ときメモGS
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バンビを追いかけてる
旬平をウィンドウ越しに横目で見て、
私は店の中のバスボムの匂いを嗅ぐ。
旬平はこんな甘ったるい匂いが
好きそうだなあと
バンビがプレゼントした
まっピンクのラバライトを思い出しては、
鼻がつーんとする。
(お部屋にだいじーに
飾ってあんだろなあ)
店を出て、入浴剤たちの入った
紙袋からひとつバスボムを取り出して
無意味に見つめた。
真ん丸でピンク色をしたそれは
すんなりと私の手に収まるサイズ。
ビニールにはリラックス
したいときに、とか
ラベルが貼ってある。
リラックス効果なんて、嘘だ。
私はこんなに悲しいじゃない。
いつこんな醜い気持ちが爆発
しちゃうんだろうって
いつまで経っても緊張状態が
続いてるんだもん。
「あっ、」
ふ、と手からこぼれ落ちたのは
きついくらいに香る
ショッキングピンクのバスボム。
割れた中から桜みたいに広がった
淡い可愛らしい桃色。
まるで、
まるで、
「私は、バンビにはっ、
なれないんだも、んねぇ、
当た、り前、だよねえ…っ」
守ってあげたいような
儚げな芳香を漂わせて、
元気になれるような
人懐っこい笑顔を浮かべる
そんなバンビは私から見たって
すっごく魅力的で
私なんかとてもじゃないけど、
「っ…!」
込み上げたものに
耐えきれなくて
膝を折って泣いた。
あぁあ、電信柱が
寄ってきてくれたら
私は往来の邪魔にならなかったのにな。
止まらない嗚咽に嫌気が差す。
「おい、ねえむか?
どうした、腹でも痛いのか?」
後ろから訪れた真っ青な
風みたいな香り。
その優しい声が背中に触れたって、
私の涙は止まってくれやしないんだ。
かっこわるい。
「大丈夫か、こっち、肩貸してやる。」
「不二山ぁぁ…わた、わたし」
「泣くな、ほら鼻拭いて。」
「ゔぇえん」
ごめんとかありがとうとか
言いたかったけど喉から上が
うまく動いてくれない
申し訳ないね、不二山。
(ねえむが泣いた理由も、
泣く理由になった奴もわかってる。
でも誰も悪くない、
どこにも苛立ちをぶつけるわけに
いかないこんな状況を
もし「青春」って
いうのだとしたら、美しいなんて
俺には到底思えない)
今、周りの奴らから
俺とお前が恋人に見えてたらいいのに。
だめか、やっぱ。
end
旬平をウィンドウ越しに横目で見て、
私は店の中のバスボムの匂いを嗅ぐ。
旬平はこんな甘ったるい匂いが
好きそうだなあと
バンビがプレゼントした
まっピンクのラバライトを思い出しては、
鼻がつーんとする。
(お部屋にだいじーに
飾ってあんだろなあ)
店を出て、入浴剤たちの入った
紙袋からひとつバスボムを取り出して
無意味に見つめた。
真ん丸でピンク色をしたそれは
すんなりと私の手に収まるサイズ。
ビニールにはリラックス
したいときに、とか
ラベルが貼ってある。
リラックス効果なんて、嘘だ。
私はこんなに悲しいじゃない。
いつこんな醜い気持ちが爆発
しちゃうんだろうって
いつまで経っても緊張状態が
続いてるんだもん。
「あっ、」
ふ、と手からこぼれ落ちたのは
きついくらいに香る
ショッキングピンクのバスボム。
割れた中から桜みたいに広がった
淡い可愛らしい桃色。
まるで、
まるで、
「私は、バンビにはっ、
なれないんだも、んねぇ、
当た、り前、だよねえ…っ」
守ってあげたいような
儚げな芳香を漂わせて、
元気になれるような
人懐っこい笑顔を浮かべる
そんなバンビは私から見たって
すっごく魅力的で
私なんかとてもじゃないけど、
「っ…!」
込み上げたものに
耐えきれなくて
膝を折って泣いた。
あぁあ、電信柱が
寄ってきてくれたら
私は往来の邪魔にならなかったのにな。
止まらない嗚咽に嫌気が差す。
「おい、ねえむか?
どうした、腹でも痛いのか?」
後ろから訪れた真っ青な
風みたいな香り。
その優しい声が背中に触れたって、
私の涙は止まってくれやしないんだ。
かっこわるい。
「大丈夫か、こっち、肩貸してやる。」
「不二山ぁぁ…わた、わたし」
「泣くな、ほら鼻拭いて。」
「ゔぇえん」
ごめんとかありがとうとか
言いたかったけど喉から上が
うまく動いてくれない
申し訳ないね、不二山。
(ねえむが泣いた理由も、
泣く理由になった奴もわかってる。
でも誰も悪くない、
どこにも苛立ちをぶつけるわけに
いかないこんな状況を
もし「青春」って
いうのだとしたら、美しいなんて
俺には到底思えない)
今、周りの奴らから
俺とお前が恋人に見えてたらいいのに。
だめか、やっぱ。
end
