落乱
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勘右衛門と喧嘩をした。
私が授業に出たくないってサボったから。
忍者とくのいちは違うって解って1年。
「忍者になれると思ってたんだけどなあ…」
すっかりやる気もなくしてしまった。
ただ、この学園の居心地がいいだけに
甘えて、留まっている。だけ。
「くのいちにしか出来ない
こともあるだろ?」
背を合わせて、二人して不貞腐れるように
目も合わせないで会話をする。
理想を裏切られた気持ちが、
勘右衛門にわかるもんか。
まだ君はその憧れを
追い続けられるんだから。
「んー、そうなんだけど、さあ」
納得いかずに、立てた膝に
くのいちにしか出来ないことなんて
色事しか思い付きません、せんせー。
そんなことにしか使われない気がして
しょうがないんです。
でも私は忍でいたいんです。
わがままだって、わかっている。
「……ほんとは、忍にもくのいちにも
ならないって言ってくれた方が、俺は嬉しいよ」
ああ、ずるい。
勘右衛門はそうやって、私をまた
ここから遠ざけようとする。
「女だって、言われてるみたいで」
泣かないように息を吸い込む。
泣かないために、息が吐けない。
「だけど お前は女だ」
そう、去り際に勘右衛門は吐いた。
その顔が見られなかった。
私が打った頬はきっと赤いはずだから。
掴み上げられて乱れた襟を、
早く直さなくちゃ。
早く直さなくちゃ。
喧嘩をしてたって、誰かに気付かれる前に。
end
私が授業に出たくないってサボったから。
忍者とくのいちは違うって解って1年。
「忍者になれると思ってたんだけどなあ…」
すっかりやる気もなくしてしまった。
ただ、この学園の居心地がいいだけに
甘えて、留まっている。だけ。
「くのいちにしか出来ない
こともあるだろ?」
背を合わせて、二人して不貞腐れるように
目も合わせないで会話をする。
理想を裏切られた気持ちが、
勘右衛門にわかるもんか。
まだ君はその憧れを
追い続けられるんだから。
「んー、そうなんだけど、さあ」
納得いかずに、立てた膝に
くのいちにしか出来ないことなんて
色事しか思い付きません、せんせー。
そんなことにしか使われない気がして
しょうがないんです。
でも私は忍でいたいんです。
わがままだって、わかっている。
「……ほんとは、忍にもくのいちにも
ならないって言ってくれた方が、俺は嬉しいよ」
ああ、ずるい。
勘右衛門はそうやって、私をまた
ここから遠ざけようとする。
「女だって、言われてるみたいで」
泣かないように息を吸い込む。
泣かないために、息が吐けない。
「だけど お前は女だ」
そう、去り際に勘右衛門は吐いた。
その顔が見られなかった。
私が打った頬はきっと赤いはずだから。
掴み上げられて乱れた襟を、
早く直さなくちゃ。
早く直さなくちゃ。
喧嘩をしてたって、誰かに気付かれる前に。
end
