女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~審神者side~
本丸に戻るなり肩にもふ丸を乗せた清光に腕を引っ張られ、連れて行かれた先は薙の部屋。陸奥守、和泉守、堀川は深刻な表情で俯いている。この部屋の主は布団で寝ていて、涙の跡がくっきりと残っていた。
「薙が暴れた」
空いたスペースに座ったと同時に話を切り出した和泉守の言葉に、一瞬何を言われたのか分からなかった。どういうことなのかと、陸奥守と堀川を見やる。
「とても女性のものとは思えない力でした」
「あのままだと埒が明かざった。手刀で薙の意識を失わせるしかなかったがぜよ」
「そんな…」
「“何で、どうして”、“止めて”、“ごめんなさい”」
「…!」
ぽつりぽつりと口にした堀川の薙が発した言葉に、以前薙が話していた内容と繋がった。最悪な事態になってしまった。よりにもよって私が不在の間に起こるなんて。
「……」
「なぁ主、薙に何が起こってる?」
重い空気の中、和泉守が真剣な眼差しで私を見た。戦場でしか見せないであろう鋭いそれに、唇を噛んだ。
「今まで僕たちは薙さんがどんな状況なのか知りませんでした。けれど、今は違います。教えてくれませんか?」
「……」
「主、話すしかないよ」
「うん…」
3振りに全てを話した。内容を聞いて絶句する和泉守、動揺を隠せない堀川。気持ちは分かる。内番を手伝い合ったり、容赦のない手合わせをしたり、お酒を飲んだりと薙の笑顔を知っている。私だってそうだ。現世遠征では刀剣の付喪神ではなく、至って普通の女性として買い物を楽しむ姿を見てきた。そんな薙がこのような目に遭っているとなればその反応も尤もだろう。
「誰じゃ、薙を苦しませちゅうのは…!」
拳をどん、と畳に打ち付けた陸奥守の気持ちも分かる。
「主、俺思ったんだけどさ」
それまで無言でいた清光が口を開き、みんなの視線が清光に集まった。
「そいつ、俺たちと同じ刀剣なんじゃない?」
「話を聞いて僕もそう思いました。薙さんの前の主さんが持っていた刀剣は薙さんだけじゃないかもしれないって」
そう、私もそう考えている。けれど、薙が前の主…姫様が誰なのか思い出すまでそれが合っているのか分からないし、何も変わらない。
もっと早く心当たりのある時代の誰かに聞いてみることを薙に提案していれば、変わっていたかもしれない。情報ばかり探していて気付くのが遅れてしまって、本当に情けない。「ごめん」と手を握りしめた私のそれに、清光の手が重なった。
「主のせいじゃないよ」
「わしだってそうじゃ。薙とはそれなりの付き合いがあるにそうせざったわしも悪いと思っちゅう」
「それを言ったら俺もだ」
「僕もです。だから主さん、自分を責めないで下さい」
「…ありがとう」
机に座っていたもふ丸が私の肩に乗ってきて、ぺろぺろと頬を舐める。もふ丸なりの慰め方に、薙もこんな気持ちになっていたのかな、とふと思った。
「…で、この先どうするよ?考えたくねぇけどよ、また暴れたら大変なことになるぜ。あんな姿、他の奴らに見せるわけにもいかねぇだろ」
「うん、みんなで協力し合って薙を守るしかないと思う。他に薙の状態を知っているのは長谷部と乱ちゃん、鳴狐さん。7振りで薙が落ち着くまで上手く乗り越えるしかないね」
「つまり、僕たちが交代で薙さんとここで過ごすってことですね?」
言い方を変えれば、監視。けれど仕方ない。薙が普段通りに戻るまでそうするしかない。
この場にいない3振りに事情を話すべく、陸奥守と和泉守と堀川に薙を任せて話し合いの場を執務室に移した。
「っ…」
「そんな…」
事の深刻さに、3振りの反応も同じだった。
「でもさ、ボクたちはいつも通りでいなきゃだよね。薙さん、ボクたちが暗かったら思いつめちゃうだろうし」
「わたくしめもそう思います。鳴狐も同じ考えでございますよ」
「…キツネ」
「何でございますか?」
「…キツネだけは、大人しくしてて」
「うん、その方が良さそーね…」
「むむぅ…」と何も言えずにいるキツネさんに苦笑いを浮かべ、改めて当番表を作ることにした。
必要であれば内番は粟田口のみんなと交代すると言ってくれたし、長谷部が薙のところにいる時は別の作業を山姥切に任せたりと、様々な面でみんなの協力を得られそうだ。
「主、もうすぐ夕餉だけどどうする?」
「薙が目を覚ますまで食べないでおく。あと鳴狐さん、夕餉の後に薬研をここに来るよう伝えてもらえる?」
「…分かった」
この数日通り、薙の食事はみんなと別のメニューにしてある。
問題は食べられるかどうか、かな…。
本丸に戻るなり肩にもふ丸を乗せた清光に腕を引っ張られ、連れて行かれた先は薙の部屋。陸奥守、和泉守、堀川は深刻な表情で俯いている。この部屋の主は布団で寝ていて、涙の跡がくっきりと残っていた。
「薙が暴れた」
空いたスペースに座ったと同時に話を切り出した和泉守の言葉に、一瞬何を言われたのか分からなかった。どういうことなのかと、陸奥守と堀川を見やる。
「とても女性のものとは思えない力でした」
「あのままだと埒が明かざった。手刀で薙の意識を失わせるしかなかったがぜよ」
「そんな…」
「“何で、どうして”、“止めて”、“ごめんなさい”」
「…!」
ぽつりぽつりと口にした堀川の薙が発した言葉に、以前薙が話していた内容と繋がった。最悪な事態になってしまった。よりにもよって私が不在の間に起こるなんて。
「……」
「なぁ主、薙に何が起こってる?」
重い空気の中、和泉守が真剣な眼差しで私を見た。戦場でしか見せないであろう鋭いそれに、唇を噛んだ。
「今まで僕たちは薙さんがどんな状況なのか知りませんでした。けれど、今は違います。教えてくれませんか?」
「……」
「主、話すしかないよ」
「うん…」
3振りに全てを話した。内容を聞いて絶句する和泉守、動揺を隠せない堀川。気持ちは分かる。内番を手伝い合ったり、容赦のない手合わせをしたり、お酒を飲んだりと薙の笑顔を知っている。私だってそうだ。現世遠征では刀剣の付喪神ではなく、至って普通の女性として買い物を楽しむ姿を見てきた。そんな薙がこのような目に遭っているとなればその反応も尤もだろう。
「誰じゃ、薙を苦しませちゅうのは…!」
拳をどん、と畳に打ち付けた陸奥守の気持ちも分かる。
「主、俺思ったんだけどさ」
それまで無言でいた清光が口を開き、みんなの視線が清光に集まった。
「そいつ、俺たちと同じ刀剣なんじゃない?」
「話を聞いて僕もそう思いました。薙さんの前の主さんが持っていた刀剣は薙さんだけじゃないかもしれないって」
そう、私もそう考えている。けれど、薙が前の主…姫様が誰なのか思い出すまでそれが合っているのか分からないし、何も変わらない。
もっと早く心当たりのある時代の誰かに聞いてみることを薙に提案していれば、変わっていたかもしれない。情報ばかり探していて気付くのが遅れてしまって、本当に情けない。「ごめん」と手を握りしめた私のそれに、清光の手が重なった。
「主のせいじゃないよ」
「わしだってそうじゃ。薙とはそれなりの付き合いがあるにそうせざったわしも悪いと思っちゅう」
「それを言ったら俺もだ」
「僕もです。だから主さん、自分を責めないで下さい」
「…ありがとう」
机に座っていたもふ丸が私の肩に乗ってきて、ぺろぺろと頬を舐める。もふ丸なりの慰め方に、薙もこんな気持ちになっていたのかな、とふと思った。
「…で、この先どうするよ?考えたくねぇけどよ、また暴れたら大変なことになるぜ。あんな姿、他の奴らに見せるわけにもいかねぇだろ」
「うん、みんなで協力し合って薙を守るしかないと思う。他に薙の状態を知っているのは長谷部と乱ちゃん、鳴狐さん。7振りで薙が落ち着くまで上手く乗り越えるしかないね」
「つまり、僕たちが交代で薙さんとここで過ごすってことですね?」
言い方を変えれば、監視。けれど仕方ない。薙が普段通りに戻るまでそうするしかない。
この場にいない3振りに事情を話すべく、陸奥守と和泉守と堀川に薙を任せて話し合いの場を執務室に移した。
「っ…」
「そんな…」
事の深刻さに、3振りの反応も同じだった。
「でもさ、ボクたちはいつも通りでいなきゃだよね。薙さん、ボクたちが暗かったら思いつめちゃうだろうし」
「わたくしめもそう思います。鳴狐も同じ考えでございますよ」
「…キツネ」
「何でございますか?」
「…キツネだけは、大人しくしてて」
「うん、その方が良さそーね…」
「むむぅ…」と何も言えずにいるキツネさんに苦笑いを浮かべ、改めて当番表を作ることにした。
必要であれば内番は粟田口のみんなと交代すると言ってくれたし、長谷部が薙のところにいる時は別の作業を山姥切に任せたりと、様々な面でみんなの協力を得られそうだ。
「主、もうすぐ夕餉だけどどうする?」
「薙が目を覚ますまで食べないでおく。あと鳴狐さん、夕餉の後に薬研をここに来るよう伝えてもらえる?」
「…分かった」
この数日通り、薙の食事はみんなと別のメニューにしてある。
問題は食べられるかどうか、かな…。
