罪花罰
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あなたの手に触れたものを
この手で触れたいの、です。
「ひな~、お人形つくって~」
「ム?なんじゃねえむ、
こないだやったばかりじゃろうが」
店長さんのアルバムをひっぱり
だしていたひなに話しかけると
色のよくない返事。
面倒そうに横目で視線を
寄越すのがわかる。
「んー、でも欲しい!」
「まったく、ひなだってヒマじゃあ
ないんだゾ!薔薇様にどうやって
振り向いて貰うかとか、桔梗の
アホをどう始末しようかとか…」
「も~、ひなったら。
後者は余計でしょ?」
名残惜しそうにアルバムを
置くと、ぶつぶついいながらも
手早く人形をつくりあげていく。
ひなのいいところは、こうやって
人を放っておけないところ
なんだって再確認する。
「フンッ、ほら、出来たぞ。
そんなにひなが作る人形を
持ってて何になるんじゃ?」
「わかんない、でも欲しいの。
ひなが作ってくれるのが嬉しいんだ~!」
ぎゅっ、と渡された人形を
抱き締めると、先程までひなが
抱いていた体温が伝わるようで
どうしたって顔がほころんだ。
「…そ、そうか。でもさっきも
言ったがひなもヒマな訳じゃ
ないんだからの!」
「はいはい、わかってますって!
ありがと!ひな!」
普段言われなれないせいなのか、
私がお礼を言うとひなの頬は
ピンクから朱になる。
それがとっても好き。
(ああ、だけどこのすえた臭いのする
薄汚い心持ちの、
それはたとえ断片すら、
あなたに悟られて
しまいませんように。
私が欲しいのは、人形じゃない。
あなたが私に意識を
集中させる時間や、
あなたの紡ぐ言葉、
さも言えば
ひなぎく、
あなた本人であるなどと。)
end
