一撃
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最近、よくわからない女に
付きまとわれている。
なんというか 多分真性の変態だろう。
「殺していい?ゾンビマン」
隙をつきやすいようにか、
ひたりとご丁寧にオレの背後に
回り込んだ奴の声。
振り向いた時には女の細い腕が
握る鉈が見える。
「ねえむか。
是非ともお願い申し上げたいところだが、
無茶だな それは。」
不意打ちの甲斐あって
ねえむはその鉈で切り落とした
オレの左腕に既にかじりついていた。
どこぞの殺人鬼でもそんなことはしない。
まったく厄介な狂人に好かれたもんだ。
オレはお前の食糧庫か。
「うーん、さっきの撤回。
殺したいっていうか欲求としては
食べたいだけだからー」
「…お前ホント怪人だな」
怪人、という定義付けがどこに
あるのかはっきりしないが
通りすがりにヒト様の腕を切り落として
口に運ぶような奴はさすがに
怪人認定したくもなる。
「そんなS級ヒーローを
殺そうとする怪人ぽいわたしを
ゾンビマンはなんで殺さないの?」
「別に、オレにとっちゃ
対して害にならんからだ。不死身だしな。
あとお前、オレ以外は
襲ったことないだろ」
こいつが街中で民間人に
同じことをすれば
オレは間違いなくこいつをぶち殺しに
いく自信がある。
ただ、オレに的を絞って
くるのならそれはオレにとってさして
気にすべきことでもないわけだ。
その辺は流石にわかってやって
いるんだろう。
「まあね。普通のヒトゴロシって
楽しみない割に罪重いじゃん?
……ふうーん、そうなんだあ、
害じゃないからなんだあ。なーんだ」
ゾンビマンわたしのこと
好きなのかと思った、
と悪びれず言う奴の頭頂部に
全力で回し蹴りをお見舞いした。
わかってやってるなんて思ったオレが
馬鹿だったなんだ楽しみないって
何でオレがお前を好きなんだ。
やっぱ今殺そうかな
なんかそんな気持ちだ。
「痛いなあ、私は好きなひとのお肉で
お腹一杯になりたいだけなのに」
こいつ、死ねばいいのに。
再生し終わった左腕で張り倒してみたが
また中指がねえむの胃袋に
おさまっただけだった。くそ。
「好きになったひとが
ゾンビマンでよかった」
変態め。
end
