そのた
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携帯の着信が鳴る。
画面には
「アナーキー・パンティ」の文字。
彼女は天使らしくもない
天使だけど、そんなところに
虜になるやつはごまんといる。
かくいうあたしも
密かにそうなのだけど。
「ハァイ、パンティ。」
「やっと出た!ハァ~イねえむ」
機嫌のいい声。
ブロンド頭の長いまつ毛が
上へ下へ動く様を頭の隅で思う。
そんな声が聞けて嬉しいなんて
口が裂けたって言えないわ。
あたしはあくまで友人知人の
枠組みだってこと、理解くらいは
してるつもりよ。
「ねえむ~、アタシ今日
下着買いに行きたいんだけど
ストッキンのやつがシースルー
使っててさぁ!」
「それで?」
聞いてよ!と言わんばかりに
妹の名前を吐き捨てるパンティ。
今日の愛車争奪戦はストッキングに
軍配が上がったみたい。
「買い物行こうにも足がないのォ」
「だから?」
わざとらしく、あたしにわざわざ
連絡してきた理由を引き出そうとする。
でもパンティは
まだ回りくどくねだる。
こういうとこは相変わらずね。
「ねえむって、単車
持ってたわよね?」
「嫌よ」
先手を打って断れば、今まで
可愛らしく演技していた
天使ちゃんは即座に喧嘩腰に
成り下がる。
「なっ!テメまだ何も
言ってねーだろーが!」
「大体わかるでしょ。
猫なで声使ってアンタが
電話してくるなんて
何か貸してくれとか
面倒事代わってとか!
そんなことばーっかりなんだから」
「うっ…悪かったってぇ、
な?このとお~り反省してるから
今回だけお願い聞いてよォ
ねえむ~」
しょんぼりする姿を想像して
可愛いなあなんて思うと同時に、
天使がこんなんで本当に
大丈夫なのかしらと
今更に過ぎる思いも込み上げて。
「単車は貸さないわよ、
…あたしの後ろに乗るんなら
許可してあげる。」
「ヤリィ!やっぱ持つべきものは
トモダチだよな~!」
「それおんなじようなこと、
ストッキンにも言ってたでしょ。」
いつだったかピンクビデオを
回収して回ったときにも
そんなことを耳にしたきがする。
私には使い回しのセリフで
充分ってわけ?なあんて、
ひとりどうでもいい嫉妬心に
駆られてる、馬鹿みたい。
「ンな細けえこと言ってんなよ!
愛してンぜマイガール!」
「安っ…ぽ。大体マイガールて…」
イマドキのAVだって
そんなこた言いやしない。
あたしは1人、呆れたふり。
「アァンもう!人がせっかく
言ってやったのによ!」
「誰彼構わず言ってるんでしょ、
いらないわよそんな安売りの愛」
本当は言われるだけで嬉しい
のにね。
諦め半分、苦笑すれば
パンティは、ん?って
疑問符を浮かばせる。
そしてわざとか本気か、
「そうでもねえよ?
愛してるよ、ねえむ」
なんて言うのだ。
柄になく真面目な声色で
そんなことを言われたら
「、…ハイハイ。
で、アンタん家行けばいいの?」
電話越しに赤くなる頬を
誰も見てやしないのに
隠したくなるじゃない。
勢いよくヘルメットを被って
ジャケットを首まで閉めた。
「素直じゃねーヤツ。
あー、ガーターにどやされ
ないように裏から頼むわ」
薄い薄い、避妊出来ないくらいの
コンドームみたいな愛だとしたって、
アンタにちょっとでも
愛されてることに
変わりはないんだわ
きっと。
「了ー解。天使に愛された
女がお迎えにあがりますよ。」
あたしは、世界一
幸せな天使の足なのね。
(大概あたしも、簡単な女)
end
