刀さに
12月31日時刻23時30分
「もう、今年も終わりを迎えるのか…。」
時計を見た審神者はポツリと呟く。
審神者は1人、窓際に座り窓から月をみていた。
審神者の部屋には、床に座っていても外が見えるように設計された窓が一つだけあり、そこから外をたまに眺めている。
この本丸では、男士達は思い思いの場所で好きに年越しをする事が恒例である。
審神者は今年は特に約束もしていないことから、自室で1人月を眺めて過ごすことにした。
少し時間が経って、部屋の扉が軽くノックされた。
「主…いるかい?…入るよ」
そう声をかけて入ってきたのは、髭切だった。
髭切は審神者の姿を確認すると、スッと隣に座った。
「髭切どうしたの?…いつも膝丸と過ごしていたよね?」
毎年膝丸と過ごしているはずの髭切が己の隣に来たことに不思議そうな顔をしている審神者に髭切は楽しそうに返す。
「弟と過ごす年越しも良いけれど、今年は君と過ごそうと思ったんだ。…嫌じゃないでしょ?」
髭切はにこやかにそう言って審神者の顔をのぞきこんだ。
「また気まぐれ?まぁ、特に予定もないからいいよ。」
髭切はたまに審神者の隣に来てはふらっといなくなくなるので、審神者はまたかくらいに思った。
髭切は許可がでて、嬉しそうに体勢を直した。
暫し黙って2人で月を眺めていたが、髭切がぽつりと呟いた。
「気まぐれ…ってわけではないんだよ?」
「え?」
唐突につぶやかれた言葉にぼーっとしていた審神者は一瞬何を言われたのかわからなかった。
「君が言ったんだよ。大切に思う人と過ごすのも良い…ってね。僕にとって弟も大切だけど、それと同じくらい…君も大切に思ってるから、今年は君と過ごそうと思ったんだよ。」
髭切はにっこりと音がしそうなくらいの笑みを浮かべて審神者をみた。
「ありがとう。主として大事な人って言ってもらって嬉しいよ。」
審神者は髭切の言葉を主として認めてくれたのだ、という意味にとることにした。
髭切の言葉に他意はない、と思っているからだ。
そんな審神者の様子を見て、髭切は己の言葉が伝わっていないと悟った。
「ねぇ…。」
「ん?」
髭切が静かに声をかけてきたので不思議そうに審神者が返事をすると、真顔の髭切が審神者をみていた。
「髭切…?」
審神者がその様子を不思議に思い名前を呼んだ時、髭切は口を開いた。
「僕はね…君が主としても大切だけど、1人の女性としても大切に思ってる。僕は君が好きだよ。…君は気づいていないだろうけどね。」
「え…?」
髭切の突然の告白に審神者は一瞬何を言われたか理解できずに固まった。
髭切は固まった審神者の手をとると、目を合わせたまま続けた。
「本当はこんな事言うつもりはなかったんだけど…君をみてたら、言いたくなっちゃった。…僕は君が好きだよ。だからこれから覚悟してね?」
そう告げて、髭切は審神者の手を持ち上げて、手の甲に口付けを1つ落とした。
「ひ…髭切…。」
「あぁ、もう日付けが変わったね。今年もよろしくね?"僕の大切な"君?」
髭切は顔を真っ赤に染めて固まってしまった審神者の反応を暫し楽しむと、審神者をおいて自室に帰っていった。
審神者の部屋を出た髭切は大変機嫌良く自室に向かって歩く姿を何人かに目撃されたようだ。
「え…えぇ…?」
そして1人部屋に残された審神者は次に誰かが部屋に訪ねてくるまで呆然としていた。
✗
「もう、今年も終わりを迎えるのか…。」
時計を見た審神者はポツリと呟く。
審神者は1人、窓際に座り窓から月をみていた。
審神者の部屋には、床に座っていても外が見えるように設計された窓が一つだけあり、そこから外をたまに眺めている。
この本丸では、男士達は思い思いの場所で好きに年越しをする事が恒例である。
審神者は今年は特に約束もしていないことから、自室で1人月を眺めて過ごすことにした。
少し時間が経って、部屋の扉が軽くノックされた。
「主…いるかい?…入るよ」
そう声をかけて入ってきたのは、髭切だった。
髭切は審神者の姿を確認すると、スッと隣に座った。
「髭切どうしたの?…いつも膝丸と過ごしていたよね?」
毎年膝丸と過ごしているはずの髭切が己の隣に来たことに不思議そうな顔をしている審神者に髭切は楽しそうに返す。
「弟と過ごす年越しも良いけれど、今年は君と過ごそうと思ったんだ。…嫌じゃないでしょ?」
髭切はにこやかにそう言って審神者の顔をのぞきこんだ。
「また気まぐれ?まぁ、特に予定もないからいいよ。」
髭切はたまに審神者の隣に来てはふらっといなくなくなるので、審神者はまたかくらいに思った。
髭切は許可がでて、嬉しそうに体勢を直した。
暫し黙って2人で月を眺めていたが、髭切がぽつりと呟いた。
「気まぐれ…ってわけではないんだよ?」
「え?」
唐突につぶやかれた言葉にぼーっとしていた審神者は一瞬何を言われたのかわからなかった。
「君が言ったんだよ。大切に思う人と過ごすのも良い…ってね。僕にとって弟も大切だけど、それと同じくらい…君も大切に思ってるから、今年は君と過ごそうと思ったんだよ。」
髭切はにっこりと音がしそうなくらいの笑みを浮かべて審神者をみた。
「ありがとう。主として大事な人って言ってもらって嬉しいよ。」
審神者は髭切の言葉を主として認めてくれたのだ、という意味にとることにした。
髭切の言葉に他意はない、と思っているからだ。
そんな審神者の様子を見て、髭切は己の言葉が伝わっていないと悟った。
「ねぇ…。」
「ん?」
髭切が静かに声をかけてきたので不思議そうに審神者が返事をすると、真顔の髭切が審神者をみていた。
「髭切…?」
審神者がその様子を不思議に思い名前を呼んだ時、髭切は口を開いた。
「僕はね…君が主としても大切だけど、1人の女性としても大切に思ってる。僕は君が好きだよ。…君は気づいていないだろうけどね。」
「え…?」
髭切の突然の告白に審神者は一瞬何を言われたか理解できずに固まった。
髭切は固まった審神者の手をとると、目を合わせたまま続けた。
「本当はこんな事言うつもりはなかったんだけど…君をみてたら、言いたくなっちゃった。…僕は君が好きだよ。だからこれから覚悟してね?」
そう告げて、髭切は審神者の手を持ち上げて、手の甲に口付けを1つ落とした。
「ひ…髭切…。」
「あぁ、もう日付けが変わったね。今年もよろしくね?"僕の大切な"君?」
髭切は顔を真っ赤に染めて固まってしまった審神者の反応を暫し楽しむと、審神者をおいて自室に帰っていった。
審神者の部屋を出た髭切は大変機嫌良く自室に向かって歩く姿を何人かに目撃されたようだ。
「え…えぇ…?」
そして1人部屋に残された審神者は次に誰かが部屋に訪ねてくるまで呆然としていた。
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