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あの日からずっと【第2話】完




 凪沙が手を伸ばしてくるから、抱きとめるように抱きしめた。

 ちっちゃい凪沙は大人の女性になった今も、守りたいと思えるぐらい小さくて可愛い。
 雅道を好きなんだってずっと思っていたから、抱きしめてもキスしても、まだ現実味がなくて。

 どうしたら実感できるのか考えたら、やっぱりそれは、もっと親密な関係に、となってしまうから、欲深にならないように衝動を抑える。

「博道くん、大きいね」
「凪沙が小さいんだよ」

 俺の腕の中にすっぽりうずまる彼女を愛おしく抱きしめる。
 雅道にも抱きしめられたことないんだろう。あいつの方が、俺よりガタイがいい。

 雅道と間違えるなよ、って何度も何度も言いたいのに、一途に俺を想ってきてくれたなら、そんな心配も杞憂だ。

「気をつけて行ってきてね」
「凪沙も気をつけて」
「何に気をつけるのー?」

 彼女はくすくす笑う。

 これから先、凪沙を守るのは俺の役目で、雅道は俺の留守に守ってくれないだろう。

「俺はずいぶん雅道に甘えてたな」

 きょとんとする凪沙を抱きしめると、彼女はにこっと笑う。

「これからは私に甘えてね」




【第2話 完】
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