女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~遊玄 side~
ある日、庭の桜を見に行った。
「随分と立派になったな」
そう呟いて幹に手を当てた。
この桜はこの本丸が発足した時に植えたもの。苗木だったこれは立派に育ち、遥のところには到底及ばないが花見をするのは充分だ。
それだけこの本丸の歴史は長い。儂の“始まりの一振り”である山姥切国広とふたりだけだった時に共に植えた思い出の桜だ。
「ここにいたか」
「おぉ、もう時間か」
「遥の本丸はあんたを迎える準備が整ったようだ。待たせるわけにはいかない」
「そうだな」
すっかり満開になった桜を見上げた儂は、どのような顔をしているだろうか。この本丸の山姥切は長い付き合いなだけあってどうするべきか熟知している。山姥切が旅を経てあの布を外してからも随分と時が経つ。そんな奴と転送装置へと向かい、蜂須賀が万屋で吟味した手土産を受け取った。
「お、遥のとこに行くのは今日だったか」
偶然そこを通りすがったソハヤノツルキも見送りに加わり、「本丸を頼んだ」と伝えて遥への本丸へと向かった。
「久しぶり、おじさん」
「変わりはなさそうじゃな、遥」
遥以外の隣には“始まりの一振り”である“加州清光”、“へし切長谷部”、今週の近侍だという“物吉貞宗”、そして初めて会う薙がいた。
「お主が噂に聞く“刀剣女士”か」
「お初にお目に掛かります、紅葉薙と申します」
「聞いていた以上にべっぴんさんじゃなぁ」
「そんな…、恐縮です」
実際に薙…紅葉薙は美人だ。これも前の主の名残か。
「お花見の準備なら出来ていますが、先に本丸の散策もいいと思います。どうしますか?」
この中では1番明るい“物吉”がにこにこと尋ねてくる。しばし悩んだ末、先に本丸を見て回ることにした。
共に行くのは遥と“加州”。他は準備の仕上げだったり遥の代わりに執務をこなすようだ。
「お、遊玄さん、来たのか」
「薬研、“様”付けしなって。あと、敬語ねー」
「構わん構わん。…して、ここの薬研の研究はどこまで進んでおるのだ?」
「やーっと1種類出来たところだ。季節問わず作物が育てられるはずだぜ」
「はっはっは、そうか」
この本丸の“薬研”はようやくここまで進んだようだ。だが、まだ薬品の開発のペースはこちらの薬研とは差がある。
これはこちらの薬研への土産話になりそうじゃな。
逆に儂の本丸の薬研の研究はどうなのか尋ねられ、立派に育つ薬品や品種改良にも成功していると話す。目が沁みない玉ねぎ、苦みを抑えたピーマン。他にも色々あると伝えれば、大層悔しがっていた。
「他の粟田口の者たちは庭で遊んでいるようじゃな」
「あぁ、今日は内番も手合わせもないんだ。是非顔を見に行ってやってくれ」
庭が賑やかなのでその声がする方へと向かってみると、“一期一振”が庭と部屋とでそれぞれ遊ぶ弟たちを縁側で見守っていた。
「あ!遊玄様だー!」
わしを見るなり屈託のない笑みで駆け寄ってくる。この光景は儂の本丸とほぼ同じだ。
「ゆーげんさま…?」
そんな中、ぽかんと儂を見つめているのは“信濃藤四郎”だ。そういえば最近顕現したのはこの“信濃藤四郎”と“太鼓鐘貞宗”だったか。
「遊玄殿は主殿の師匠にあたるお方だよ。失礼のないようにね」
「えー、懐に入りたーい」
「こら、信濃!」
「どれ、来なさい。儂もこちらの信濃の温もりを堪能しようかの」
「やったー!」
大きく腕を広げてぎゅっと抱きついてきた、こちらの“信濃”は活発な性格とは裏腹にやはり優しい温もりだ。香りが違うのはシャンプーのせいか。
「うん、あったかい!さすが大将のお師匠様って感じ!ちょっと固いけど!」
「信濃!」
「鍛えていた時期もあったからな」
「でも俺は大将と違う温かさで好きだよ。…ね、遊玄様の本丸にも俺はいる?」
「おるぞ。お主と同じく毎日のように温もりを求めておるわい」
「俺より色んな温もり知ってるんだろうなー」と少し口を尖らせた“信濃”の頭を撫でて、儂を囲む他の短刀たちの頭も撫でたり頬の柔らかさを堪能させてもらう。やはり粟田口は粟田口。純粋な心を向けるのはここも同じか。
「遊玄殿、弟たちが申し訳ありません」
「儂の本丸でも同じようなものだ。一期一振が気にすることではないぞ」
「ご配慮、痛み入ります」
「お、お久しぶりです、遊玄様」
そこに“五虎退”がおずおずと声を掛けてきた。周りには5匹の虎。この光景も久方振りだ。
「ふむ。虎たちも元気そうだな。毛並みも良い」
「はっ、はい…!自慢の虎くんたちです…!」
こちらも香りが違う。やはり虎たちに使っているシャンプーは儂の本丸と異なるらしい。
「良いことだ」
儂の本丸は長い期間あるだけあって、旅を経た男士が多い。逆に初の姿の者たちが新鮮に映った。
「…して、今日は手合わせは誰がしておるのだ?」
その問いに「えーと」と紙を挟んだバインダーを捲る“加州”。
「三日月と鶯丸とー…」
「…槍でも降るのか?」
儂の本丸のその2振りはほとんど手合わせに参加していない。だがこの本丸でも珍しいことのようだ。聞けば暫く手合わせに参加していない男士は時々強制的に参加するようにしていると聞く。
なるほど、遥らしい。
恐らく“長谷部”の進言でもあるだろうが、今日は珍しいものが見れそうだ。早速そちらへと向かってみる。
「…ふむ」
無駄のない動き、そして優雅ささえ感じる手合わせに微笑む。強制的といえどちゃんと手合わせに参加するのだから、あの者たちには彼らの爪の垢を飲ませたいぐらいだ。だが、いざ出陣となれば活躍してみせるのだから不思議なものだ。
他にも手合わせに参加している男士の顔ぶれも儂の本丸と似ていて、やはり前の主の影響は大きいのだと改めて実感する。
それから馬や畑を案内してもらい、そこで祈祷をしていた“石切丸”とも少し話して、桜のある小さな丘へと向かった。
ある日、庭の桜を見に行った。
「随分と立派になったな」
そう呟いて幹に手を当てた。
この桜はこの本丸が発足した時に植えたもの。苗木だったこれは立派に育ち、遥のところには到底及ばないが花見をするのは充分だ。
それだけこの本丸の歴史は長い。儂の“始まりの一振り”である山姥切国広とふたりだけだった時に共に植えた思い出の桜だ。
「ここにいたか」
「おぉ、もう時間か」
「遥の本丸はあんたを迎える準備が整ったようだ。待たせるわけにはいかない」
「そうだな」
すっかり満開になった桜を見上げた儂は、どのような顔をしているだろうか。この本丸の山姥切は長い付き合いなだけあってどうするべきか熟知している。山姥切が旅を経てあの布を外してからも随分と時が経つ。そんな奴と転送装置へと向かい、蜂須賀が万屋で吟味した手土産を受け取った。
「お、遥のとこに行くのは今日だったか」
偶然そこを通りすがったソハヤノツルキも見送りに加わり、「本丸を頼んだ」と伝えて遥への本丸へと向かった。
「久しぶり、おじさん」
「変わりはなさそうじゃな、遥」
遥以外の隣には“始まりの一振り”である“加州清光”、“へし切長谷部”、今週の近侍だという“物吉貞宗”、そして初めて会う薙がいた。
「お主が噂に聞く“刀剣女士”か」
「お初にお目に掛かります、紅葉薙と申します」
「聞いていた以上にべっぴんさんじゃなぁ」
「そんな…、恐縮です」
実際に薙…紅葉薙は美人だ。これも前の主の名残か。
「お花見の準備なら出来ていますが、先に本丸の散策もいいと思います。どうしますか?」
この中では1番明るい“物吉”がにこにこと尋ねてくる。しばし悩んだ末、先に本丸を見て回ることにした。
共に行くのは遥と“加州”。他は準備の仕上げだったり遥の代わりに執務をこなすようだ。
「お、遊玄さん、来たのか」
「薬研、“様”付けしなって。あと、敬語ねー」
「構わん構わん。…して、ここの薬研の研究はどこまで進んでおるのだ?」
「やーっと1種類出来たところだ。季節問わず作物が育てられるはずだぜ」
「はっはっは、そうか」
この本丸の“薬研”はようやくここまで進んだようだ。だが、まだ薬品の開発のペースはこちらの薬研とは差がある。
これはこちらの薬研への土産話になりそうじゃな。
逆に儂の本丸の薬研の研究はどうなのか尋ねられ、立派に育つ薬品や品種改良にも成功していると話す。目が沁みない玉ねぎ、苦みを抑えたピーマン。他にも色々あると伝えれば、大層悔しがっていた。
「他の粟田口の者たちは庭で遊んでいるようじゃな」
「あぁ、今日は内番も手合わせもないんだ。是非顔を見に行ってやってくれ」
庭が賑やかなのでその声がする方へと向かってみると、“一期一振”が庭と部屋とでそれぞれ遊ぶ弟たちを縁側で見守っていた。
「あ!遊玄様だー!」
わしを見るなり屈託のない笑みで駆け寄ってくる。この光景は儂の本丸とほぼ同じだ。
「ゆーげんさま…?」
そんな中、ぽかんと儂を見つめているのは“信濃藤四郎”だ。そういえば最近顕現したのはこの“信濃藤四郎”と“太鼓鐘貞宗”だったか。
「遊玄殿は主殿の師匠にあたるお方だよ。失礼のないようにね」
「えー、懐に入りたーい」
「こら、信濃!」
「どれ、来なさい。儂もこちらの信濃の温もりを堪能しようかの」
「やったー!」
大きく腕を広げてぎゅっと抱きついてきた、こちらの“信濃”は活発な性格とは裏腹にやはり優しい温もりだ。香りが違うのはシャンプーのせいか。
「うん、あったかい!さすが大将のお師匠様って感じ!ちょっと固いけど!」
「信濃!」
「鍛えていた時期もあったからな」
「でも俺は大将と違う温かさで好きだよ。…ね、遊玄様の本丸にも俺はいる?」
「おるぞ。お主と同じく毎日のように温もりを求めておるわい」
「俺より色んな温もり知ってるんだろうなー」と少し口を尖らせた“信濃”の頭を撫でて、儂を囲む他の短刀たちの頭も撫でたり頬の柔らかさを堪能させてもらう。やはり粟田口は粟田口。純粋な心を向けるのはここも同じか。
「遊玄殿、弟たちが申し訳ありません」
「儂の本丸でも同じようなものだ。一期一振が気にすることではないぞ」
「ご配慮、痛み入ります」
「お、お久しぶりです、遊玄様」
そこに“五虎退”がおずおずと声を掛けてきた。周りには5匹の虎。この光景も久方振りだ。
「ふむ。虎たちも元気そうだな。毛並みも良い」
「はっ、はい…!自慢の虎くんたちです…!」
こちらも香りが違う。やはり虎たちに使っているシャンプーは儂の本丸と異なるらしい。
「良いことだ」
儂の本丸は長い期間あるだけあって、旅を経た男士が多い。逆に初の姿の者たちが新鮮に映った。
「…して、今日は手合わせは誰がしておるのだ?」
その問いに「えーと」と紙を挟んだバインダーを捲る“加州”。
「三日月と鶯丸とー…」
「…槍でも降るのか?」
儂の本丸のその2振りはほとんど手合わせに参加していない。だがこの本丸でも珍しいことのようだ。聞けば暫く手合わせに参加していない男士は時々強制的に参加するようにしていると聞く。
なるほど、遥らしい。
恐らく“長谷部”の進言でもあるだろうが、今日は珍しいものが見れそうだ。早速そちらへと向かってみる。
「…ふむ」
無駄のない動き、そして優雅ささえ感じる手合わせに微笑む。強制的といえどちゃんと手合わせに参加するのだから、あの者たちには彼らの爪の垢を飲ませたいぐらいだ。だが、いざ出陣となれば活躍してみせるのだから不思議なものだ。
他にも手合わせに参加している男士の顔ぶれも儂の本丸と似ていて、やはり前の主の影響は大きいのだと改めて実感する。
それから馬や畑を案内してもらい、そこで祈祷をしていた“石切丸”とも少し話して、桜のある小さな丘へと向かった。
