Chapter0 登校初日

  •  優月瞬歌。今日から『芸能総合国元学院』の学生です。

     所属学部は『アイドル学部』。『アイドルコース』と『作曲家コース』があるこの学部でわたしが選んだ専攻は『作曲家コース』の方です。

     小さい頃からアイドルに曲を作る事を夢見ていたわたしは……夢を叶える為にこの学院を受験しました。

  •  『芸能総合国元学院』は一年間でアイドルや作曲家等になる為の勉強をする学院です。
     元より倍率が高く、入学試験も卒業試験も厳しくて有名ですが……上手く行けば一年後に学院長である『レインボウ国元』先生の経営する『レインボウプロダクション』から芸能界デビューが決まります。

  •  入学試験は人の多さに驚いたけれど……合格して本当に良かったと思います。
     もしかしたら作曲のデータを送った事が……良かったのかも知れません。

     そうして今わたしは……夢を叶える為の場所に足を踏み入れようとしていました。
     でも今日に限って電車が遅れてしまいました。

  • 瞬歌

    はぁはぁはぁ……も、もう少し……

  •  諦めて途中の駅で降り、走って来たものの……そろそろ限界です。

  • 瞬歌

    ううう……もう駄目。ちょっと休憩です……

  •  ふら付きながらも何とか止まった時でした。
     わたしの後方から走って来て追い抜いた二つの影がありました。

  • 桐波

    兄さん、遅いって

  • 藤空

    桐波(きりなみ)が速過ぎるんだよ~

  •  思わず見てしまうとそこに居たのは既にアイドル『antithese(アンチセーゼ)』として活躍している兄弟アイドル。
     冬夏藤空(とうかふじぞら)さんとその弟の桐波さんでした。

  • 瞬歌

    ほ、本物のアイドル様が……目の前に!

  •  思わずわたしはその場に静止してしまいました。
     ……そんな時。

     再び後方からの足音が聴こえたと思った瞬間……背中から衝撃が伝わってきたのは。

  • 瞬歌

    きゃっ

  •  思わず悲鳴を上げてよろけてしまい、尻餅をついてしまいます。

  • モブ男

    あぶねーな、糞女!道のど真ん中で止まってんじゃねーぞ!!

  •  怒る相手の顔を見て……その姿勢のままで必死で頭を下げました。

  • 瞬歌

    すみませんっ!

  •  だけど相手はわたしの謝罪の言葉を待つ様子さえ無く、忙しなく駆けて行ってしまいました。

  • 瞬歌

    どうしよう……わたしのせいで嫌な思いをさせてしまった

  •  そう思ったら更に申し訳無くなって、顔が上げられなくなってしまいました。

     思えば小さい頃からこんな事ばかりでした。鈍臭いから……人に迷惑を掛けてばかり……。
     そのまま落ち込みそうになった時……。

  • ???

    あんた、大丈夫か?……立てる?

  •  そんな声と共に目の前に手が差し出されました。
     顔を上げるとそこには……

  • 桐波

    …………

  • 瞬歌

    え!?き……桐波さん!?
    ゆ、夢じゃなくて!?

  •  緊張と恥ずかしさでもう訳がわかりません!

  • 桐波

    ほら、捕まって

  • 瞬歌

    は、はひ!
    あ、有難うございますっ

  •  早口で御礼を言うのが限界でした。
     混乱したままですが、何とか捕まって立たせて貰います。
     するとその桐波さんの後ろから……藤空さんが何かを差し出していたのが見えました。

  • 藤空

    あ、あの……落ちちゃった荷物です

  •  確かに良く見るとそれはわたしが持っていた荷物でした。
     ぶつかった拍子に落としてしまったようです。

  • 瞬歌

    す、すみません!
    あ、有難うございますっ

  •  ああもっとちゃんと御礼を言いたいのに……緊張でどうしても上手くいきません。

  • 藤空

    あ、い……いや。
    それよりだ、大丈夫ですか?怪我してない……?

  •  藤空さんは勢い良く荷物を受け取ったわたしを驚いたように見て……それからそんな風に言ってくれました。

  • 瞬歌

    へ!?は、はいぃ!だ、大丈夫です。
    すみません!

  •  折角心配して下さったのに……わたしはそう答えるのが精一杯でした。

     その後は二人に対し反射的に頭を下げ、勢い良く去るのが限界でした。
    何て申し訳無い対応をしてしまったんでしょう……もっと上手に対応したいのに。

     心機一転、どうにか頑張ろうとは思うのですが……中々難しい。
     そう思っていた。この時はまだ……。

タップで続きを読む

夢ストーリー設定

名前やアイコンを変更したい登場人物を選択してください。

登場人物

アイコンを変更

チャットの発言者名

苗字

名前

あだ名

登場人物

アイコンを変更

チャットの発言者名

苗字

名前

あだ名

夢ストーリー設定

アイコンの変更には、フォレストページ+へのログインが必要です。

ログインする

アカウントをお持ちでない場合