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あの日からずっと【第1話】完



 
 河川敷に向かう途中に、一発目の花火が打ち上がった。

「始まっちゃったね。雅道くん、間に合うかなぁ」

 出かける直前、「先に行ってて」と言われて、博道とふたりで出かけてきた。大勢の人波を振り返るが、雅道の姿はとても見つけられそうにない。

「あいつなら大丈夫だよ」
「そうだね。いっつもマイペースでひょうひょうとしてるしね」
「頼りになるっていうのは、雅道みたいな男のこと言うんだろうな」

 ため息混じりに言う。心なしか、傷ついてるみたいに。

 私にとって博道くんは遠い存在だけど、彼にとっても私たちは遠いのかもしれない。

「そんなことないよ。博道くんだって、すごいんだから」

 我ながら、博道くんの博識高さを、すごいなんていう単調な言葉でしか表現できなくて情けなく思う。

 それが伝わったのか、博道は苦笑いした。

「すごくはないよ。何をどうがんばったって、雅道には勝てないんだ」
「ほら、そんなこと言わないで。博道くんは博道くんなんだから、雅道くんと比べる必要なんてないんだし」

 使い古されたセリフを言ったのに、博道は泣きそうな、でも芯から嬉しそうな笑みを浮かべる。

 私が思うより、博道は何かに傷ついてきたのかもしれない。

 なんとなく気まずくて、沈黙した。
 打ち上がる花火だけを見つめて、しばらく歩いた。

 途中、地元の友人数人に出会った。あいさつ程度の会話しかしないけど、雅道がいないことに気づいた友人たちは、意味ありげな表情をした。まるで、私と博道が付き合ってると勘違いしたみたいだ。

「いつも3人だったから違和感があるだけだよ」

 私の心を覗き見したみたいに、博道が言う。

「そうだね。ずっと3人一緒だったよね」
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