オーマガ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それではあー!
サカマタくんと
キスがしたい人~!」
丑三ツ時水族館人気の
シャチのショー。
参加者がシャチと
キスが出来るのだけど、
変身後の姿を知る私は
お客さんとキスをする
変身前のサカマタさんを見ると、
なんとなく複雑。
希望者を募れば、
はーい、と元気よく手があがる。
お母さんに手を半ば無理やり
上げられているような子もいたりして。
何人かを選んでサカマタさんの
前へ移動する。
「はい、サカマタくん!ちゅーの準備をしてねえ。」
サカマタさんの口元に手を
添えて合図をする、動かないでねと。
女の子がおずおずと歩いて
くるも、やはり目の前に並ぶ牙が
怖くなって、顔が
どんどん離れていってしまう。
「怖くないよ~。
みーんなお友達だから
噛んだりしないんだよ!
ねー、サカマタくん。」
「でもぉ…」
ショーの一環とは言え、
あまりぐだぐださせる
のはよくない。
迅速かつスムースにことを
進ませなければ観客からの
拍手や歓声はあがらないのだから。
ましてここで席を立つ客など
出れば伊佐奈に何を言われるか…
「ほら、見てて」
恐怖心を取り払うため
キスのお手本を見せることにしよう。
サカマタさんの
開いた口から覗く鮮やかな
桃色の舌に、音を立てて
自分の唇を押し付ける。
変身前の彼は可愛らしく
キュウと鳴いてみせた。
「大丈夫でしょ?ほっぺたなら
もーっと簡単だよ。」
「う、うん…っ!」
無事に公演は終了し、
集客もまずまず。
今回はイルカショーよりも
人が入ったということで、
サカマタさんとほっと
胸を撫で下ろした。
報告を終え
残りの仕事をぽつぽつと
考えながら館内の
長い通路のチェックをする。
ゴミ、傷、何かあれば
すぐさま連絡が必要だ。
そういえば、と子供たちのつけた
水槽の指紋を拭ったあたりで
ふとよた話を切り出してみる。
「公開ディープキスしちゃい
ましたねえ、サカマタさん。」
意地悪くにやついてみせると
サカマタさんは露骨に嫌な
表情を見せた。
「頬でいいものを、
でら最悪だな…」
悪趣味だ、とひとつ吐き捨てて。
「なんでですかー、
館長にキスするより
いいじゃないですか。」
想像したくもない、というように
身震いをして、
サカマタさんは少しだけ
私を見た。
なんていうか、チラ見。
「ショーのときみたいに
いつも素直ならいいのに」
「ハッ、そいつは無理だろう。」
あの男がもとの姿に戻るまでは、
と呟いた彼の背中に
戻んなきゃいいのにね、とこぼす。
見つかって伊佐奈に
殴られたっていいし、
あなたが素直じゃない
ままだっていい。
こうしてお喋りも出来なくなる
ときが来てしまうよりは。
end
サカマタくんと
キスがしたい人~!」
丑三ツ時水族館人気の
シャチのショー。
参加者がシャチと
キスが出来るのだけど、
変身後の姿を知る私は
お客さんとキスをする
変身前のサカマタさんを見ると、
なんとなく複雑。
希望者を募れば、
はーい、と元気よく手があがる。
お母さんに手を半ば無理やり
上げられているような子もいたりして。
何人かを選んでサカマタさんの
前へ移動する。
「はい、サカマタくん!ちゅーの準備をしてねえ。」
サカマタさんの口元に手を
添えて合図をする、動かないでねと。
女の子がおずおずと歩いて
くるも、やはり目の前に並ぶ牙が
怖くなって、顔が
どんどん離れていってしまう。
「怖くないよ~。
みーんなお友達だから
噛んだりしないんだよ!
ねー、サカマタくん。」
「でもぉ…」
ショーの一環とは言え、
あまりぐだぐださせる
のはよくない。
迅速かつスムースにことを
進ませなければ観客からの
拍手や歓声はあがらないのだから。
ましてここで席を立つ客など
出れば伊佐奈に何を言われるか…
「ほら、見てて」
恐怖心を取り払うため
キスのお手本を見せることにしよう。
サカマタさんの
開いた口から覗く鮮やかな
桃色の舌に、音を立てて
自分の唇を押し付ける。
変身前の彼は可愛らしく
キュウと鳴いてみせた。
「大丈夫でしょ?ほっぺたなら
もーっと簡単だよ。」
「う、うん…っ!」
無事に公演は終了し、
集客もまずまず。
今回はイルカショーよりも
人が入ったということで、
サカマタさんとほっと
胸を撫で下ろした。
報告を終え
残りの仕事をぽつぽつと
考えながら館内の
長い通路のチェックをする。
ゴミ、傷、何かあれば
すぐさま連絡が必要だ。
そういえば、と子供たちのつけた
水槽の指紋を拭ったあたりで
ふとよた話を切り出してみる。
「公開ディープキスしちゃい
ましたねえ、サカマタさん。」
意地悪くにやついてみせると
サカマタさんは露骨に嫌な
表情を見せた。
「頬でいいものを、
でら最悪だな…」
悪趣味だ、とひとつ吐き捨てて。
「なんでですかー、
館長にキスするより
いいじゃないですか。」
想像したくもない、というように
身震いをして、
サカマタさんは少しだけ
私を見た。
なんていうか、チラ見。
「ショーのときみたいに
いつも素直ならいいのに」
「ハッ、そいつは無理だろう。」
あの男がもとの姿に戻るまでは、
と呟いた彼の背中に
戻んなきゃいいのにね、とこぼす。
見つかって伊佐奈に
殴られたっていいし、
あなたが素直じゃない
ままだっていい。
こうしてお喋りも出来なくなる
ときが来てしまうよりは。
end
