短編
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『終わらねえええぇ!!』
「僕は君に何回も何回も報告書できたの?って聞いたよね?でもやらなかったのは君だから自業自得だよ?」
『だって長谷部に「長谷部くんにしてもらうつもりだったの?遠征に行ってもらって大正解だったね」
ここ最近の出陣の報告書が今日までだったという事を今日思い出して、近侍の燭台切にニコニコの黒い笑顔で詰められている。頼みの綱の長谷部は今何故か遠征に行っている。絶対絶対裏を読んで燭台切が勝手に交代させて長谷部を行かせたのだろう。
『・・・・・他の本丸の燭台切は優しいって聞くのにうちの燭台切真逆なんだけど・・・・・なんで』
「君がしっかりしてたら僕だって優しくなるよ?」
『・・・・・ソウデスカ・・・・・』
あの後死ぬ気で終わらせて、23時59分ギリで無事に提出できた。
「お疲れ様。頑張った君に好物の生クリームたっぷりのシュークリームだよ」
『ありがとう、そういうとこはだぁぁあい好きだわ!!』
基本的に近侍は燭台切が固定でついている。初めてきてくれた太刀で戦力になってずっと頼ってばっかりだったから側にいてほしい。厳しいけどお母さんみたいで関わりやすいから変えないでずっと燭台切が側においている。
ちなみに初めて選んだ山姥切には総務番長をしてもらってる。
『・・・・・どうかした?』
「鶴さんから昨日君が演練について行った時に男審神者に声かけられたって聞いたんだけど」
『あー、あのキモい男ね〜。ナンパだろうけど私の眼中には一切ない』
演練にはよくついて行く。他の審神者と交流して情報公開したりと何かと便利なものだ。
「そう、それなら良いんだけど」
『ママは心配症だね』
「そりゃ、10年も一緒にいれば我が子も同然だよ?あの頃はまだ小さかったのに」
私が審神者になったのは16の時。中学を卒業して高校生になってしばらくした頃だった。両親もいないし天涯孤独の私が面白そうと始めた審神者だったけど高校に通いながらの審神者は大変だったし友達ともあまり遊べなかったからヤケクソで審神者をしてた気がする。そんな私を刀のみんなは見捨てずに審神者として接してくれて私自身も育ててくれた。あの頃はよく大倶利伽羅と話をしていた。一方的に私が話していただけでもあるけど。ちなみに初恋相手でもある。黙って話を聞いてくれて一言私のほしい言葉をくれる。そんなところを好きになったのだろう。でも審神者と刀。告白するつもりは毛頭ない。10年も叶える気のない片想い中だ。
「お風呂にしてゆっくり寝てね。おやすみ」
『おやすみ〜、ママもゆっくりしてね』
26歳か。時の流れは早いな。両親と妹が死んだのは私が10歳の時。事故だった。対向車線の大型トラックが中央分離帯を乗り越えてきた。私も車には乗っていたけど私だけ運良く助かった。正直あまりあの事故の事は思い出したくない。両親の親戚は誰も私を引き取ろうとしなかったのですぐに施設行きになった。それに関しては別に気にしていない。両親だってあんな碌でもない親戚に面倒見られるより施設でのびのびと過ごしている方が安心できるだろうし。
お風呂を済まし、目が覚めてしまったところで部屋の前で座って星が綺麗な空を眺める。
「起きているのか」
『大倶利伽羅こそ』
「・・・・・あんたの話相手でもしてやろうかと思ってな」
『起こしちゃったならごめん』
少しだけ私から距離を開けて座るのはいつもの事。私が一方的につまらないであろう話をする。何も変わらない関係。でもこの時間がこの関係がずっと続けば良い。壊れることなく。
「そろそろ眠そうだが?」
『そーだね。久しぶりに大倶利伽羅と話したら楽しくてついついね』
「そうか」
『・・・・・ふぁ〜・・・・・』
そこで私は寝落ちをしたらしい。
久しぶりに家族の夢を見た。
『ママ!!今年のお誕生日も遊園地行きたいな』
「パパに伝えとくね!」
10歳の誕生日も遊園地なんて行きたいなんて言わなければ私は1人にならなかったのに。
「今年も遊園地でいいのか?プレゼントは物でもいいんだぞ?」
『いいの!!みんなでお出かけするの楽しいから思い出が私のプレゼントなの!!』
父は仕事が忙しい人だった。4人で出かけることなんて滅多に無い。でも私の誕生日、妹の誕生日、母の誕生日だけは必ず休みを取ってくれた。だから私はみんなで出かけて4人での思い出を作りたかった。
でもあの誕生日だけはやめておけばよかった。
遊園地までの楽しい道のりだった。
それなのに一瞬で私の世界は変わってしまった。気づいた時には急ブレーキの音に衝突音が聞こえていた。
沢山の人が私を助け出してくれた。割れた窓から何とか私は助けられた。
『・・・・・あ・・・・・』
声が出なかった。ぐちゃぐちゃの光景に。私が助かったのは本当に奇跡だった。周りの人達が騒ぎ出していた。
「・・・・・これはひどいな・・・・・」
「もしもし?事故です!!今すぐ来てください!!」
小さいながら理解できた。きっと3人はダメだって。私は1人になってしまったと。
『1人になりたくないよ・・・・・やだ・・・・・1人にしないで・・・・・』
警察や消防が来るまで大人の人達が泣きじゃくる私を落ち着けようとしてくれていたのは覚えている。
目を覚ますと色んな意味で悲鳴をあげた。
『えぇええ!?な、なんで!!?なんで大倶利伽羅がここにいるの?』
「・・・・・はぁ」
私の横に大倶利伽羅が眠っていた。めんどくさそうな声を出して起き上がってきた。
「あんたが1人にするなって言って離さなかったんだ。それにやましい事は何もしてないからな」
『・・・・・そ、それは申し訳なかったです』
「俺は戻るからな」
呆然としていたら燭台切が起こしに来た。
「おはよう、着替えて朝ごはん食べるよ」
『・・・・・はーい』
朝ごはんを食べ終わってみんなを集めて今日の予定や当番を振り分ける。
『じゃあ、今日も頑張って行こうね〜』
短刀達と小豆と楽しくお菓子作りをしていたら政府から緊急連絡がきた。
時間遡行軍がどうやら最近怪しい動きをしているらしい。審神者の過去を変えるため審神者の過去を変えたり審神者を直接攻撃したりしようとしているらしい。
対象の審神者にはすぐに連絡を入れるとの事。
きっと私が審神者にならない未来に繋がるのはあの事故の時だろう。家族みんなで何事もなく生きていたら家族が大好きな私は審神者になっていないと思う。あの過去を知られるのは何だか刀達に申し訳ない。絶対気を使わせるだろうし。
お菓子作りの途中だったのを思い出し短刀達と小豆の元に戻った。
『燭台切ってさ』
寝る前にいつもホットミルクを持ってきてくれる燭台切に聞いてみた。
『私の昔の話って興味ある?』
「まぁね。大事な主だし君の事は知りたいとは思うよ。どんな過去でも僕は受け止めるし」
『そっか。ありがとう』
「僕お礼言われるようなことしたっけ?」
『こっちの話』
少し気持ちが軽くなった気がする。そのうち話そう。
政府から私の過去に時間遡行軍が入り込んだと連絡が来た。確認すればやっぱりあの過去。とりあえず昔からいて信頼関係が強く結ばれているメンバーにした。
『隊長山姥切国広、燭台切光忠、小夜左文字、鶴丸国永、へし切り長谷部、大倶利伽羅。私の過去を守って』
「これは驚いた、随分と懐かしい顔ぶれの出陣なことだな」
『たまにはね』
出陣前に作戦会議をした。すごく簡単に私の過去を話した。平然と話せていたと思う。
六振りを送り出す。加州が近づいてきた。
「主、何かあるんでしょ?」
『まぁね、加州は鋭いなぁ』
「俺だってずっと主といるんだし分かるよ」
私に少し落ち着きがないのを感じ取ったみんながいつもより私に話しかけてくれたりしてくれた。
六振りが無事に帰ってきた。六振りともほぼ無傷で安心していたら長谷部が全力で私に向かってくる。号泣してる長谷部に思いっきり抱きしめられた。肩が冷たい。泣きすぎだろ。
「主!!・・・・・俺は貴方を1人にはしませんから!!」
『え、あー、ありがと〜』
長谷部が引き剥がされた。大倶利伽羅が引き剥がしたみたいだった。無言で頭にポンッと手をおいたと思えば去って行った。
『と、とりあえず軽傷の刀は手入れ部屋に行こうか』
1日はあっという間に過ぎる。いつものように燭台切がホットミルクを持ってきてくれたと思った。
『今日はお疲れ〜・・・大倶利伽羅?」
「俺だったら悪かったか」
『珍しすぎてびっくりしてるところ』
「光忠が忙しそうにしていたから持ってきた」
『ありがとう』
きっとホットミルクを渡せばすぐに戻っていくのかと思えば少し間を開けて私の隣に座る。
『どうしたの?』
「あんたの1人にするなって意味、そう言う事だったんだな」
『・・・・・あれは小さい頃だったし』
「あんたが熱心に擦り傷みたい怪我でも丁寧に手入れしたりするのはそう言う事じゃないのか?」
『・・・・・・・・・・あはは、そうかもね』
軽傷でもついつい手入れ部屋に連れて行ってしまうのは少しの傷でも破壊してしまうのではないかと、不安になっているからなんだと思う。
大倶利伽羅が近くに座り直す。距離が近い。
「俺はあんたを1人にはしない」
大倶利伽羅が私の手を取る。
『ど、どうしたの・・・・・なんかいつもと雰囲気違うけど・・・・・』
「そんな日もある・・・・・」
私の手を握っていた右手が私の左頬に触れる。心臓が爆発するのではないかと思う程に脈を打っている。
大倶利伽羅が何か言いかけた時部屋の襖が開いた。
「主、ごめん!!はちみつ入れ忘れ・・・・・」
すごい勢いで襖が閉まった。ちなみに燭台切とはばっちり目があった。
大倶利伽羅は舌打ちをして私から離れて襖の向こうにいる燭台切の元へと向かっていった。
それからというもの、大倶利伽羅との距離感が変な感じになってしまった。一方的に私がどう接したらいいのか分からなくなっているのもあるけど。姿を見ると思わず恥ずかしくなり逃げてしまう。
「君、最近伽羅ちゃんの事避けてるでしょ?」
『そんなこと』
「じゃあ伽羅ちゃんと普通に話してあげて」
『・・・・・・分かりました』
と、言っても恥ずかしくて無理だ。
「そんな君に伽羅ちゃんと2人でお使いのお願いがあるんだ」
『こんな夕方から?』
あれよあれよと大倶利伽羅と2人で玄関にいる。なぜか浴衣に着替えさせられて髪型もセットされて加州に可愛いネイルまでしてもらった。大倶利伽羅もなぜか軽装だ。ニコニコしている燭台切とたぶん何も知らなそうな貞ちゃんに送り出された。後ろから鶴さんがニヤニヤ見ていたのは気づいていたけどツッコミをするのもめんどくさくなり出発する。
頼まれた物はみんなで遊ぶための手持ち花火。
変な距離感で歩く。真横にいればいいものの恥ずかしくなり少し後ろを歩いていた。
町並みがいつもと少し違っていた。屋台が沢山並んでいた。今日はお祭りがある事をすっかり忘れていた。審神者達にも楽しみをと毎年政府の人達が提案してくれる。
町には審神者や刀剣男士達が沢山いた。
お目当ての花火はすぐに買えた。
会話という会話は今のところ・・・
「俺が持ってやる」
『ありがと』
だけ。
それにしてもだいぶ道が混雑しだした。本丸に帰るまでにかなりかかりそうだ。はぐれないように頑張って大倶利伽羅の背中を追いかける。
「・・・こうした方がはぐれないだろ」
花火を持っていない方の手で私の手を握る。
『そ、そうだね』
心臓がドキドキとうるさく鳴りだす。
空に花火が打ち上がる。歩いている人たちの足取りが止まりみんな空を見上げる。
「ゆっくり見て行くか?」
『それもいいね』
「穴場がある」
道をそれて少し坂を登った。見晴らしのいい丘だった。本当に穴場なのだろう誰もいなかった。
大倶利伽羅の座った横に座る。距離はそれほど空けずに。
空には次から次へと花火が上がる。毎年本丸からみんなで楽しく騒いで見ているのでこうして静かな中落ち着いて見るのも新鮮だ。視線を感じたので大倶利伽羅の方を見る。
「今日は邪魔が入らないとは思うが率直に言う」
まっすぐ私の目ていた。
「俺はあんたが好きだ」
花火の音よりも大倶利伽羅の声がはっきりと聞こえた。
『私も好きだよ』
好きだ。でも・・・・・
『この戦いが終わったら大倶利伽羅とは離れる事になるでしょ?』
「・・・・・」
『きっと付き合ってしまったら今以上に離れたくなくなってしまうし・・・また1人になるのは嫌なんだ』
戦いが終われば刀剣男士は役目を終える。もちろん審神者も役目を終える。
「それなら逃げればいい」
『逃げるの?』
「そうだ、俺と2人で逃げてしまえばずっと一緒にいれるだろ」
『どこに逃げるの?』
大倶利伽羅は少し考えた後に答えた。
「どこだろうな」
『愛の逃避行的な?』
「それでいい」
『適当だな〜』
そんな大倶利伽羅を見ていたら私の悩みがアホらしくなってきた。考えすぎていたのかもしれない。もっと気楽に考えてみよう。大倶利伽羅とならどうにかなりそうな気がしてきた。
『今日からあらためてよろしくね』
「あぁ」
大倶利伽羅が私を見つめる。
『花火見ないの?』
花火を見ていても大倶利伽羅の視線を感じるので大倶利伽羅の方を見たらキスをされた。びっくりしてしまってフリーズした。
「どうした?花火は見ないのか?」
「僕は君に何回も何回も報告書できたの?って聞いたよね?でもやらなかったのは君だから自業自得だよ?」
『だって長谷部に「長谷部くんにしてもらうつもりだったの?遠征に行ってもらって大正解だったね」
ここ最近の出陣の報告書が今日までだったという事を今日思い出して、近侍の燭台切にニコニコの黒い笑顔で詰められている。頼みの綱の長谷部は今何故か遠征に行っている。絶対絶対裏を読んで燭台切が勝手に交代させて長谷部を行かせたのだろう。
『・・・・・他の本丸の燭台切は優しいって聞くのにうちの燭台切真逆なんだけど・・・・・なんで』
「君がしっかりしてたら僕だって優しくなるよ?」
『・・・・・ソウデスカ・・・・・』
あの後死ぬ気で終わらせて、23時59分ギリで無事に提出できた。
「お疲れ様。頑張った君に好物の生クリームたっぷりのシュークリームだよ」
『ありがとう、そういうとこはだぁぁあい好きだわ!!』
基本的に近侍は燭台切が固定でついている。初めてきてくれた太刀で戦力になってずっと頼ってばっかりだったから側にいてほしい。厳しいけどお母さんみたいで関わりやすいから変えないでずっと燭台切が側においている。
ちなみに初めて選んだ山姥切には総務番長をしてもらってる。
『・・・・・どうかした?』
「鶴さんから昨日君が演練について行った時に男審神者に声かけられたって聞いたんだけど」
『あー、あのキモい男ね〜。ナンパだろうけど私の眼中には一切ない』
演練にはよくついて行く。他の審神者と交流して情報公開したりと何かと便利なものだ。
「そう、それなら良いんだけど」
『ママは心配症だね』
「そりゃ、10年も一緒にいれば我が子も同然だよ?あの頃はまだ小さかったのに」
私が審神者になったのは16の時。中学を卒業して高校生になってしばらくした頃だった。両親もいないし天涯孤独の私が面白そうと始めた審神者だったけど高校に通いながらの審神者は大変だったし友達ともあまり遊べなかったからヤケクソで審神者をしてた気がする。そんな私を刀のみんなは見捨てずに審神者として接してくれて私自身も育ててくれた。あの頃はよく大倶利伽羅と話をしていた。一方的に私が話していただけでもあるけど。ちなみに初恋相手でもある。黙って話を聞いてくれて一言私のほしい言葉をくれる。そんなところを好きになったのだろう。でも審神者と刀。告白するつもりは毛頭ない。10年も叶える気のない片想い中だ。
「お風呂にしてゆっくり寝てね。おやすみ」
『おやすみ〜、ママもゆっくりしてね』
26歳か。時の流れは早いな。両親と妹が死んだのは私が10歳の時。事故だった。対向車線の大型トラックが中央分離帯を乗り越えてきた。私も車には乗っていたけど私だけ運良く助かった。正直あまりあの事故の事は思い出したくない。両親の親戚は誰も私を引き取ろうとしなかったのですぐに施設行きになった。それに関しては別に気にしていない。両親だってあんな碌でもない親戚に面倒見られるより施設でのびのびと過ごしている方が安心できるだろうし。
お風呂を済まし、目が覚めてしまったところで部屋の前で座って星が綺麗な空を眺める。
「起きているのか」
『大倶利伽羅こそ』
「・・・・・あんたの話相手でもしてやろうかと思ってな」
『起こしちゃったならごめん』
少しだけ私から距離を開けて座るのはいつもの事。私が一方的につまらないであろう話をする。何も変わらない関係。でもこの時間がこの関係がずっと続けば良い。壊れることなく。
「そろそろ眠そうだが?」
『そーだね。久しぶりに大倶利伽羅と話したら楽しくてついついね』
「そうか」
『・・・・・ふぁ〜・・・・・』
そこで私は寝落ちをしたらしい。
久しぶりに家族の夢を見た。
『ママ!!今年のお誕生日も遊園地行きたいな』
「パパに伝えとくね!」
10歳の誕生日も遊園地なんて行きたいなんて言わなければ私は1人にならなかったのに。
「今年も遊園地でいいのか?プレゼントは物でもいいんだぞ?」
『いいの!!みんなでお出かけするの楽しいから思い出が私のプレゼントなの!!』
父は仕事が忙しい人だった。4人で出かけることなんて滅多に無い。でも私の誕生日、妹の誕生日、母の誕生日だけは必ず休みを取ってくれた。だから私はみんなで出かけて4人での思い出を作りたかった。
でもあの誕生日だけはやめておけばよかった。
遊園地までの楽しい道のりだった。
それなのに一瞬で私の世界は変わってしまった。気づいた時には急ブレーキの音に衝突音が聞こえていた。
沢山の人が私を助け出してくれた。割れた窓から何とか私は助けられた。
『・・・・・あ・・・・・』
声が出なかった。ぐちゃぐちゃの光景に。私が助かったのは本当に奇跡だった。周りの人達が騒ぎ出していた。
「・・・・・これはひどいな・・・・・」
「もしもし?事故です!!今すぐ来てください!!」
小さいながら理解できた。きっと3人はダメだって。私は1人になってしまったと。
『1人になりたくないよ・・・・・やだ・・・・・1人にしないで・・・・・』
警察や消防が来るまで大人の人達が泣きじゃくる私を落ち着けようとしてくれていたのは覚えている。
目を覚ますと色んな意味で悲鳴をあげた。
『えぇええ!?な、なんで!!?なんで大倶利伽羅がここにいるの?』
「・・・・・はぁ」
私の横に大倶利伽羅が眠っていた。めんどくさそうな声を出して起き上がってきた。
「あんたが1人にするなって言って離さなかったんだ。それにやましい事は何もしてないからな」
『・・・・・そ、それは申し訳なかったです』
「俺は戻るからな」
呆然としていたら燭台切が起こしに来た。
「おはよう、着替えて朝ごはん食べるよ」
『・・・・・はーい』
朝ごはんを食べ終わってみんなを集めて今日の予定や当番を振り分ける。
『じゃあ、今日も頑張って行こうね〜』
短刀達と小豆と楽しくお菓子作りをしていたら政府から緊急連絡がきた。
時間遡行軍がどうやら最近怪しい動きをしているらしい。審神者の過去を変えるため審神者の過去を変えたり審神者を直接攻撃したりしようとしているらしい。
対象の審神者にはすぐに連絡を入れるとの事。
きっと私が審神者にならない未来に繋がるのはあの事故の時だろう。家族みんなで何事もなく生きていたら家族が大好きな私は審神者になっていないと思う。あの過去を知られるのは何だか刀達に申し訳ない。絶対気を使わせるだろうし。
お菓子作りの途中だったのを思い出し短刀達と小豆の元に戻った。
『燭台切ってさ』
寝る前にいつもホットミルクを持ってきてくれる燭台切に聞いてみた。
『私の昔の話って興味ある?』
「まぁね。大事な主だし君の事は知りたいとは思うよ。どんな過去でも僕は受け止めるし」
『そっか。ありがとう』
「僕お礼言われるようなことしたっけ?」
『こっちの話』
少し気持ちが軽くなった気がする。そのうち話そう。
政府から私の過去に時間遡行軍が入り込んだと連絡が来た。確認すればやっぱりあの過去。とりあえず昔からいて信頼関係が強く結ばれているメンバーにした。
『隊長山姥切国広、燭台切光忠、小夜左文字、鶴丸国永、へし切り長谷部、大倶利伽羅。私の過去を守って』
「これは驚いた、随分と懐かしい顔ぶれの出陣なことだな」
『たまにはね』
出陣前に作戦会議をした。すごく簡単に私の過去を話した。平然と話せていたと思う。
六振りを送り出す。加州が近づいてきた。
「主、何かあるんでしょ?」
『まぁね、加州は鋭いなぁ』
「俺だってずっと主といるんだし分かるよ」
私に少し落ち着きがないのを感じ取ったみんながいつもより私に話しかけてくれたりしてくれた。
六振りが無事に帰ってきた。六振りともほぼ無傷で安心していたら長谷部が全力で私に向かってくる。号泣してる長谷部に思いっきり抱きしめられた。肩が冷たい。泣きすぎだろ。
「主!!・・・・・俺は貴方を1人にはしませんから!!」
『え、あー、ありがと〜』
長谷部が引き剥がされた。大倶利伽羅が引き剥がしたみたいだった。無言で頭にポンッと手をおいたと思えば去って行った。
『と、とりあえず軽傷の刀は手入れ部屋に行こうか』
1日はあっという間に過ぎる。いつものように燭台切がホットミルクを持ってきてくれたと思った。
『今日はお疲れ〜・・・大倶利伽羅?」
「俺だったら悪かったか」
『珍しすぎてびっくりしてるところ』
「光忠が忙しそうにしていたから持ってきた」
『ありがとう』
きっとホットミルクを渡せばすぐに戻っていくのかと思えば少し間を開けて私の隣に座る。
『どうしたの?』
「あんたの1人にするなって意味、そう言う事だったんだな」
『・・・・・あれは小さい頃だったし』
「あんたが熱心に擦り傷みたい怪我でも丁寧に手入れしたりするのはそう言う事じゃないのか?」
『・・・・・・・・・・あはは、そうかもね』
軽傷でもついつい手入れ部屋に連れて行ってしまうのは少しの傷でも破壊してしまうのではないかと、不安になっているからなんだと思う。
大倶利伽羅が近くに座り直す。距離が近い。
「俺はあんたを1人にはしない」
大倶利伽羅が私の手を取る。
『ど、どうしたの・・・・・なんかいつもと雰囲気違うけど・・・・・』
「そんな日もある・・・・・」
私の手を握っていた右手が私の左頬に触れる。心臓が爆発するのではないかと思う程に脈を打っている。
大倶利伽羅が何か言いかけた時部屋の襖が開いた。
「主、ごめん!!はちみつ入れ忘れ・・・・・」
すごい勢いで襖が閉まった。ちなみに燭台切とはばっちり目があった。
大倶利伽羅は舌打ちをして私から離れて襖の向こうにいる燭台切の元へと向かっていった。
それからというもの、大倶利伽羅との距離感が変な感じになってしまった。一方的に私がどう接したらいいのか分からなくなっているのもあるけど。姿を見ると思わず恥ずかしくなり逃げてしまう。
「君、最近伽羅ちゃんの事避けてるでしょ?」
『そんなこと』
「じゃあ伽羅ちゃんと普通に話してあげて」
『・・・・・・分かりました』
と、言っても恥ずかしくて無理だ。
「そんな君に伽羅ちゃんと2人でお使いのお願いがあるんだ」
『こんな夕方から?』
あれよあれよと大倶利伽羅と2人で玄関にいる。なぜか浴衣に着替えさせられて髪型もセットされて加州に可愛いネイルまでしてもらった。大倶利伽羅もなぜか軽装だ。ニコニコしている燭台切とたぶん何も知らなそうな貞ちゃんに送り出された。後ろから鶴さんがニヤニヤ見ていたのは気づいていたけどツッコミをするのもめんどくさくなり出発する。
頼まれた物はみんなで遊ぶための手持ち花火。
変な距離感で歩く。真横にいればいいものの恥ずかしくなり少し後ろを歩いていた。
町並みがいつもと少し違っていた。屋台が沢山並んでいた。今日はお祭りがある事をすっかり忘れていた。審神者達にも楽しみをと毎年政府の人達が提案してくれる。
町には審神者や刀剣男士達が沢山いた。
お目当ての花火はすぐに買えた。
会話という会話は今のところ・・・
「俺が持ってやる」
『ありがと』
だけ。
それにしてもだいぶ道が混雑しだした。本丸に帰るまでにかなりかかりそうだ。はぐれないように頑張って大倶利伽羅の背中を追いかける。
「・・・こうした方がはぐれないだろ」
花火を持っていない方の手で私の手を握る。
『そ、そうだね』
心臓がドキドキとうるさく鳴りだす。
空に花火が打ち上がる。歩いている人たちの足取りが止まりみんな空を見上げる。
「ゆっくり見て行くか?」
『それもいいね』
「穴場がある」
道をそれて少し坂を登った。見晴らしのいい丘だった。本当に穴場なのだろう誰もいなかった。
大倶利伽羅の座った横に座る。距離はそれほど空けずに。
空には次から次へと花火が上がる。毎年本丸からみんなで楽しく騒いで見ているのでこうして静かな中落ち着いて見るのも新鮮だ。視線を感じたので大倶利伽羅の方を見る。
「今日は邪魔が入らないとは思うが率直に言う」
まっすぐ私の目ていた。
「俺はあんたが好きだ」
花火の音よりも大倶利伽羅の声がはっきりと聞こえた。
『私も好きだよ』
好きだ。でも・・・・・
『この戦いが終わったら大倶利伽羅とは離れる事になるでしょ?』
「・・・・・」
『きっと付き合ってしまったら今以上に離れたくなくなってしまうし・・・また1人になるのは嫌なんだ』
戦いが終われば刀剣男士は役目を終える。もちろん審神者も役目を終える。
「それなら逃げればいい」
『逃げるの?』
「そうだ、俺と2人で逃げてしまえばずっと一緒にいれるだろ」
『どこに逃げるの?』
大倶利伽羅は少し考えた後に答えた。
「どこだろうな」
『愛の逃避行的な?』
「それでいい」
『適当だな〜』
そんな大倶利伽羅を見ていたら私の悩みがアホらしくなってきた。考えすぎていたのかもしれない。もっと気楽に考えてみよう。大倶利伽羅とならどうにかなりそうな気がしてきた。
『今日からあらためてよろしくね』
「あぁ」
大倶利伽羅が私を見つめる。
『花火見ないの?』
花火を見ていても大倶利伽羅の視線を感じるので大倶利伽羅の方を見たらキスをされた。びっくりしてしまってフリーズした。
「どうした?花火は見ないのか?」
