短編
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小さい頃から大好きな祖母と一緒に居たくて本丸には入り浸っていた。母の事はもちろん大好きだけどそれよりも祖母に懐いていた。父と離婚した母は私を1人で育てるために仕事が忙しかった。そのため祖母によく預けられていたので一緒にいる事が多かったのもあるのだろう。
私が本丸に初めて顔を出したのは小学一年生の時。両親が離婚をして私のことを預けたのが始まり。それまでは祖母が私の家に遊びにきてくれていた。
『ここが、ばあちゃんのお家?』
「そうだよ、たくさんいるけど皆んなばあちゃんの味方なんだよ」
初めて刀剣男士と会った時には少し戸惑った。人見知りがあった私の小さな脳みそはパンクしかけた。
「主、このちっこいのは誰だ?」
「私の孫の名前だよ」
その時私は一目惚れをした。
『この白い人・・・好き』
毎日のように鶴丸にアタックしていた。好きだの、彼女にしてだの、結婚してだの。散々騒いでた。それも小学生から中学生を卒業する頃まで。全く相手にされる気配がなかったので高校に進むと同時にわかりやすいアピールはやめた。周りの友達と同じ様に彼氏を作ったりしてみた。
『鶴丸鶴丸!!』
「なんだ?」
『彼氏できた!!』
「そいつは驚きだな!!おめでとう」
嫉妬してくれるかなとか思ってたのもアホらしくなった。
鶴丸にとって私はただの主の孫でただの人なんだと思った。
それと何となく気づいていた。鶴丸が本当に好きな人がいる事を。祖母の事が好きなんだと。この本丸の刀剣男士とは何十年もの付き合いだと祖母は教えてくれた。今も祖母は綺麗な人だけど昔の写真を見るととても綺麗な人だった事が分かる。その頃の祖母を知っているのなら好きになるのも分かる。
諦めるとはいかないけどある日突然叶えば嬉しいぐらいの軽い気持ちでいようと決めた。
『私が審神者!?』
「そ、私ももう歳だし任せるなら名前しか嫌なの。初期刀の清光も名前ならいいって喜んでるし」
隣に座る清光を見る。
「俺、お嬢が主ならめっちゃ嬉しいよ」
祖母に呼ばれたと思えば私にこの本丸の審神者をして欲しいとのこと。素質はかなりあると適性診断をした時に出ているので何も問題はない。
『でも私なんかに・・・』
「私の自慢の孫なんだしできるでしょ」
その一言でできる気がした。
『分かった。私がこの本丸の主になるよ』
大学を卒業してすぐに審神者となった。祖母は母と2人で暮らす事になった。ゆっくりと毎日を過ごして欲しい。
『えっと、今日からよろしくお願いします』
温かく向かい入れてもらえた。
「とりあえず近侍は俺、加州清光「「「「それはするい・だろ・ぞ・です」」」」
口々に反論が飛び交ったので毎日くじで決めることにした。
毎日忙しかった。当番を決めたり出陣を考えたり報告書をまとめたり。でも楽しいは楽しかった。主になって刀剣男士のみんなと距離も縮まった気がする。そんな中鶴丸との距離感は大きく変わる事もなかった。気づけば審神者になって1年程経っていた。
「主はん、もっと気楽にいったほうがいいんちゃいます?」
特に明石とはよく話すようになった気がする。審神者じゃなかった時から話はよくしてたけど最近はよく話しかけてくれるようになった。
『気楽にいってるけどね』
「ならいいんですけど」
『何々?心配でもしてくれてるの?』
「そんなんちゃいます」
なんて言って自室に帰って行った。
今日の近侍は蛍丸。ついでに聞いてみた。
『最近の明石なんだけど、よく私に話しかけてくるんだけどなんか知ってる?』
「うーん、何も聞いてないよ?」
『そっか、それならいいんだ』
みんなで夜ご飯を食べ終わってお風呂も済まして寝ようと思ったが中々眠くならないこともあり少し中庭を歩いていた。人影があった。がさがさと何かしている。思い切って声をかけてみた。
『そこで何してるの?』
「これは驚かされたぜ」
『鶴丸か・・・で、その大きな穴は何かな?』
「落とし穴に決まってるだろ」
ドヤ顔で言う鶴丸に呆れた。
『そんな自慢げに言うものじゃないでしょ!!』
「まぁまぁ、そんなに怒るなって」
『早く埋め・・・ぎゃあ!!』
一歩踏み出したら落とし穴にハマった。まさかこんな至近距離にもう一つ作っているとは思わなかった。
『・・・最悪・・・またお風呂行かないとじゃん』
「これは派手に落ちたな」
『嬉しそうにしてないで助けて』
「悪い悪い」
伸ばしてくれた手に掴まる。そのまま軽々と私を引き上げてくれた。
「怪我はなさそうだな」
『ないよ・・・』
怒っている私をまるで子供を宥めるみたいに頭をポンポンする。
「まさかきみが落とし穴にハマるとは思ってなかったよ」
『落とし穴掘るの禁止だからね!!』
「またきみが落とし穴にハマってしまっては困るからな」
『笑わないでよー』
やっぱり怒りきれない。この笑顔が好きだから。2人で鶴丸の掘った落とし穴を埋める。久しぶりに2人でゆっくり話をした気がする。
「最近、審神者の仕事はどうだ?」
『忙しいけどだいぶ慣れた』
「そうか」
少し踏み込んだ事を聞いてみた。
『鶴丸はさ、ばあちゃんの事好きだったでしょ?』
「好きというか、審神者として人として尊敬してたよ」
『嘘だ!!絶対ばあちゃんの事好きだったでしょ?』
苦笑いが帰ってきた。図星だったのだろうか。
「どうして分かった?」
『だってさ、私と接する時とばあちゃんと接する時の雰囲気が違った。私は友達みたいな接し方なのにばあちゃんの時は丁寧に大切だって感じの接し方だったから』
「よく見てるな」
『これでも鶴丸のこと好きだからね』
祖母のどこが好きだったのか聞いてみた。
「人として尊敬できる所が1番だな」
『それだけ?』
「それだけだ。それにしっかりフラれてる」
『えっ!!?』
何年も前に祖母に告白をしたらしい。でも鶴丸の言葉通りしっかりフラれたと。
「気持ちは嬉しいけど・・・私は旦那一筋なの。ごめんね」
と、言われたらしい。祖父は私の母が生まれてすぐに不慮の事故で亡くなったらしい。祖父が亡くなってすぐに審神者になったと聞いている。母は曽祖母達にお世話をしてもらっていたと母が言っていた。
『じゃあ、私の恋する気持ち分かるでしょ?』
「きみはきみだ」
はぐらかされてしまった。
『私がどれだけ鶴丸の事好きかどうしたら伝わるんだろうねー』
返事は帰ってくる事はなかった。
「よし、これでいいだろ」
『ふわぁ〜、クソ眠い・・・お風呂だけは頑張って入るぞ』
「明日は出陣も内番もなしにしてくれ」
『それはどうだろうね』
お風呂を済ませて布団に入るとすぐに寝れた。
本日の近侍は燭台切さん。
「昨日は鶴さんがごめんね」
『大丈夫だよ』
「今日はゆっくりして、僕がなるべく主の仕事するし」
『それは助かる、ありがとう』
全身筋肉痛なのでとてもありがたい。
『じゃあ、早速二度寝タイムといきますか!!』
二度寝から目が覚めら丁度お昼ご飯だった。お昼を食べようと移動するために部屋から出たら明石がいた。
「ちょうどいい所に、お昼ご飯食べましょ」
『今食べに行こうとしてた所だよ』
「ほな、行きましょ」
広い本丸を明石と移動していた。
「主はん、鶴丸国永との恋の進み具合はいかがですか?」
『何も進歩してないけど何か良い案あるの?』
「自分と付き合ってみるとかどうです?」
『・・・は?』
明石が何か言い出した。
「きっと主はんの事が好きなら自分とくっついたら向こうから何かしらアクション起こすと思うんですよね」
『もし何もアクションがなかったら?』
「本当に自分と付き合うとか?」
『また冗談言って』
「冗談ちゃいます、本気ですよ?」
明石が真面目な顔でそう言う。
『・・・・・』
「ゆっくりでいいんでまた返事ください」
明石は先にみんなの集まる部屋に入っていった。さっきの提案に戸惑っていたら後ろから声をかけられた。
「入らないのか?」
『っびくりした・・・入る入る』
「そうか」
声の主は伽羅ちゃんだった。不思議そうな顔をして先に入っていた。その後の1日中は明石の提案の話で頭がいっぱいだった。どうするのが正しいのだろうと。明石のあの言い方だと私の事が好きということになる。追う恋より追われる恋の方が良いとも聞く。作戦が失敗したら鶴丸を諦めて明石を好きになってみるのもありかなんて思えてきてしまった。でもそれは何か違うな・・・。
「難しそうな顔してどうしたの?」
燭台切さんが優しく声をかけてくれる。
『友達の話なんだけどね。好きな人に振り向いてもらうために別の人と付き合ってみるっていうのはどう思う?ちなみにその別の人はわ・・・じゃなくて友達の事が好きなんだって』
「うーん、僕はあんまりそういうの好きじゃないかな?良い様に利用してる感じに思えちゃう。だって好きな人と付き合えたらのその彼は悲しい思いをするだけでしょ?」
『・・・・・・そうだよね』
「ってお友達に伝えといてあげて」
『あ、うん!!友達に伝えとく!!』
明石と付き合うのは辞める事にした。それに前に彼氏を作って付き合ったって報告した時1ミリも嫉妬していなかった事も思い出したし。返事はゆっくりでいいって言ってたので明日にする事にした。
次の日、明石を見つけて声をかける。
『昨日の話なんだけど辞めとくね。私だけの力で鶴丸に振り向いてもらいたいし』
「そういう答えが返ってくると思ってました」
『ごめんね』
「良いんですよ、自分が主はんの眼中にない事がしっかり確認できましたし」
『まぁ、眼中にないね』
「そんなはっきり言うなんてひっどいですな〜」
『ごめんごめん。じゃあ私は仕事に戻っ「危ない!!」
明石に引き寄せられて腕の中だ。
「あるじさまごめんなさい!!」
五虎退ちゃんの虎くんが元気よく走っていた。極になってからかなり大きくなったのでぶつかったら一溜まりもない。
『大丈夫大丈夫、五虎退ちゃん顔上げて?私は無傷だから?』
「ごめんなさい」
明石から離れて五虎退ちゃんをあやしてたら一期さんが来てくれたので何とかなった。
自分の部屋に戻って仕事を再開しようとしたら明石に引き止められた。
「主はん」
『どうしたの?』
「やっぱ、諦めたくないですわ・・・主はんの事」
『そう言われても・・・』
「・・・・・・少しだけ自分に時間くれませんか?」
「おーい、主。光坊が呼んでるぜ」
『鶴丸が呼んでるから行くね?ごめんね、明石』
鶴丸に呼ばれた事によって明石との話は終わった。
『燭台切さんがどうしたの?』
「困ってそうだったから呼んだだけだ。もし邪魔をしたって言うなら謝るがな」
『・・・ありがとう』
「明石と何を話てた?」
いつもと鶴丸の雰囲気が違う気がした。
『別に、大したことない話だよ』
「・・・それにしては明石は真剣そうだったけどな」
鶴丸を突っ切って部屋に戻ろうとしたら阻止された。
「おっと、行かせないぜ」
『鶴丸には関係ないじゃん』
「関係ないかもしれないが少しばかり気になるからな」
『・・・・・・明石が私の事好きなんだって』
「付き合うのか?」
『付き合わないよ、部屋戻るから退いて』
私の気持ちを知っているくせに。
「少しきみと話がしたい」
『何の?』
「それは話てからのお楽しみだ」
私の部屋に移動する。
『で、話って何?』
「率直に言う」
『うん、何?』
胡座で座っていた鶴丸が正座をする。
「きみのことが好きだ」
一瞬何を言っているのか理解ができずに固まってしまった。
「少し長くなるが聞いてくれて」
きみと初めて顔を会わせた日はよく覚えている。前の主、きみの祖母の後ろに隠れる様にぴったりとくっついていたからな。
「主、このちっこいのは誰だ?」
「私の孫の名前だよ」
小さくて今にも壊れてしまいそうな人間だと思った。
『この白い人・・・好き』
その一言に俺は驚かされた。面白い人間だとは思ったが流石に年端もいかない人間にましてや初対面で恋愛感情なんて抱くわけがない。
きみは会う度に俺に好意を伝えてくれた。適当に遇らっていたのに諦めることなく俺に好意を伝えてくれていた。でもきみが高校というものに上がった時にそれは終わった。俺に話しかけてはくれるが好意を伝える事はほとんどなくなった。
『鶴丸鶴丸!!』
「なんだ?」
『彼氏できた!!』
「そいつは驚きだな!!おめでとう」
これにも驚いた。でもおめでとうと言った時にきみの顔は喜ぶではなく悲しそうな顔をしていたのを覚えてる。それと同時に俺の心の奥でも何かざわざわとした物があった。
俺がきみを好きだと認識したのは割と最近だったりする。認識というよりかは認めたくなかったという方が正しいかもしれない。
審神者になって成長していくきみの容姿は祖母に段々と似ていく。若い頃の彼女を思い出す。彼女を好きでいた時の気持ちが蘇ってくる様な感覚があった。まるで彼女の変わりに君を好きになっている様な気がして認めたくなかった。でもそんなある日審神者を辞めて遊びに来た彼女に言われた。
「鶴丸」
「なんだ?」
「名前の事好きなんでしょ?」
「・・・そんな訳ないだろ?」
「その割にずっとうちの可愛い孫を目で追ってるのがバレバレだよ」
「きみには敵わないな」
「何年見てきたと思って。見てたら分かるよ」
「・・・そうだな、あの子が好きだ」
容姿は同じでも中身は全然違う。彼女は何でも簡単にこなして完璧だった。でもきみは飲み込みがそこまで早くないから努力する。他にも刀剣男士達との関わり方も違う。彼女は大切にはしてくれていたがどこか一線引いていた気がする。たぶん俺達に恋心を抱かせないためだったのかもしれないな。まぁ、俺にそれは意味がなかったが。でもきみは家族のように近い距離で接している。本丸にいる時は沢山話しかけてくれる。重傷で帰ろうものなら大騒ぎになる。軽傷でも大騒ぎはしているが。彼女は大騒ぎせず落ち着いた対象をしていたな。一度重傷で帰った時には涙を溜めて慌てふためいていたのを思い出す。
『鶴丸、死なないでええええ!!鶴丸がいなくなったら私も死ぬ!!』
って。
気付けば全てに全力で表情が豊かなきみに完璧に惹かれていた。ただ今更好きだと言うのはなかなか言い出せなかった。
「付き合う事があってうちの可愛い孫を泣かせたら容赦しないからね。死んでも化けて出てやるんだからね」
と、脅しも入ってはいたのもあった。彼女が怒ると本当に怖いのはこの本丸に昔からいる刀剣男士なら全員知っているはずだ。
ただ最近、明石がよく話しかけている事には気づいていた。
「国永、このままじゃ明石国行にとられるかもしれないぞ。いいのか」
伽羅坊からそう知らされた。偶然聞いてしまったと言っていた。明石ときみが付き合って俺の気を惹かせようと、もし失敗したなら明石と付き合うという提案をされていたと。
まず、伽羅坊が俺の気持ちに気付いていたことに驚いたがそこは触れないでおいた。
どうしたらいいのか迷っていた所、きみと明石の2人が何やら話し込んでいるのを見た。五虎退の虎がきみにぶつかりそうになった所を明石が引き止めた。そのまま明石の腕の中に収まるきみを見ていたら複雑な気持ちになった。嫉妬していた。だからきみと明石と引き離したくて嘘の理由で声をかけた。こんな感情が出てくるなんて思ってもいなかった。驚かされた。
『じゃあ、私と・・・鶴丸は両思いってことでいいの・・・・・・?』
「そういうことだ。驚いたか?」
『驚いたも何も嬉しいに決まってるでしょ!?』
鶴丸に飛びついた。前なら避けられていたのに今日は受け止めてくれた。
「伝えるのが遅くなって悪かったな」
『悪いと思ってるなら許してあげる!!』
「沢山待たせたかわりに1つだけ何でもきみの言う事を叶えよう」
そう言われてもすぐ思いつかなかった。考えて考え抜いた結果出た答えがこうだった。
『私を1番幸せな審神者にしてくれたらそれでいいよ』
「中々に難しい願いだが必ず叶えてみせよう」
私のおでこに優しくキスがおとされた。
私が本丸に初めて顔を出したのは小学一年生の時。両親が離婚をして私のことを預けたのが始まり。それまでは祖母が私の家に遊びにきてくれていた。
『ここが、ばあちゃんのお家?』
「そうだよ、たくさんいるけど皆んなばあちゃんの味方なんだよ」
初めて刀剣男士と会った時には少し戸惑った。人見知りがあった私の小さな脳みそはパンクしかけた。
「主、このちっこいのは誰だ?」
「私の孫の名前だよ」
その時私は一目惚れをした。
『この白い人・・・好き』
毎日のように鶴丸にアタックしていた。好きだの、彼女にしてだの、結婚してだの。散々騒いでた。それも小学生から中学生を卒業する頃まで。全く相手にされる気配がなかったので高校に進むと同時にわかりやすいアピールはやめた。周りの友達と同じ様に彼氏を作ったりしてみた。
『鶴丸鶴丸!!』
「なんだ?」
『彼氏できた!!』
「そいつは驚きだな!!おめでとう」
嫉妬してくれるかなとか思ってたのもアホらしくなった。
鶴丸にとって私はただの主の孫でただの人なんだと思った。
それと何となく気づいていた。鶴丸が本当に好きな人がいる事を。祖母の事が好きなんだと。この本丸の刀剣男士とは何十年もの付き合いだと祖母は教えてくれた。今も祖母は綺麗な人だけど昔の写真を見るととても綺麗な人だった事が分かる。その頃の祖母を知っているのなら好きになるのも分かる。
諦めるとはいかないけどある日突然叶えば嬉しいぐらいの軽い気持ちでいようと決めた。
『私が審神者!?』
「そ、私ももう歳だし任せるなら名前しか嫌なの。初期刀の清光も名前ならいいって喜んでるし」
隣に座る清光を見る。
「俺、お嬢が主ならめっちゃ嬉しいよ」
祖母に呼ばれたと思えば私にこの本丸の審神者をして欲しいとのこと。素質はかなりあると適性診断をした時に出ているので何も問題はない。
『でも私なんかに・・・』
「私の自慢の孫なんだしできるでしょ」
その一言でできる気がした。
『分かった。私がこの本丸の主になるよ』
大学を卒業してすぐに審神者となった。祖母は母と2人で暮らす事になった。ゆっくりと毎日を過ごして欲しい。
『えっと、今日からよろしくお願いします』
温かく向かい入れてもらえた。
「とりあえず近侍は俺、加州清光「「「「それはするい・だろ・ぞ・です」」」」
口々に反論が飛び交ったので毎日くじで決めることにした。
毎日忙しかった。当番を決めたり出陣を考えたり報告書をまとめたり。でも楽しいは楽しかった。主になって刀剣男士のみんなと距離も縮まった気がする。そんな中鶴丸との距離感は大きく変わる事もなかった。気づけば審神者になって1年程経っていた。
「主はん、もっと気楽にいったほうがいいんちゃいます?」
特に明石とはよく話すようになった気がする。審神者じゃなかった時から話はよくしてたけど最近はよく話しかけてくれるようになった。
『気楽にいってるけどね』
「ならいいんですけど」
『何々?心配でもしてくれてるの?』
「そんなんちゃいます」
なんて言って自室に帰って行った。
今日の近侍は蛍丸。ついでに聞いてみた。
『最近の明石なんだけど、よく私に話しかけてくるんだけどなんか知ってる?』
「うーん、何も聞いてないよ?」
『そっか、それならいいんだ』
みんなで夜ご飯を食べ終わってお風呂も済まして寝ようと思ったが中々眠くならないこともあり少し中庭を歩いていた。人影があった。がさがさと何かしている。思い切って声をかけてみた。
『そこで何してるの?』
「これは驚かされたぜ」
『鶴丸か・・・で、その大きな穴は何かな?』
「落とし穴に決まってるだろ」
ドヤ顔で言う鶴丸に呆れた。
『そんな自慢げに言うものじゃないでしょ!!』
「まぁまぁ、そんなに怒るなって」
『早く埋め・・・ぎゃあ!!』
一歩踏み出したら落とし穴にハマった。まさかこんな至近距離にもう一つ作っているとは思わなかった。
『・・・最悪・・・またお風呂行かないとじゃん』
「これは派手に落ちたな」
『嬉しそうにしてないで助けて』
「悪い悪い」
伸ばしてくれた手に掴まる。そのまま軽々と私を引き上げてくれた。
「怪我はなさそうだな」
『ないよ・・・』
怒っている私をまるで子供を宥めるみたいに頭をポンポンする。
「まさかきみが落とし穴にハマるとは思ってなかったよ」
『落とし穴掘るの禁止だからね!!』
「またきみが落とし穴にハマってしまっては困るからな」
『笑わないでよー』
やっぱり怒りきれない。この笑顔が好きだから。2人で鶴丸の掘った落とし穴を埋める。久しぶりに2人でゆっくり話をした気がする。
「最近、審神者の仕事はどうだ?」
『忙しいけどだいぶ慣れた』
「そうか」
少し踏み込んだ事を聞いてみた。
『鶴丸はさ、ばあちゃんの事好きだったでしょ?』
「好きというか、審神者として人として尊敬してたよ」
『嘘だ!!絶対ばあちゃんの事好きだったでしょ?』
苦笑いが帰ってきた。図星だったのだろうか。
「どうして分かった?」
『だってさ、私と接する時とばあちゃんと接する時の雰囲気が違った。私は友達みたいな接し方なのにばあちゃんの時は丁寧に大切だって感じの接し方だったから』
「よく見てるな」
『これでも鶴丸のこと好きだからね』
祖母のどこが好きだったのか聞いてみた。
「人として尊敬できる所が1番だな」
『それだけ?』
「それだけだ。それにしっかりフラれてる」
『えっ!!?』
何年も前に祖母に告白をしたらしい。でも鶴丸の言葉通りしっかりフラれたと。
「気持ちは嬉しいけど・・・私は旦那一筋なの。ごめんね」
と、言われたらしい。祖父は私の母が生まれてすぐに不慮の事故で亡くなったらしい。祖父が亡くなってすぐに審神者になったと聞いている。母は曽祖母達にお世話をしてもらっていたと母が言っていた。
『じゃあ、私の恋する気持ち分かるでしょ?』
「きみはきみだ」
はぐらかされてしまった。
『私がどれだけ鶴丸の事好きかどうしたら伝わるんだろうねー』
返事は帰ってくる事はなかった。
「よし、これでいいだろ」
『ふわぁ〜、クソ眠い・・・お風呂だけは頑張って入るぞ』
「明日は出陣も内番もなしにしてくれ」
『それはどうだろうね』
お風呂を済ませて布団に入るとすぐに寝れた。
本日の近侍は燭台切さん。
「昨日は鶴さんがごめんね」
『大丈夫だよ』
「今日はゆっくりして、僕がなるべく主の仕事するし」
『それは助かる、ありがとう』
全身筋肉痛なのでとてもありがたい。
『じゃあ、早速二度寝タイムといきますか!!』
二度寝から目が覚めら丁度お昼ご飯だった。お昼を食べようと移動するために部屋から出たら明石がいた。
「ちょうどいい所に、お昼ご飯食べましょ」
『今食べに行こうとしてた所だよ』
「ほな、行きましょ」
広い本丸を明石と移動していた。
「主はん、鶴丸国永との恋の進み具合はいかがですか?」
『何も進歩してないけど何か良い案あるの?』
「自分と付き合ってみるとかどうです?」
『・・・は?』
明石が何か言い出した。
「きっと主はんの事が好きなら自分とくっついたら向こうから何かしらアクション起こすと思うんですよね」
『もし何もアクションがなかったら?』
「本当に自分と付き合うとか?」
『また冗談言って』
「冗談ちゃいます、本気ですよ?」
明石が真面目な顔でそう言う。
『・・・・・』
「ゆっくりでいいんでまた返事ください」
明石は先にみんなの集まる部屋に入っていった。さっきの提案に戸惑っていたら後ろから声をかけられた。
「入らないのか?」
『っびくりした・・・入る入る』
「そうか」
声の主は伽羅ちゃんだった。不思議そうな顔をして先に入っていた。その後の1日中は明石の提案の話で頭がいっぱいだった。どうするのが正しいのだろうと。明石のあの言い方だと私の事が好きということになる。追う恋より追われる恋の方が良いとも聞く。作戦が失敗したら鶴丸を諦めて明石を好きになってみるのもありかなんて思えてきてしまった。でもそれは何か違うな・・・。
「難しそうな顔してどうしたの?」
燭台切さんが優しく声をかけてくれる。
『友達の話なんだけどね。好きな人に振り向いてもらうために別の人と付き合ってみるっていうのはどう思う?ちなみにその別の人はわ・・・じゃなくて友達の事が好きなんだって』
「うーん、僕はあんまりそういうの好きじゃないかな?良い様に利用してる感じに思えちゃう。だって好きな人と付き合えたらのその彼は悲しい思いをするだけでしょ?」
『・・・・・・そうだよね』
「ってお友達に伝えといてあげて」
『あ、うん!!友達に伝えとく!!』
明石と付き合うのは辞める事にした。それに前に彼氏を作って付き合ったって報告した時1ミリも嫉妬していなかった事も思い出したし。返事はゆっくりでいいって言ってたので明日にする事にした。
次の日、明石を見つけて声をかける。
『昨日の話なんだけど辞めとくね。私だけの力で鶴丸に振り向いてもらいたいし』
「そういう答えが返ってくると思ってました」
『ごめんね』
「良いんですよ、自分が主はんの眼中にない事がしっかり確認できましたし」
『まぁ、眼中にないね』
「そんなはっきり言うなんてひっどいですな〜」
『ごめんごめん。じゃあ私は仕事に戻っ「危ない!!」
明石に引き寄せられて腕の中だ。
「あるじさまごめんなさい!!」
五虎退ちゃんの虎くんが元気よく走っていた。極になってからかなり大きくなったのでぶつかったら一溜まりもない。
『大丈夫大丈夫、五虎退ちゃん顔上げて?私は無傷だから?』
「ごめんなさい」
明石から離れて五虎退ちゃんをあやしてたら一期さんが来てくれたので何とかなった。
自分の部屋に戻って仕事を再開しようとしたら明石に引き止められた。
「主はん」
『どうしたの?』
「やっぱ、諦めたくないですわ・・・主はんの事」
『そう言われても・・・』
「・・・・・・少しだけ自分に時間くれませんか?」
「おーい、主。光坊が呼んでるぜ」
『鶴丸が呼んでるから行くね?ごめんね、明石』
鶴丸に呼ばれた事によって明石との話は終わった。
『燭台切さんがどうしたの?』
「困ってそうだったから呼んだだけだ。もし邪魔をしたって言うなら謝るがな」
『・・・ありがとう』
「明石と何を話てた?」
いつもと鶴丸の雰囲気が違う気がした。
『別に、大したことない話だよ』
「・・・それにしては明石は真剣そうだったけどな」
鶴丸を突っ切って部屋に戻ろうとしたら阻止された。
「おっと、行かせないぜ」
『鶴丸には関係ないじゃん』
「関係ないかもしれないが少しばかり気になるからな」
『・・・・・・明石が私の事好きなんだって』
「付き合うのか?」
『付き合わないよ、部屋戻るから退いて』
私の気持ちを知っているくせに。
「少しきみと話がしたい」
『何の?』
「それは話てからのお楽しみだ」
私の部屋に移動する。
『で、話って何?』
「率直に言う」
『うん、何?』
胡座で座っていた鶴丸が正座をする。
「きみのことが好きだ」
一瞬何を言っているのか理解ができずに固まってしまった。
「少し長くなるが聞いてくれて」
きみと初めて顔を会わせた日はよく覚えている。前の主、きみの祖母の後ろに隠れる様にぴったりとくっついていたからな。
「主、このちっこいのは誰だ?」
「私の孫の名前だよ」
小さくて今にも壊れてしまいそうな人間だと思った。
『この白い人・・・好き』
その一言に俺は驚かされた。面白い人間だとは思ったが流石に年端もいかない人間にましてや初対面で恋愛感情なんて抱くわけがない。
きみは会う度に俺に好意を伝えてくれた。適当に遇らっていたのに諦めることなく俺に好意を伝えてくれていた。でもきみが高校というものに上がった時にそれは終わった。俺に話しかけてはくれるが好意を伝える事はほとんどなくなった。
『鶴丸鶴丸!!』
「なんだ?」
『彼氏できた!!』
「そいつは驚きだな!!おめでとう」
これにも驚いた。でもおめでとうと言った時にきみの顔は喜ぶではなく悲しそうな顔をしていたのを覚えてる。それと同時に俺の心の奥でも何かざわざわとした物があった。
俺がきみを好きだと認識したのは割と最近だったりする。認識というよりかは認めたくなかったという方が正しいかもしれない。
審神者になって成長していくきみの容姿は祖母に段々と似ていく。若い頃の彼女を思い出す。彼女を好きでいた時の気持ちが蘇ってくる様な感覚があった。まるで彼女の変わりに君を好きになっている様な気がして認めたくなかった。でもそんなある日審神者を辞めて遊びに来た彼女に言われた。
「鶴丸」
「なんだ?」
「名前の事好きなんでしょ?」
「・・・そんな訳ないだろ?」
「その割にずっとうちの可愛い孫を目で追ってるのがバレバレだよ」
「きみには敵わないな」
「何年見てきたと思って。見てたら分かるよ」
「・・・そうだな、あの子が好きだ」
容姿は同じでも中身は全然違う。彼女は何でも簡単にこなして完璧だった。でもきみは飲み込みがそこまで早くないから努力する。他にも刀剣男士達との関わり方も違う。彼女は大切にはしてくれていたがどこか一線引いていた気がする。たぶん俺達に恋心を抱かせないためだったのかもしれないな。まぁ、俺にそれは意味がなかったが。でもきみは家族のように近い距離で接している。本丸にいる時は沢山話しかけてくれる。重傷で帰ろうものなら大騒ぎになる。軽傷でも大騒ぎはしているが。彼女は大騒ぎせず落ち着いた対象をしていたな。一度重傷で帰った時には涙を溜めて慌てふためいていたのを思い出す。
『鶴丸、死なないでええええ!!鶴丸がいなくなったら私も死ぬ!!』
って。
気付けば全てに全力で表情が豊かなきみに完璧に惹かれていた。ただ今更好きだと言うのはなかなか言い出せなかった。
「付き合う事があってうちの可愛い孫を泣かせたら容赦しないからね。死んでも化けて出てやるんだからね」
と、脅しも入ってはいたのもあった。彼女が怒ると本当に怖いのはこの本丸に昔からいる刀剣男士なら全員知っているはずだ。
ただ最近、明石がよく話しかけている事には気づいていた。
「国永、このままじゃ明石国行にとられるかもしれないぞ。いいのか」
伽羅坊からそう知らされた。偶然聞いてしまったと言っていた。明石ときみが付き合って俺の気を惹かせようと、もし失敗したなら明石と付き合うという提案をされていたと。
まず、伽羅坊が俺の気持ちに気付いていたことに驚いたがそこは触れないでおいた。
どうしたらいいのか迷っていた所、きみと明石の2人が何やら話し込んでいるのを見た。五虎退の虎がきみにぶつかりそうになった所を明石が引き止めた。そのまま明石の腕の中に収まるきみを見ていたら複雑な気持ちになった。嫉妬していた。だからきみと明石と引き離したくて嘘の理由で声をかけた。こんな感情が出てくるなんて思ってもいなかった。驚かされた。
『じゃあ、私と・・・鶴丸は両思いってことでいいの・・・・・・?』
「そういうことだ。驚いたか?」
『驚いたも何も嬉しいに決まってるでしょ!?』
鶴丸に飛びついた。前なら避けられていたのに今日は受け止めてくれた。
「伝えるのが遅くなって悪かったな」
『悪いと思ってるなら許してあげる!!』
「沢山待たせたかわりに1つだけ何でもきみの言う事を叶えよう」
そう言われてもすぐ思いつかなかった。考えて考え抜いた結果出た答えがこうだった。
『私を1番幸せな審神者にしてくれたらそれでいいよ』
「中々に難しい願いだが必ず叶えてみせよう」
私のおでこに優しくキスがおとされた。
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