刀さに

「もう、桜が満開になってる…。そんな時期なんだね。」

審神者は己の執務室の窓から見える己の運営する本丸と、刀剣男士達を見ながらしみじみと呟いた。

審神者の執務室は2階にあり、窓からは中庭で遊んでいる短刀達と満開の桜が見える。

「主様ー!!」「大将!!」

短刀達は審神者が見ていると嬉しそうに笑顔で手を降ってくる。審神者はそんな短刀達を見て微笑ましそうに手を振り返した。

「皆元気だなぁ」

そのまま短刀達を見守ってると、審神者の後ろから声をかけてくるモノがいた。

「主…?何を見てるのですか?…あぁ、短刀達が遊んでいるのですね。」

へし切長谷部はそっと審神者の横から窓の外を見て頷いた。

「あまり風に当たると身体を冷やしてしまいますよ。失礼します。…ほら、手が冷たくなってしまってるではないですか。」

へし切長谷部は審神者の手をそっと取って両手で包みこんだ。

「長谷部!?…え、手」

審神者は急に手を取られた事によりびっくりして、顔を少しずつ朱に染めながらおろおろし始めた。

「あ!?…申し訳ありません!!」

へし切長谷部は己が手を見て、徐々に頬が朱に染まりつつある審神者の顔を見て、真っ赤になり慌てて手を離した。

「えっと…気をつけるね、ありがとう。ちょっと自室に戻るね。」

審神者はへし切長谷部にはにかんだ笑顔で礼を告げると、朱に染まった顔を隠すように執務室の隣にある自室に戻っていった。

1人執務室残されたへし切長谷部は頬を朱に染めたまま暫し呆然と立ち尽くしていた。

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