朱い光・・・
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『名前・・・』
(なに・・・?)
『名前・・・国立図書館へ』
(図書館・・・?)
ーーー
ーー
ー
「おはよう、名前!」
「おふぁよう、康琳」
「なに?今朝は調子悪そうね?」
「うん、なんか変な夢見ちゃって」
「それは嫌ね〜。でも、とりあえずご飯食べちゃわないと遅刻するんじゃない?」
「いつもありがとう、いただきます!」
ーーー
ーー
ー
仕事帰りの電車の中。名前は今朝の夢が忘れられないでいた。
図書館の最寄りの駅の名前がアナウンスされると、、、
無意識に電車から降りていた
(なんだろう、呼ばれてる気がする)
自分の意志とは別に、足が勝手に「ある場所」へと向かって動いている
『重要文献資料室』
ドアを開けると朱い光が見えた
(疲れてるのかな)
幻覚かと思いつつも、その光の方へ体が向かってしまう
その先に朱く光る本がある
「これって、、、」
(いつかバスで拾った本?)
『よく来てくれた名前よ』
「な、なに?誰、、、ですか?」
そこには人の姿をしているが、人とは思えない人物がいた
『我は朱雀、四神が一人である』
「朱雀?四神、、、?」
(そういえば、拾った本の名前が「四神天地書」だったような)
『そなたに頼みがある』
「か、神さまがですか?」
『朱雀七星士が一人、柳宿をこちらの世界へ帰すよう、願いをかけてくれぬか?』
「ぬりこ?って誰ですか?」
『柳宿星の宿命を背負った柳娟という少年のことだ』
(柳娟って確か康琳の本当の名前、、、)
「帰すって、帰すってどこに?そんな、、、急に言われても!それに、私がどうこうできる事なんですか?」
『そなたにしかできぬ』
「えっと、私は普通の、ほんっとに普通でしかないただの人間ですよ?」
『そうだな』
(いや、そこはあっさり認めるんだ;)
『ただ、、、そなたが乙女であれば巫女の素質はあったのだ』
「は?」
(乙女って、この流れで言ったら、つまりは、、、処女とかってことよね)
『そなたの巫女の素質に惹かれ、四神天地書がそなたを求めたのだが、、、』
「が?」
『乙女ではなかったのでな』
(強調するな、乙女)
「はあ」
何とも気の抜けた返事を返してしまった
『あと、年齢がな。少し年が行き過ぎておる』
「それはもう言いがかりにも程がありますよ!」
『そうだな』
(認めるのね!?でも謝らないのね!!神さまって、何なのよ)
「で、その、康琳、、、じゃなかった柳娟のことなんですけど」
『そう、本来ならば巫女としてそなたをこちらの世界に呼びたかったのだが、、、』
「はいはい、乙女ではなかったからですね!」
人に言われるくらいならと自分から重ねてみた
『そう、一度開いてしまった道を通って柳宿がそなたの世界へ行ってしまったのだ』
「つまり、柳娟というか、ぬりこをそちらの世界に帰したいってこと?、、、ですか?」
『ああ』
「そんな、急に、、、私にどうしろというんですか?」
『強く願ってくれるだけで構わない。さすれば巫女の素質のある者の願いとして我が聞き入れ、柳宿をこちらの世界へ帰すことができる』
「ちょっと待ってください、そんな勝手なこと、、、」
(康琳がいなくなる?)
名前の声は最後は震えていた
『そうだ、それに、柳宿もいつまでもそちらの世界にはいられない。このままだと柳宿自身が消滅してしまう』
「しょ、消滅!?」
心臓の早さが感じられるほど、ドクドクと言ってる。それに手が震えはじめた
「え、えっと、、、このままこの世界にいたら、死んじゃうってこと、、、ですか?」
おそるおそるきいてみる
『正確には消滅するということだが、そなたにとっては同じことなのかもな』
「い、いつまでに帰さなきゃならないの?」
最後は声にならないでいた
『いつとははっきりと言えぬが、四神天地書が朱雀の巫女を求めておる。巫女を召喚するまでには柳宿は戻らねばならないだろう』
「・・・」
『では、頼んだぞ。その時は我の名を呼ぶとよい』
「はい、、、」
ーーー
ーー
「嘘でしょ、ドラマみたいじゃない」
図書館から出ると外は雨で、、、折りたたみ傘を出す気にも、どこかで雨宿りをする気にもなれなかった。
自宅までは二駅分。図書館の最寄りの駅には向かわず名前はとぼとぼと自宅へ向かった
(そりゃ存在も登場の仕方も現実離れしてたわよ)
(でも、確かにいるのよ。一緒にご飯食べて買い物して)
(最初は女の子だったけどさ、前向きで明るくって、その時からかっこよかった)
(でも時折悲しい顔するの。その時は思わず抱きしめちゃいたいくらいに)
(力も強くって何度助けられただろう)
(そうそう、お酒も強いんだよね、康琳が酔っ払ったところ見たことないや)
(色んなところ、一緒に行ったなぁ)
(水族館の時の康琳、可愛かったなぁ。あんなに感動してくれて、嬉しかった)
(フリーフォールの時の顔は面白かったなぁ。あんな美少女がとんでもない顔してるんだもん)
(ってか、美少年?)
(そんなの、、、どっちでもいい)
(女の子でも男の子でもいいの、康琳は康琳で、、、)
(いつも自信を持ってと私を励ましてくれる)
(本人も自信たっぷりというか、、、こんな知らない世界にきてるのに肝が座ってるというか堂々としてた)
『あら、しょうがないわね、じゃ元の世界に帰りましょっか』
「はは、、、」
笑いながら空を見上げた。雨が容赦なく名前の顔に落ちてくる
「そんなん明るく言われたら」
「私、立ち直れない」
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