このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

あの日からずっと【第2話】完




「凪沙、……雅道じゃないよ」
「えっ? あ、何? えっ! 博道くんっ?」

 博道と目が合うと同時に、彼の首に腕を回していたことに気づいて、パッと手を離す。

 状況がすぐに飲み込めない。

 ここは私の自宅。それは間違いない。いくらたまにしか帰らない自宅だとしても、幼馴染の家と間違うはずはない。

 それなのに、博道が目の前にいる。

 私はソファーに座ってて、博道がちょうどかがんだところで抱きついたみたいになっている。

「よく寝てたね。雅道の夢でも見てた?」
「夢……? あ、うんうん。夢見てた」

 いつの間に眠ってしまったんだろう。それになぜ、私の家に博道がいるのか。

「雅道と間違えた?」
「博道くんを?」

 ジッと見つめられたら、落ち着かない。雅道と間違えて博道に抱きついたなんて、彼は誤解してるのだ。

「どんな夢?」

 穏やかに言うけど、博道の目には懐疑心が浮かんでいる。

「そ、そう。雅道くんが刺される夢見てたみたい。危ないっ!って思ったところで目が覚めて。縁起悪いよね……」
「刺されて死ぬんだったら、悪い夢とも言えないよ。夢占いでいえばさ、凪沙の不安とか払拭してくれるのかな、雅道は」
「不安なんてないよ」
「もしあっても、俺を頼ってほしいけど」

 夢占いなんて、博道から聞くとは思ってなくておかしかったけど、笑えない。淡々と答える博道の言葉には棘がある。きっと怒ってる。
2/7ページ
スキ