このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

あの日からずっと【第2話】完

 手のひらに鍵を乗せられて、戸惑う。

「は、はやくない?」
「凪沙なら早くないよ」
「でもなんか、ちょっと。ドキドキしちゃうね」

 幼馴染なんだから、付き合いは長い。そうは言っても、鍵を握っていいのかもわからない。戸惑っていると、博道はそっと笑って、私の指を優しく折っていく。

「帰ってくるの、部屋で待ってて」
「何時ぐらいに帰るの? 私も来週はお仕事あるし」
「夜かな。だから大丈夫だよ」
「夜なら、仕事帰りに寄ろうかな」
「そうだね。そのぐらいでちょうどいいよ」

 昨日、付き合うことになったのに、展開の早さに戸惑ってしまう。

「雅道は俺のマンション、来たことないから」
「そうなの? 意外」
「でも、もしかしたら来る日があるかもしれないから間違えたらダメだよ」

 意味がわからなくて首をかしげる。

「間違う?」
「雅道と俺、間違えたらダメだよ」

 カッとほおが赤くなる。
 さっきは博道を雅道と間違えて抱きついたけど、逆だったらって心配してるのだ。

「雅道くんの前で寝たりしないから」
「あたりまえだよ」
「それに、間違えない。間違えたことないから」

 博道と雅道は全然似てない。だけど、ちょっとしたしぐさが似てて、シルエットを見間違えることがないわけでもなくて。きっとそういうことも見透かしてて。
4/7ページ
スキ