女性審神者の名前です。
梅「審神者として出来ることは全てやらなきゃ」
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~清光side~
「一気に5台も揃えようとしなくても良かったのに…」
俺からの報告に何だか申し訳なさそうに鍋の具をよそった。俺の分もよそってくれて、しっかりと冷ましてから口に運ぶ。
今回も夕餉は主と俺で2人きり。堀川はこの間のように下で和泉守たちと食べている。
あの人と一緒に食事が出来るようになるのはいつになるんだろ。
夕餉の前に堀川があの人の熱を測って、主の予想通り熱が少し上がったらしい。意識が戻れば解熱剤を飲ませられるし、薬研には身長を教えてあるから準備してくれてるんだろうけど…。
一足先に油揚げを食べ終えたこんのすけが、食事中の堀川に代わってあの人のところへと向かう。夕餉の後に式札を変えた方がいいとのことだった。
「それにしても、お小夜も花を育て始めてから大分変わったね」
「ん、俺もそう思う」
作業台に置かれた花瓶を見やった。水仙が3輪。左文字兄弟3振りと同じ数にしたのも優しさを感じる。
“仲間を思いやる気持ちって、いいよね”
安定の言葉がじんわりと広がる。
「優しい笑み。何を思い出したの?」
「え、俺笑ってた?」
「うん」
「優しい奴らばっかだなーって改めて思っただけ」
「本当にそうだね」と主もふわりと笑った。
俺は刀剣だった頃は沖田くんと一緒に過ごしていたから、ある程度は人の生活が分かるし、知識もある。でもこの人はどうなんだろう。分からないことがあったら教えてあげられるけど、女性となれば色々と変わってくるはず。そこまでは俺は良く分からないから、そこは主に任せるしかないか。
そんなことを考えていたら、こんのすけが驚きの声を上げる。
「あっ!…えぇっ?!」
「え、どしたの?!」
「目を覚まされました!そして気を失われました!」
「へっ?!」
ワケが分からずお椀と箸を持ったまま固まる主。多分、理由はこうだ。
「あー…、こんのすけが喋ったからじゃないかな…」
「ぼ、僕ですか?!」
「動物が喋ればそりゃ驚くって。和泉守が顕現した時のあの驚きよう、忘れたの?」
「あれは…、その…、はい…」
多くの刀剣男士が人の身を得て驚く姿は何回も見てきた。ただこんのすけが喋って驚いたのは数振りだ。和泉守に御手杵、あと安定。鳴狐のキツネに驚いていたのもいたっけ。
しょんぼりとするこんのすけの頭を撫でて、食事のペースを早める。その間に堀川が来て、そのことを伝えたら和泉守の時のことを思い出したようで苦笑いを浮かべた。
「でも、目が覚めて良かったです。僕があの人のことを看てますから、主さんも加州さんもゆっくり食べていて下さい」
「そおいふわけにふぁいかないでふぉ」
「主、食べるか喋るかどっちかにして…」
「んー」とパクパクとつみれと白菜を口に運んで汁を飲み干し、あっという間に「ご馳走様でした」と手を合わせた。
片付けがてら薬研から解熱剤をもらって来ると伝えて下に降りた。
「燭台切~、ご馳走様~」
「お粗末様。食器はそこに置いといていいからね」
「ボクたちが洗っておくね~」
「サンキュ、乱」
流石に人数が多いので、食器洗いは厨当番以外の者も担当している。この日は粟田口たち。後から鳴狐と鯰尾、骨喰も来るらしい。
「ごめん、手伝えなくて」
「大丈夫だよ。新人さんのお世話、頑張ってね」
「サンキュ」と改めて礼を伝えて調合室に行ってみると、そこには既に薬研が漢方の本を読んでいた。
「お、解熱剤か?」
「そ。ある?」
「あぁ。ってことは、目が覚めたのか?」
「うん、今は気を失ってる」
すぐにこんのすけが原因と気付いたのか、「ハハハッ」と笑った。
「食前でも食後でも問題ない薬だ。寒さで体調も霊力も安定しないだろうし、ひとまずは5回分な。足りなかったら言ってくれ」
「分かった」
「頑張れよ~」と薬研からも励ましの言葉を貰って2階に戻る。あの人はまだ意識が戻っていないらしく、主と堀川が見守っていた。意識が戻るまで見守れるのが嬉しいような、まだ戻っていないのが心配なような、ちょっと複雑な気持ちだ。こんのすけはまた驚かせちゃうからと離れたところから見守っていた。
「あ」
しばらくして瞼がピクリと動く。ほんの少しだけ眉間に皺を寄せた後、ゆっくりと目を開けた。虚ろな顔のまま「良かった~」と安堵する主を見た。
「…?」
人の身が不思議なんだと思う。横になったまま手足の感覚を確かめている。
「私は遥。具合はどうかな」
小さく首を傾げた。どう説明すればいいのか分からないらしい。それも仕方ない。
そうして、その人は何かを伝えようとしてハッとした表情を見せた。口を動かしてはいるけれど、声が出ないらしい。
「喋れない…?霊力の乱れが原因ですかね」
何かを伝えたくても伝えられない状態に、悲しそうな表情を見せた。
「分かった、話せるようになるまで待つね。そうしたら名前とか体調とか教えてね」
表情を変えないままゆっくりと首を横に振った。そうしてゆっくりと口を動かす。
“名前が分からない”…?
「そっか…」
ポロリと涙を流した彼女の頬を袖で優しく拭う主。そうして髪を梳くように撫でて、「大丈夫だよ」と微笑んだ。
「今ね、あなたの霊力が乱れてるの。霊力を整えられるお香を焚いているし、落ち着けば話せるようになると思う。だから、それまでゆっくり休んでね」
コクリと小さく頷いた。見る限り、この人を起こして解熱剤を飲ませるのは難しそうだ。
堀川が新しく手拭いを替えて額に乗せると、その冷たさが心地良いのかすぐに眠りについた。
「俺たちが思ってる以上に時間掛かりそーね」
「…うん。今日は2振りともここまでで大丈夫だよ。私も式札替えてサッとお風呂入って来るから」
「ん、分かった。このこと、俺から長谷部と燭台切に伝えとこうか?」
「お願い出来る?」
「任せて」と静かに堀川と部屋を出た。
「一気に5台も揃えようとしなくても良かったのに…」
俺からの報告に何だか申し訳なさそうに鍋の具をよそった。俺の分もよそってくれて、しっかりと冷ましてから口に運ぶ。
今回も夕餉は主と俺で2人きり。堀川はこの間のように下で和泉守たちと食べている。
あの人と一緒に食事が出来るようになるのはいつになるんだろ。
夕餉の前に堀川があの人の熱を測って、主の予想通り熱が少し上がったらしい。意識が戻れば解熱剤を飲ませられるし、薬研には身長を教えてあるから準備してくれてるんだろうけど…。
一足先に油揚げを食べ終えたこんのすけが、食事中の堀川に代わってあの人のところへと向かう。夕餉の後に式札を変えた方がいいとのことだった。
「それにしても、お小夜も花を育て始めてから大分変わったね」
「ん、俺もそう思う」
作業台に置かれた花瓶を見やった。水仙が3輪。左文字兄弟3振りと同じ数にしたのも優しさを感じる。
“仲間を思いやる気持ちって、いいよね”
安定の言葉がじんわりと広がる。
「優しい笑み。何を思い出したの?」
「え、俺笑ってた?」
「うん」
「優しい奴らばっかだなーって改めて思っただけ」
「本当にそうだね」と主もふわりと笑った。
俺は刀剣だった頃は沖田くんと一緒に過ごしていたから、ある程度は人の生活が分かるし、知識もある。でもこの人はどうなんだろう。分からないことがあったら教えてあげられるけど、女性となれば色々と変わってくるはず。そこまでは俺は良く分からないから、そこは主に任せるしかないか。
そんなことを考えていたら、こんのすけが驚きの声を上げる。
「あっ!…えぇっ?!」
「え、どしたの?!」
「目を覚まされました!そして気を失われました!」
「へっ?!」
ワケが分からずお椀と箸を持ったまま固まる主。多分、理由はこうだ。
「あー…、こんのすけが喋ったからじゃないかな…」
「ぼ、僕ですか?!」
「動物が喋ればそりゃ驚くって。和泉守が顕現した時のあの驚きよう、忘れたの?」
「あれは…、その…、はい…」
多くの刀剣男士が人の身を得て驚く姿は何回も見てきた。ただこんのすけが喋って驚いたのは数振りだ。和泉守に御手杵、あと安定。鳴狐のキツネに驚いていたのもいたっけ。
しょんぼりとするこんのすけの頭を撫でて、食事のペースを早める。その間に堀川が来て、そのことを伝えたら和泉守の時のことを思い出したようで苦笑いを浮かべた。
「でも、目が覚めて良かったです。僕があの人のことを看てますから、主さんも加州さんもゆっくり食べていて下さい」
「そおいふわけにふぁいかないでふぉ」
「主、食べるか喋るかどっちかにして…」
「んー」とパクパクとつみれと白菜を口に運んで汁を飲み干し、あっという間に「ご馳走様でした」と手を合わせた。
片付けがてら薬研から解熱剤をもらって来ると伝えて下に降りた。
「燭台切~、ご馳走様~」
「お粗末様。食器はそこに置いといていいからね」
「ボクたちが洗っておくね~」
「サンキュ、乱」
流石に人数が多いので、食器洗いは厨当番以外の者も担当している。この日は粟田口たち。後から鳴狐と鯰尾、骨喰も来るらしい。
「ごめん、手伝えなくて」
「大丈夫だよ。新人さんのお世話、頑張ってね」
「サンキュ」と改めて礼を伝えて調合室に行ってみると、そこには既に薬研が漢方の本を読んでいた。
「お、解熱剤か?」
「そ。ある?」
「あぁ。ってことは、目が覚めたのか?」
「うん、今は気を失ってる」
すぐにこんのすけが原因と気付いたのか、「ハハハッ」と笑った。
「食前でも食後でも問題ない薬だ。寒さで体調も霊力も安定しないだろうし、ひとまずは5回分な。足りなかったら言ってくれ」
「分かった」
「頑張れよ~」と薬研からも励ましの言葉を貰って2階に戻る。あの人はまだ意識が戻っていないらしく、主と堀川が見守っていた。意識が戻るまで見守れるのが嬉しいような、まだ戻っていないのが心配なような、ちょっと複雑な気持ちだ。こんのすけはまた驚かせちゃうからと離れたところから見守っていた。
「あ」
しばらくして瞼がピクリと動く。ほんの少しだけ眉間に皺を寄せた後、ゆっくりと目を開けた。虚ろな顔のまま「良かった~」と安堵する主を見た。
「…?」
人の身が不思議なんだと思う。横になったまま手足の感覚を確かめている。
「私は遥。具合はどうかな」
小さく首を傾げた。どう説明すればいいのか分からないらしい。それも仕方ない。
そうして、その人は何かを伝えようとしてハッとした表情を見せた。口を動かしてはいるけれど、声が出ないらしい。
「喋れない…?霊力の乱れが原因ですかね」
何かを伝えたくても伝えられない状態に、悲しそうな表情を見せた。
「分かった、話せるようになるまで待つね。そうしたら名前とか体調とか教えてね」
表情を変えないままゆっくりと首を横に振った。そうしてゆっくりと口を動かす。
“名前が分からない”…?
「そっか…」
ポロリと涙を流した彼女の頬を袖で優しく拭う主。そうして髪を梳くように撫でて、「大丈夫だよ」と微笑んだ。
「今ね、あなたの霊力が乱れてるの。霊力を整えられるお香を焚いているし、落ち着けば話せるようになると思う。だから、それまでゆっくり休んでね」
コクリと小さく頷いた。見る限り、この人を起こして解熱剤を飲ませるのは難しそうだ。
堀川が新しく手拭いを替えて額に乗せると、その冷たさが心地良いのかすぐに眠りについた。
「俺たちが思ってる以上に時間掛かりそーね」
「…うん。今日は2振りともここまでで大丈夫だよ。私も式札替えてサッとお風呂入って来るから」
「ん、分かった。このこと、俺から長谷部と燭台切に伝えとこうか?」
「お願い出来る?」
「任せて」と静かに堀川と部屋を出た。