女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~大和守side~
翌朝、朝餉を食べる大広間にも朝礼にも薙の姿はなかった。今のところ薙の詳しい様子を知るのは主だけ。朝餉の前に薙の部屋に向かって行った主が持っていたお香は、主の部屋で過ごしていた頃と同じものだと堀川が教えてくれた。
そんな中、朝礼で長谷部から「薙の部屋の近くでは静かに過ごすように」と周知が出された。“薙”と聞いたら脳裏に焼き付いてしまった焦点の合っていないあの姿が浮かんで、気付けば朝礼は終わっていた。
「大和守」
陸奥守に声を掛けられてはっと顔を上げる。
「今日はわしと一緒に馬当番やき、一緒に行くぜよ」
「あ、うん」
夕べ、清光から薙は回復するまで当番から外すこと、既に決まっている来週の分は僕たちでその穴埋めをすると聞いた。それは僕も賛成だ。むしろ何か出来ることはないかと思っていたし、他に頼まれれば何でもやるつもりでいる。
薙がどんな夢を見たのかは聞けなかったけど、心の整理として話し合った時は清光はぼそぼそと話していて、夢の内容は相当酷かったんじゃないかと思う。
隣の部屋の陸奥守は、あの時は長曽祢さんと将棋を打っていたから何が起こったのかは知らない。けど、事情を知る清光たちの表情で状態が悪いんだと察している。
「そがな顔をしちょったら馬にも伝わってしまうき、気持ちを入れ替えてから行くぜよ」
「うん…、ごめん」
頬をぱんっと叩いて軽く体を動かす。陸奥守も肩回しや屈伸に付き合ってくれた。
「よしよし、今日も元気だね」
「おんしゃあが頼みじゃ。戦の時は頼むぜよ」
馬の名前は“ゆきたろう”、“うめたろう”、“さくたろう”、“きくたろう”、“あじたろう”、“あめたろう”。念の為言っておくけど命名は主(何か伝えなきゃいけない気がした)。
「くすぐったいよ」
薬研が作った栄養剤入りのご飯と人参をあげると、うめたろうがすりすりと僕の頬に顔を寄せてきた。馬の中でもうめたろうは1番人懐っこくて食いしん坊。撫でてもらうのも大好き。そうしてやるとすっごくご機嫌になる。馬は知能が高いだけに、ゆきたろうは悪戯をしてもいいのは誰かなのかも分かってる。
「そがにねぶらんでもえいろう…!」
動物相手だと土佐弁が強くなりがちな陸奥守もその1振り。舐められた上に頭に巻いてる手拭いを取られていた。
「べちょべちょじゃあ…」
「それじゃち可愛いことに変わりはないがやけんどね」と手拭いを回収して、近くの水場でガシガシと顔と頭を洗っている。
「替えの手拭いを忘れてもうた。悪いけんど大和守、貸してくれんか」
「はいはい」
そんなこんなで馬当番が終わって解散になった。陸奥守にこれからどうするのか聞いたら、ひとまず銃の手入れをするらしい。手入れの後はあえて普段通りに過ごすと話していた。
僕はどうしようかな。
薙が見た夢の内容を知っている清光は今日は部屋で休んだ方がいいのかな。
そんなことを考えながら部屋に戻ると、清光は主からもらった一口饅頭を食べていた。ちゃんと僕の分も取っておいてくれていて、冷茶も用意してくれている。
「主、ここに来たの?」
「うん。薙、食べられるものが限られるかもって言ってた。あと、少しの間部屋から出られないって」
「そっか。一緒に食べられないのかぁ。食事も今は消化のいい食べ物とかの方がいいのかな」
「まー、ね…」
浮かない返事に頭に疑問符が浮かんだ。ひとまず、薙のことを話すのは清光から振ってくれた時だけにして、今日はゆっくり休むことを提案してみる。
「んー、ちょっと燭台切と歌仙と話しに行くけど、安定も来る?」
「…いいの?」
「いーよ。薙の食事はどんなのがいいか一緒に考えるだけだから」
「うん、僕も行く!」
そうして厨に行くと、昼餉の下ごしらえを済ませた燭台切と歌仙の他に、今日の当番の小狐丸と御手杵もいた。それぞれ飲み物をお供に談笑している。
「お、加州に大和守。どうした?」
「薙の食事、俺たちも考えようと思って来たんだけどタイミング悪かった?」
「大丈夫、僕たちも何がいいか話し合おうと思ってたところだよ。みんな、何かいいアイデアないかな」
「ふむ」「うーん」と小狐丸と御手杵が顎に手を添えて天井を見る。
「私はいなり寿司かきつね丼しか浮かびませんね…」
「うん、いなり寿司は今日の昼餉だね」
「俺も雑炊とかしか浮かばないなぁ」
「うん、薙ちゃんの今日の朝餉は雑炊だったね」
聞けば消化にいい食べ物にしなくてもいいってことで、僕たちも僕たちなりに考えてみる。献立によっては僕たちと同じでもいいみたいだ。
「ちなみに今日の夕餉は?」
「ハンバーグにしたよ。獅子王が食べたいってずっと言っていたからね」
「あー、今の薙にハンバーグはちょっと重いかなー…」
「そうなんだ…」
初めてハンバーグを食べた時の薙の表情が浮かぶ。何度も「美味しい」って言いながら食べて、ご飯をおかわりしてたっけ。目玉焼きをのせた時は、その組み合わせにもふ丸も目を輝かせてたのも浮かんだ。
結局この日の夕餉は野菜炒めにすることになった。一応薙が食べられるかどうかは別として、浮かんだ献立をメモに書いておく。
薙、ちゃんと食べられるといいなぁ。
翌朝、朝餉を食べる大広間にも朝礼にも薙の姿はなかった。今のところ薙の詳しい様子を知るのは主だけ。朝餉の前に薙の部屋に向かって行った主が持っていたお香は、主の部屋で過ごしていた頃と同じものだと堀川が教えてくれた。
そんな中、朝礼で長谷部から「薙の部屋の近くでは静かに過ごすように」と周知が出された。“薙”と聞いたら脳裏に焼き付いてしまった焦点の合っていないあの姿が浮かんで、気付けば朝礼は終わっていた。
「大和守」
陸奥守に声を掛けられてはっと顔を上げる。
「今日はわしと一緒に馬当番やき、一緒に行くぜよ」
「あ、うん」
夕べ、清光から薙は回復するまで当番から外すこと、既に決まっている来週の分は僕たちでその穴埋めをすると聞いた。それは僕も賛成だ。むしろ何か出来ることはないかと思っていたし、他に頼まれれば何でもやるつもりでいる。
薙がどんな夢を見たのかは聞けなかったけど、心の整理として話し合った時は清光はぼそぼそと話していて、夢の内容は相当酷かったんじゃないかと思う。
隣の部屋の陸奥守は、あの時は長曽祢さんと将棋を打っていたから何が起こったのかは知らない。けど、事情を知る清光たちの表情で状態が悪いんだと察している。
「そがな顔をしちょったら馬にも伝わってしまうき、気持ちを入れ替えてから行くぜよ」
「うん…、ごめん」
頬をぱんっと叩いて軽く体を動かす。陸奥守も肩回しや屈伸に付き合ってくれた。
「よしよし、今日も元気だね」
「おんしゃあが頼みじゃ。戦の時は頼むぜよ」
馬の名前は“ゆきたろう”、“うめたろう”、“さくたろう”、“きくたろう”、“あじたろう”、“あめたろう”。念の為言っておくけど命名は主(何か伝えなきゃいけない気がした)。
「くすぐったいよ」
薬研が作った栄養剤入りのご飯と人参をあげると、うめたろうがすりすりと僕の頬に顔を寄せてきた。馬の中でもうめたろうは1番人懐っこくて食いしん坊。撫でてもらうのも大好き。そうしてやるとすっごくご機嫌になる。馬は知能が高いだけに、ゆきたろうは悪戯をしてもいいのは誰かなのかも分かってる。
「そがにねぶらんでもえいろう…!」
動物相手だと土佐弁が強くなりがちな陸奥守もその1振り。舐められた上に頭に巻いてる手拭いを取られていた。
「べちょべちょじゃあ…」
「それじゃち可愛いことに変わりはないがやけんどね」と手拭いを回収して、近くの水場でガシガシと顔と頭を洗っている。
「替えの手拭いを忘れてもうた。悪いけんど大和守、貸してくれんか」
「はいはい」
そんなこんなで馬当番が終わって解散になった。陸奥守にこれからどうするのか聞いたら、ひとまず銃の手入れをするらしい。手入れの後はあえて普段通りに過ごすと話していた。
僕はどうしようかな。
薙が見た夢の内容を知っている清光は今日は部屋で休んだ方がいいのかな。
そんなことを考えながら部屋に戻ると、清光は主からもらった一口饅頭を食べていた。ちゃんと僕の分も取っておいてくれていて、冷茶も用意してくれている。
「主、ここに来たの?」
「うん。薙、食べられるものが限られるかもって言ってた。あと、少しの間部屋から出られないって」
「そっか。一緒に食べられないのかぁ。食事も今は消化のいい食べ物とかの方がいいのかな」
「まー、ね…」
浮かない返事に頭に疑問符が浮かんだ。ひとまず、薙のことを話すのは清光から振ってくれた時だけにして、今日はゆっくり休むことを提案してみる。
「んー、ちょっと燭台切と歌仙と話しに行くけど、安定も来る?」
「…いいの?」
「いーよ。薙の食事はどんなのがいいか一緒に考えるだけだから」
「うん、僕も行く!」
そうして厨に行くと、昼餉の下ごしらえを済ませた燭台切と歌仙の他に、今日の当番の小狐丸と御手杵もいた。それぞれ飲み物をお供に談笑している。
「お、加州に大和守。どうした?」
「薙の食事、俺たちも考えようと思って来たんだけどタイミング悪かった?」
「大丈夫、僕たちも何がいいか話し合おうと思ってたところだよ。みんな、何かいいアイデアないかな」
「ふむ」「うーん」と小狐丸と御手杵が顎に手を添えて天井を見る。
「私はいなり寿司かきつね丼しか浮かびませんね…」
「うん、いなり寿司は今日の昼餉だね」
「俺も雑炊とかしか浮かばないなぁ」
「うん、薙ちゃんの今日の朝餉は雑炊だったね」
聞けば消化にいい食べ物にしなくてもいいってことで、僕たちも僕たちなりに考えてみる。献立によっては僕たちと同じでもいいみたいだ。
「ちなみに今日の夕餉は?」
「ハンバーグにしたよ。獅子王が食べたいってずっと言っていたからね」
「あー、今の薙にハンバーグはちょっと重いかなー…」
「そうなんだ…」
初めてハンバーグを食べた時の薙の表情が浮かぶ。何度も「美味しい」って言いながら食べて、ご飯をおかわりしてたっけ。目玉焼きをのせた時は、その組み合わせにもふ丸も目を輝かせてたのも浮かんだ。
結局この日の夕餉は野菜炒めにすることになった。一応薙が食べられるかどうかは別として、浮かんだ献立をメモに書いておく。
薙、ちゃんと食べられるといいなぁ。
