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藤空が瞬歌を連れてきたのは海だった。
寒い冬の日で更に夜という事もあって……周囲に人の姿は無い。
静かな夜空に無数の星々が輝いている。 -
藤空
大丈夫?寒くない?
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藤空の問い掛けに瞬歌は頷く。
それを見た藤空は安心したように微笑んた。 -
藤空
……良かった。
自分の連れて来たいって想いに君が振り回されるのは嫌だったから -
藤空がそう告げた時、夜空に大きな花が咲いた。
冬の花火だ。
瞬歌は驚いた様子で顔を上げ、それから嬉しそうに微笑んだ。 -
藤空
凄いでしょ?瞬歌ちゃんに楽しんで貰おうと思って調べたんだ。
喜んでくれたみたいで……自分も嬉しいよ -
再び大きな花火が上がる。
歓声を上げる瞬歌に藤空はそっと寄り添った。
そうして最後の花火が上がる頃……。 -
藤空
今日こうして瞬歌ちゃんと一緒に花火が見れた事……自分は一生忘れないと思う。だって君が……とっても幸せそうだったから。
ねぇ…… -
藤空の呼び掛けに応えるように瞬歌が藤空を見つめる。
熱を持った視線が絡まった。 -
藤空
来年も再来年も……ずっと自分と一緒に居てくれる?
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藤空の言葉に瞬歌は驚いたような表情を浮かべたが……数分後、しっかりと頷いた。
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藤空
有難う……。じゃあこれは……誓いを込めて君に送るよ。
瞬歌ちゃんは自分がこれからもずっと守り続ける。君が自分を必要としてくれる限り、ね -
そうして藤空は瞬歌の首に何かを掛けた。
冷たい感触に驚く瞬歌をそっと後ろから抱き寄せる。 -
藤空
君が好きなキャラモチーフのネックレス。いつかそのモチーフキャラが自分になると良いな、なんてね
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そう言って微笑む藤空の言葉は……冗談なのか本気なのか、瞬歌にはわからなかった。
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