を飲む。どうしたらいいのか分からなくて、堀川くんと何を話せばいいのかも分からない。今は「ごめんなさい」としか言えない。堀川くんもきっと同じ言葉を繰り返すだろう。もふ丸も何も言わずに肩に乗って頬ずりをしてくれて、いつもの温もりに少しだけ心が落ち着いた気がした。
「薙、入るね」
しばらくして桶を持った主様と堀川くんが入り違った。
「ご飯食べられそう?」
「…すみません、今は食べられそうにありません」
「分かった。あ、薙が買って来たお香を焚こうか」
持って来たお香を香皿の横に置いて、「いい香りだね」とそれに火を点けた。そういえば、蜂須賀さんと万屋で見つけたお香はまだ使っていなかった。
「じゃあ、お風呂に入ろう?その間に部屋がいい香りになるよ」
「…はい」
時計を見ると、21時を過ぎていた。私はどれだけ意識を手放していたんだろう。
それも分からないまま一緒にお風呂に入った。髪も体も洗ってくれて、ゆっくりと湯舟に浸かる。主様は無理に話し掛けずに、ただ私に合わせてその時間を過ごしてくれた。
「早く着ないと風邪引いちゃうよ?」
「……」
火傷の痕、私が焼身になった証拠。鏡に映るそれをそっとなぞってみる。
刀剣として戦っていた時代、神と崇められていた時代。間違いなく後者の方が長かったのは間違いないし、記憶もそちらの方が思い出せている。
姫様と戦っていた私がどうして奉納されたのか、そこまでは繋がらない。
早くそれも思い出したいな…。
しばらく火傷の痕を眺めた後、主様が肩に掛けてくれた寝間着に袖を通し、いつも通りに髪を乾かす。私の心情とは裏腹に、すっかり髪は潤いがあってさらさらだ。お風呂に入れば多少は気分が落ち着くと思っていたのにそれは変わらなかった。今は“声”が聞こえないだけましだと心が重いまま戻ると、部屋の前におにぎりが3個置かれていて、その隣ではもふ丸が私を待ってくれていた。
「寝てても良かったのに」
「薙の顔を見るまで寝ないと決めてましたから」
「…そっか」
今夜は主様が一緒に寝てくれることになっていて、既にもう1組が敷かれてあった。
もふ丸は眠い中頑張って起きてくれていたんだろう。掛け布団を掛けてやればすぐに丸まって眠りに落ちた。私がこんな状態なのだから中々眠れないんじゃないかと思っていたから、その姿に小さく安堵のため息をつく。
「寝る前に食べるのは体に悪いけど、一口だけでもいいから食べてみよう」
「具は何かな~」と半分に割った中にはねぎ味噌が入っていた。
あ…。
この握り方は大倶利伽羅さんだ。
あの時を思い出して、差し出してくれた半分を食べ切った。「食べられて偉い」と主様がもう1つを半分に割る。今度は鯖を解したものだった。
それも半分食べて、残りの1つは梅おかか。なんだかんだ体は食べ物を欲していたようで、それも半分こして食べた。
少し話をして床につく。主様が手を握ってくれて、その温かさに瞼が重くなっていく。見た夢は覚えていないけど、何だか楽しく過ごしているものだった気がした。
