木枯らし
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ここは
「きれい…」
朱雀の巫女である名前はひと時の景色を愉しもうと庭を散歩していた。
正確にいえば廊下を歩いていた所、あまりの景色の美しさに思わず引き寄せられたのだ。
「別世界に居るみたい…」
本当に別の世界に居るんだけどな、と思いながらも、このままここに居るとこの景色の中に自分が溶けていってしまうのではないかと思えてきた。
事実、名前がそう錯覚するくらい、庭の紅葉は美しかった。
落葉する一歩手前、葉が一番紅く色づいている所へ、夕日が射し、より紅葉を色づかせた。
紅い葉はより深い紅へ。
黄色の葉は金色に輝いていた。
「あっ」
強い木枯らしが吹き、庭の紅葉を散らしてく。
思わず閉じた目をゆっくりと開くと、夕日に照らされたたくさんの紅葉たちが空に舞っている。
「!」
空に舞っている紅葉の先に人影が見えたような気がして、名前は目を凝らした。
「柳宿!?」
声をかけられた本人はこちらを振り返った。
その姿は落葉同様、夕日に照らされ輝いていて、名前は声をかけたことも忘れてその姿を見つめていた。
一方、声をかけられた柳宿は名前のもとへ駆け寄った。
「なあに、ぼーっとしちゃって。どうかした?」
「あっ、ごめん。すごく綺麗で…」
「そうね…」
「あんまり綺麗なんでさ、庭におりてきちゃた」
柳宿は空に舞う紅葉を見つめて言った。
名前は紅葉を見つめる柳宿の横顔から目が離せないでいた。
「うん、お庭もすっごく綺麗なんだけど、夕日に照らされた柳宿が綺麗で…」
「なあに、突然?」
「だって落ち葉の先にいきなり現れて、キラキラ輝いてるんだもん」
「あんただって」
柳宿は名前を見つめた。
「神々しく輝いててさ、天女様が降りてきたのかと思っちゃったわよ」
「へ?てんにょ??」
「うん」
「何それ!?私なんかが…そんなわけないよっ」
名前は慌ててうつむいてしまった。
「そんなことないわよ、ホントに綺麗だったんだから」
「柳宿ならともかく、私は無理!」
「ま、私はそこら辺の女より綺麗だけどさ」
「うん、柳宿見てると自信なくしちゃう」
名前は溜息をついた。
「名前!笑って」
柳宿がいきなり大きな声で言ったので、名前はびっくりして柳宿の顔を見た。
「へ?」
「だから!笑いなさいって言ってんの」
「急に何?なんで?」
「早く!怒るわよ」
もう怒ってるじゃない、と思いつつも口答えするのも怖いので、名前は笑顔を作ってみせる。
「ほらっ、かわいい」
柳宿が笑顔で名前を見つめる。
「えっ//」
「あんたはすっごくかわいいんだから笑顔でいなさい♪」
「何それ?そんなわけないよ」
「自信がない時にこそ笑うの!それに…」
柳宿は今までに見せたことのないくらいの優しい顔になった。
「名前は本当に綺麗よ、私が保証する」
名前は柳宿の真剣な口調に何も答えられない。
葉が落ちる音さえも聞こえるような気がした。
「あ、ありがとう」
「じゃそろそろ夕飯だろうし、行くとしますか」
名前の言葉を聞くと、柳宿は満足そうな顔をして、歩きだした。
名前は柳宿の背中を見つめながら、鼓動の激しさで心臓が飛び出すかと思えてきた・・・
「何してンの!早くいらっしゃっい!!」
大分遠くへ行ってしまった柳宿が叫んでいる。
「は、はーい!」
名前は柳宿を追いかけた。
→あとがき
木枯らしって、言ってる時点でもう冬なんですが;
11月topの『朽葉』に合わせたショートです。
ってか!自分で書いておいて何ですがね、
柳宿がヒロインのことを好きでも何でもなく言ってたら、ある意味怖いセリフ盛りだくさんですね。
ナンバー1ホストになれますよ!!
ヨイショが上手。
そしてそれを信じさせる力があれば、もう無敵。
私、柳宿に見つめられると、貢がない自信ないデス・・・
2010.11
「きれい…」
朱雀の巫女である名前はひと時の景色を愉しもうと庭を散歩していた。
正確にいえば廊下を歩いていた所、あまりの景色の美しさに思わず引き寄せられたのだ。
「別世界に居るみたい…」
本当に別の世界に居るんだけどな、と思いながらも、このままここに居るとこの景色の中に自分が溶けていってしまうのではないかと思えてきた。
事実、名前がそう錯覚するくらい、庭の紅葉は美しかった。
落葉する一歩手前、葉が一番紅く色づいている所へ、夕日が射し、より紅葉を色づかせた。
紅い葉はより深い紅へ。
黄色の葉は金色に輝いていた。
「あっ」
強い木枯らしが吹き、庭の紅葉を散らしてく。
思わず閉じた目をゆっくりと開くと、夕日に照らされたたくさんの紅葉たちが空に舞っている。
「!」
空に舞っている紅葉の先に人影が見えたような気がして、名前は目を凝らした。
「柳宿!?」
声をかけられた本人はこちらを振り返った。
その姿は落葉同様、夕日に照らされ輝いていて、名前は声をかけたことも忘れてその姿を見つめていた。
一方、声をかけられた柳宿は名前のもとへ駆け寄った。
「なあに、ぼーっとしちゃって。どうかした?」
「あっ、ごめん。すごく綺麗で…」
「そうね…」
「あんまり綺麗なんでさ、庭におりてきちゃた」
柳宿は空に舞う紅葉を見つめて言った。
名前は紅葉を見つめる柳宿の横顔から目が離せないでいた。
「うん、お庭もすっごく綺麗なんだけど、夕日に照らされた柳宿が綺麗で…」
「なあに、突然?」
「だって落ち葉の先にいきなり現れて、キラキラ輝いてるんだもん」
「あんただって」
柳宿は名前を見つめた。
「神々しく輝いててさ、天女様が降りてきたのかと思っちゃったわよ」
「へ?てんにょ??」
「うん」
「何それ!?私なんかが…そんなわけないよっ」
名前は慌ててうつむいてしまった。
「そんなことないわよ、ホントに綺麗だったんだから」
「柳宿ならともかく、私は無理!」
「ま、私はそこら辺の女より綺麗だけどさ」
「うん、柳宿見てると自信なくしちゃう」
名前は溜息をついた。
「名前!笑って」
柳宿がいきなり大きな声で言ったので、名前はびっくりして柳宿の顔を見た。
「へ?」
「だから!笑いなさいって言ってんの」
「急に何?なんで?」
「早く!怒るわよ」
もう怒ってるじゃない、と思いつつも口答えするのも怖いので、名前は笑顔を作ってみせる。
「ほらっ、かわいい」
柳宿が笑顔で名前を見つめる。
「えっ//」
「あんたはすっごくかわいいんだから笑顔でいなさい♪」
「何それ?そんなわけないよ」
「自信がない時にこそ笑うの!それに…」
柳宿は今までに見せたことのないくらいの優しい顔になった。
「名前は本当に綺麗よ、私が保証する」
名前は柳宿の真剣な口調に何も答えられない。
葉が落ちる音さえも聞こえるような気がした。
「あ、ありがとう」
「じゃそろそろ夕飯だろうし、行くとしますか」
名前の言葉を聞くと、柳宿は満足そうな顔をして、歩きだした。
名前は柳宿の背中を見つめながら、鼓動の激しさで心臓が飛び出すかと思えてきた・・・
「何してンの!早くいらっしゃっい!!」
大分遠くへ行ってしまった柳宿が叫んでいる。
「は、はーい!」
名前は柳宿を追いかけた。
→あとがき
木枯らしって、言ってる時点でもう冬なんですが;
11月topの『朽葉』に合わせたショートです。
ってか!自分で書いておいて何ですがね、
柳宿がヒロインのことを好きでも何でもなく言ってたら、ある意味怖いセリフ盛りだくさんですね。
ナンバー1ホストになれますよ!!
ヨイショが上手。
そしてそれを信じさせる力があれば、もう無敵。
私、柳宿に見つめられると、貢がない自信ないデス・・・
2010.11