女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~陸奥守side~
「どうしてこうなったんだろう」。そう言いたげに桜を眺める薙のお猪口に酒を注いだ。
気持ちは分からんでもない。わしと2振りで飲みたかったわけではなかったがはちっくと気持ちは複雑だが、結果的にこれで良かったと思っちょる。けんど、わしもどいてかは分からん。
「陸奥、その恰好で寒くない?」
薙は心優しい刀剣。みんなが風邪をひかんように場所を変えようと提案しちょったのに、こうなってしもうたがやき心配するがは尤もやろう。だけんど、わしだって良うみんなの為に動き回っちゅう薙には休息は必要や思うちゅう。
「わしゃ大丈夫ちや。薙こそひようないのか?」
「私は下に長袖着てるから大丈夫」
「そうか」と静かに乾杯する。
ここでようやく薙が正座を崩した。
「薙が作ってくれたがはどれじゃ?」
「おにぎり」
「ほんなら貰うとするか」
他にも混ぜご飯を握ったものがあったにかあらんが、このお重には塩むすびしか残っちゃあせん。
「薙は食べんのか?」
「陸奥が食べていいよ。写真撮っててあまり食べてないでしょ?」
そう言うてお猪口の半分ぐらいを飲む。あとは軽う何かをつまんだら充分のようや。
「うん、美味い。今まで食べたおにぎりの中で1番美味いぜよ」
「だから、おだてても何も出ないってば」
他のおにぎりも食べたかったと残念に思うたけんど、まっことこのおにぎりは美味い。一気に2個食べたわしを見て「お供えしてもらってたおにぎりの方が美味しいんじゃないかな」と小さく呟いた。
「…ごめん、食べられなかったからすごく美味そうに見えてたのかも」
「謝る必要はないぜよ。過去と重ねるがは不思議なことやないとわしゃ思うちゅう。特にわしら刀剣はな」
「ありがと。…あ、浅漬けをおつまみにすると美味しいよ」
「わしも試してみるとするか。どれがオススメなが?」
「茄子」と言われて口に放り込む。
うん、美味い。
「…思い出した」
そこでふと薙が微笑む。
「境内にね、桜があったの。毎年豊作祈願の前に小さなお花見があって、私もその輪に混ざりたくてこっそりそこにいたんだ」
「そうやったのか」
「いつだったかは忘れちゃったけど、私が見えてた子が私がここにいる、って言ってからは私の分も用意してくれてた」
「それに似てる」と目を閉じた。
「まぁ、単純に暇だったってのもあったんだけど」
そうして神社で過ごしちょった頃のことをぽつりぽつりと教えてくれた。今まで聞いちょったものとは違う話に酒も進む。
薙の面倒見の良さは前の主の影響だけではのうて、神社でなんちゃあ出来ざったそれが今になって出ちゅうのかもしれん。そがな気がした。
「けんど、今の薙は楽しめる。付喪神のわしらはまっこと面白い思わんか?」
「そうだね」
「薙は他に何かやりたいことはないか聞いてもええがか?」
「私は今はここでの暮らしに満足しているけど、やっぱり前の主様のことを思い出したいかな」
…やっぱりそうか。
謝ろうと口を開きかけた時、薙が続ける。
「思い出せばいろーんなものの見方が変わるかもしれない。そうしたら、陸奥みたいに私も世界を知れる気がする」
取り戻せちゃあせん記憶に縛られちょった薙が考え方を変えて前向きになっちょった。今までわしらに見せよったものとは異なる、すっきりとした表情。
「そう思うようになったがはいつからがか?」
「今」
即答してはにかんだ。その笑顔が眩しかった。
わしゃあらゆるがを撮るがが好きだけんど、カメラに収めようとして収められるものじゃない瞬間の方が好きや。
えいものが見れた。
薙のその姿を見れたがはわしだけや思うとなんかくすぐったい。
「お猪口を出しとーせ」
「え?」
「祝杯じゃ」
それに嬉しそうに頷いた。互いに酒を注いでちっくと高めにお猪口を掲げる。
わしの知らん世界を知る薙の話を聞くがが楽しい。薙も薙が知らんわしの話を聞くがも楽しいようや。
互いが知らん世界の話を聞く。それは互いを補い合うということ。
「…でもね」
「ん?」
「前の主様のこともそうなんだけど、それとは別に思い出さなきゃならないことがある気がするんだ」
歪で本当に小さい欠片のようなもの、と小さく手を握った。
「前の主様と同じくらい、大切なものの気がする」
「薙…」
はっとした顔をして酒瓶を手にした。
「あ、まだお酒あるよ。飲もう?」
「お、おぅ…」
薙はそれをわしに話してくれる日は来るがやろうか。
「どうしてこうなったんだろう」。そう言いたげに桜を眺める薙のお猪口に酒を注いだ。
気持ちは分からんでもない。わしと2振りで飲みたかったわけではなかったがはちっくと気持ちは複雑だが、結果的にこれで良かったと思っちょる。けんど、わしもどいてかは分からん。
「陸奥、その恰好で寒くない?」
薙は心優しい刀剣。みんなが風邪をひかんように場所を変えようと提案しちょったのに、こうなってしもうたがやき心配するがは尤もやろう。だけんど、わしだって良うみんなの為に動き回っちゅう薙には休息は必要や思うちゅう。
「わしゃ大丈夫ちや。薙こそひようないのか?」
「私は下に長袖着てるから大丈夫」
「そうか」と静かに乾杯する。
ここでようやく薙が正座を崩した。
「薙が作ってくれたがはどれじゃ?」
「おにぎり」
「ほんなら貰うとするか」
他にも混ぜご飯を握ったものがあったにかあらんが、このお重には塩むすびしか残っちゃあせん。
「薙は食べんのか?」
「陸奥が食べていいよ。写真撮っててあまり食べてないでしょ?」
そう言うてお猪口の半分ぐらいを飲む。あとは軽う何かをつまんだら充分のようや。
「うん、美味い。今まで食べたおにぎりの中で1番美味いぜよ」
「だから、おだてても何も出ないってば」
他のおにぎりも食べたかったと残念に思うたけんど、まっことこのおにぎりは美味い。一気に2個食べたわしを見て「お供えしてもらってたおにぎりの方が美味しいんじゃないかな」と小さく呟いた。
「…ごめん、食べられなかったからすごく美味そうに見えてたのかも」
「謝る必要はないぜよ。過去と重ねるがは不思議なことやないとわしゃ思うちゅう。特にわしら刀剣はな」
「ありがと。…あ、浅漬けをおつまみにすると美味しいよ」
「わしも試してみるとするか。どれがオススメなが?」
「茄子」と言われて口に放り込む。
うん、美味い。
「…思い出した」
そこでふと薙が微笑む。
「境内にね、桜があったの。毎年豊作祈願の前に小さなお花見があって、私もその輪に混ざりたくてこっそりそこにいたんだ」
「そうやったのか」
「いつだったかは忘れちゃったけど、私が見えてた子が私がここにいる、って言ってからは私の分も用意してくれてた」
「それに似てる」と目を閉じた。
「まぁ、単純に暇だったってのもあったんだけど」
そうして神社で過ごしちょった頃のことをぽつりぽつりと教えてくれた。今まで聞いちょったものとは違う話に酒も進む。
薙の面倒見の良さは前の主の影響だけではのうて、神社でなんちゃあ出来ざったそれが今になって出ちゅうのかもしれん。そがな気がした。
「けんど、今の薙は楽しめる。付喪神のわしらはまっこと面白い思わんか?」
「そうだね」
「薙は他に何かやりたいことはないか聞いてもええがか?」
「私は今はここでの暮らしに満足しているけど、やっぱり前の主様のことを思い出したいかな」
…やっぱりそうか。
謝ろうと口を開きかけた時、薙が続ける。
「思い出せばいろーんなものの見方が変わるかもしれない。そうしたら、陸奥みたいに私も世界を知れる気がする」
取り戻せちゃあせん記憶に縛られちょった薙が考え方を変えて前向きになっちょった。今までわしらに見せよったものとは異なる、すっきりとした表情。
「そう思うようになったがはいつからがか?」
「今」
即答してはにかんだ。その笑顔が眩しかった。
わしゃあらゆるがを撮るがが好きだけんど、カメラに収めようとして収められるものじゃない瞬間の方が好きや。
えいものが見れた。
薙のその姿を見れたがはわしだけや思うとなんかくすぐったい。
「お猪口を出しとーせ」
「え?」
「祝杯じゃ」
それに嬉しそうに頷いた。互いに酒を注いでちっくと高めにお猪口を掲げる。
わしの知らん世界を知る薙の話を聞くがが楽しい。薙も薙が知らんわしの話を聞くがも楽しいようや。
互いが知らん世界の話を聞く。それは互いを補い合うということ。
「…でもね」
「ん?」
「前の主様のこともそうなんだけど、それとは別に思い出さなきゃならないことがある気がするんだ」
歪で本当に小さい欠片のようなもの、と小さく手を握った。
「前の主様と同じくらい、大切なものの気がする」
「薙…」
はっとした顔をして酒瓶を手にした。
「あ、まだお酒あるよ。飲もう?」
「お、おぅ…」
薙はそれをわしに話してくれる日は来るがやろうか。
