朱い光に包まれた少女
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「は〜疲れた〜」
入社して半年、勉強期間も終わりそれなりに仕事を任されるようになった。今日は金曜日、1週間の疲れがどっと押し寄せ、クタクタになりながら家へ向かうバスに揺られてる
(あ、やばい、、、寝落ちしそう、、、)
疲れた体にバスの揺れが心地よく、名前はうとうとしてしまった
「次の停車場は◯◯〜◯◯〜」
「やばっ!!」
慌てて荷物を持ってバスを駆け降りる
(あれ?こんな本持ってたっけ、、、?)
疲労のため深く考えるのも面倒になり、とりあえずコンビニで夕飯を買い、家へと帰り着いた
「あーしんどー!もう、ご飯すらも面倒くさい、、、お風呂にも入らなきゃ、、、」
一度座った場所から動く気になれなかった
ふと荷物に目をやると見かけない古い本がある
「あ、バスに置いてあった本だ、、、持ってきちゃったんだ。明日、交番に持ってかなきゃなぁ」
パラパラと片手で本をめくってみると見かけない漢字が並んでいた
(日本の本じゃないんだ、、、それにすごく古い、、、?)
そんなことを思っていたのも束の間、突然辺りが朱い光に包まれた
あまりの眩しさに名前は目を瞑ってしまった
「な、なに、、、??」
恐る恐る目を開けてみる
すると
一人暮らしのはずの自分の部屋に
朱い光に包まれた1人の若い女の子が寝ていた
(女の子!?不審者!?)
「いや、鍵はかけたはず、、、」
一人暮らしをする際にそれだけは気をつけろときつく言われており、たとえ酔って帰ったとしても無意識にかけるくらいには習慣づいてる
長い豊かな髪は少しウェーブがかかっており、傷むということを知らなさそう
長いまつ毛、綺麗な輪郭、、、
(うわぁ泣きぼくろが色っぽいなぁ)
(とりあえず、起こして話を聞いてみる、、、?)
どうしても不審者とは思えない姿に、通報する気にも、助けを呼ぶ気にもなれず起こしてみることにした
「ねぇ、大丈夫?」
恐る恐る朱く光るその体を揺さぶってみる
(うわっ!なんかいい香りがするし)
「ん・・・」
意識が戻りはじめたのか手がピクリと動いた
(よく見たら変わった格好だな、コスプレーヤーとか?)
「大丈夫?救急車呼びます?」
顔はまだ動かないものの、少し目を開き名前の方に目を向ける
「だ、、、れ、、、?」
(お、意外とハスキーな声だな)
「どこか痛いですか?ここは私の部屋なんだけど、どうしてここにいるか分かるかな?」
「わた・・しのへや・・・?」
「ってどこよ、ここ!?」
ゴンッッ!!
「「いった〰︎・・・」」
突然起き上がったのでお互いの頭をぶつけてしまった
「痛いわね〜ってか、誰よあんた、変態!?」
「変態って、ここは私の部屋って言ってるでしょ?」
「あ、そっか、、、」
女の子はキョロキョロと周りを見渡しながら、顔色がどんどん変わっていく
「なによ、ここ、、、」
「だから私の部屋だってば」
「いや、そうじゃなくって、、、そもそもどこなの?紅南国じゃ、、、ないわよね?」
「ここは日本だよ??」
「にほん?知らない国ね、、、」
「いやいやいや、知らない国に気づかないうちに入国とかできないでしょ!」
「・・・・」
少女は無言であたりを見回す
(うわぁ目を開けるとさらに美人じゃん)
「と、とりあえず痛いとことかないの?保護者は?そもそもいくつ?ってか、名前を聞いてもいい?」
「名前?名前は・・・康琳」
(ちょっと今の間は何?偽名くさいなぁ。家出少女とかじゃないでしょうね)
「うん。じゃあ、康琳ちゃん。康琳ちゃんはいくつ?お父さんかお母さんは?」
「年は18だけど、実家にはもう随分と帰ってないわ」
(やばっ決定的じゃん〜)
「あのね、お姉さん一緒に行ってあげるから警察いこうか?」
「けいさつ?それってどこの町?」
「・・・」
(困った、、、めっちゃ困る、、、私の手におえるのかな、、、)
名前が次の言葉を考えている間に康琳はすくっと立って部屋を見渡す。
「なに?これどうやって光ってるの?」
「なんだか大きい四角い箱が多いわねー」
「やだ、この置き物かっわいー!」
「きゃ!何この空間、、、せっま!!」
「ちょっ、ちょっと!!人んちだからね!勝手に開けないでよ!」
(なに!?ギャル?可愛い顔して図々しい)
「うーん、何だかよく分かんないけどさ、とりあえず温かい飲み物飲みたいわ」
と康琳は名前に向かってウインクした
「・・・訳分かんないのは、私の方だからね?」
ーー
ー
「はい、どうぞ」
とりあえず落ち着かせるため名前はココアを差し出した
マグカップを上品に口に持っていく康琳
(あ、この子すごく姿勢がいい。やっぱり家出少女には見えないなぁ)
「〰︎〰︎何これすごく美味しいわぁ」
ほわぁと顔を緩める康琳
目はキラキラと輝いている
「何って、普通のココアだよ?市販の」
「へぇ『ここあ』と言うのね、ありがとう。こんなに美味しい飲み物初めてだわ」
(うーん悪い子にも、思えないのよね)
「あのさ、本題に入るけど、どうして私の部屋に入ってきたの?」
「それは私が聞きたいわよ。後宮の自分の部屋で寝て、起きたらここにいたんだもの」
「後宮!?マジでどこの国から来たの?」
「だから、紅南国だってば」
「いや、それ調べてるけどそんな国ないんだけど!?」
「何それ、、、?」
康琳は名前が扱っているスマホに興味津々といった様子で覗き込む
「やだ!板の中に人がいるじゃない!?って、いなくなった!!何?どうやって一瞬で消えたの?これは、、、文字?私の知らない文字だわ」
質問なのか感想なのかこちらが割り込む隙もないくらい興奮した様子で喋りかけてる
(ちょっと、マジで言ってるの?)
「スマホがない国なのかな?紅南国って」
「『すまほ』って言うのね。その道具もだけど見たことのない物ばかりだわ、この部屋」
康琳は部屋の中をキョロキョロと見回す
(もう少し、片付けておけば良かったな)
「えーと、とりあえずご家族にはどうやって連絡とったらいいかなぁ?」
「え?別に大丈夫よぉ、そもそも旅に出た村でそのまま勝手に後宮に入っちゃったから。実家では私はいないもんになってるでしょ」
康琳は手を口にあて、おほほほーと高らかに笑っている
「いや、そういう設定?はいいからさ、本当のことを教えてよ」
「えー、私、本当のことしか言ってないわよ?それより、、、今は朝でしょ?朝食をいただかない?お腹すいちゃって」
(うん、この子、かわいい見た目とは正反対に、すんごく度胸がすわってる!)
「ちなみに夜だよ、私は夜ご飯を食べるけどあなたの分は、用意はないのよね」
「夜?やだ!私、何時間寝ちゃってたのかしら、、、まぁいいわ。侍女、、、はいなさそうね、自分で作るしかなさそうね」
そう言ってキョロキョロ辺りを見回す
「厨は、どこかしら?」
「え?厨?あぁ台所ならそこだよ」
一人暮らし用のキッチンなので手狭だが、それでも2口コンロである
「せっまい台所ね〜!!」
「ちょいちょい失礼だからね?康琳ちゃん!だいたい年上に対して図々しいし!」
「年上、、、?あなたが?って、失礼。名前を聞いてなかったわね」
「名前は名前。年は22才よ」
「・・・」
「何その顔は」
「いや、てっきり同じか年下かと思って、、、あらよく見たらお肌がちょっと荒れてるわね」
そう言って手を名前の顔にあてる
「だーかーらー!ちょいちょいどころか、かなり失礼なんだってば!!」
「あらごめんなさい」
言葉では謝っているものも表情は反省の色が見えない
「まぁ、とりあえず何か食べよっか?私はコンビニで買ったご飯あるけど、、、冷蔵庫、何か材料あったかなぁ」
ガチャっと冷蔵庫を開けて中を覗く
「きゃー何この箱、中が冷たいわ!!すごいのね!どんな術なの!?」
「術じゃなくって電気なんだけどね、ってもう突っ込む気力もないわ」
とりあえずあるものといえば卵、ベーコン、それにビール
(我ながら何て貧相な冷蔵庫;)
「康琳ちゃんにとって朝ごはんならベーコンエッグでいいでしょ?あとはインスタントのスープで勘弁してね」
「それでいいわ、ありがとう」
その後も康琳はガス調理台や電気ポットなどにきちんと反応していき、、、
なんとか食事にありつけた。
「「いただきます」」
(あ、やっぱり食べ方綺麗だなぁ)
一人暮らしをはじめて、普段はだらけてスマホを扱いながらご飯を食べることも多くなった。
今日は自然と背筋が伸びる
「『べーこん』って言うの?このお肉お塩が効いていて卵によく合うわぁ。このスープも一瞬でできたとは思えないわね」
ニコニコと食べている康琳の姿をみて、ちゃんと自炊をしておけば良かったと、名前は後悔した
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