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あの日からずっと【第1話】完

「思い出した?」

 ふるふると首を横にふる。考えなきゃいけない情報が多すぎて、何も考えられない。

「今でも凪沙が好きだよ。ちぃちゃんって呼んでた頃からずっと」

 唐突な告白とともに、背中にそっと手のひらが添えられた。触れられたところが、じんっと熱くなる。

「俺と付き合ってくれる? オッケーなら、抱きしめさせて」

 好きな男が誰かなんて、本当はどうでもいいんだって思った。雅道じゃないなら、博道にとってそれは、取るに足らないこと。

「博道くんのことが私……」

 勇気を振り絞った言葉は花火の音にかき消された。だけど、博道の両腕は私を包み込んだ。

 彼の耳には届いたみたい。

「もう一回言って」

 子どもみたいに甘えてくる博道の腕をキュッと握る。もうずっと、遠い人だと思ってたのに、こんなにも近くにいる。

「好きだよ、博道くんのこと。ずっとずっと好きだったよ」
「俺も好きだ、凪沙」

 さらに強く抱きしめてくる彼の胸に、鼻先をうずめた。同時に、盛大な花火と大きな歓声に包まれる。

「花火、見せてあげられなくてごめん」

 そう言った彼も、花火に背を向けてるから見れてない。

 花火よりも何よりも、ずっとくっついてたくて、離れられなくて。なんだかおかしくて、私たちはくすくす笑いながら、ずっと抱きしめ合っていた。



【完】
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