そのた
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白い息が太陽を遮る朝。
寒い寒いと文句を言いながら
悠に手を温めてもらう情けない太臓。
その隣で歩いているオレがまた
情けなく思える。
と、完璧に身を縮めていた太臓が
あっと声をあげた。
「ねえむだ!」
聞きなれない名前だな、とは思うが
この嬉しそうな反応は女子に
違いないだろう。
とりあえず太臓をひっぱたく
準備でもしておくか。
「お~いねえむ~!
朝勃ちんこ~」
「オハヨー太臓。
それが朝イチ挨拶の
替わりってことか?ん?
相変わらず脳が
快晴のようですねあんたは。
やり直すか?原子のレベルで
やり直したいか?」
「イエーイ、ドッピーカン!
原子より精子から」
「よーしそこからやり直したいかー」
「ちょちょちょっと何で
サバイバルナイフ持ってんの
コルク抜きじゃオレの息子は
抜けないってねえむ!!」
出会い頭の下ネタに、悲鳴でも
上げて太臓を殴るか蹴るか
走り出すかのどれかを想像していたが、
ねえむと呼ばれた女子は
にこりと笑みを返しながら
佐渡並みのサドっぷりを発揮し出した。
今はどっちかっていうと太臓の
方が泣き叫んでいる。
「な…なんだあの太臓のセクハラに
わりと前向きな女子は…!
思わずツッコミ忘れちまった…!」
誰に聞くでもない呟きだったが、
隣で楽しそうにビデオをまわしている
悠が淡々と答えた。
「あまり冷たくされないからか
最近の王子のお気に入りだ。」
「…いや、かなり冷たいことは
言われてたと思うが」
だが悠が言う様に、まだコルク抜きを
かざすだけで行動に出ないねえむは
太臓相手にしては甘い対応だ。
そのせいでか、太臓も隙あらば
ねえむにちょっかいを
掛けにいく始末。
そして一応心配なのでそれを
うかがいに行くオレ、と。
「ねえ~んねえむ~!
オレと付き合ってよー!
この際身体だけの
関係でもいいからぁ!!」
「来世でならいいよ。
まあ私来世は自我を持たない
アメーバかプラナリア辺りに
なる予定なんだけど。」
「チクショー細胞分裂ゥ!!」
はたから聞けば一体なんの話だ。
実りのない二人の会話に
悠が首を突っ込む。
あの野郎余計なことしやがって。
「ねえむ、王子には
人間でないことは
もはや問題ではないぞ。
もっとドギツイことを言え!」
「えっマジで?魔界の王子こわい!」
「悠オレの許容範囲って
無限大じゃないよ!?
割りと狭いよ!?
カワイイ女の子だけだよ!?」
悠の台詞を聞いたねえむは
顎に手を添えて、真面目な顔で
しばらく考え込んだあと
よし、と意気込んで太臓に
向き直った。
「じゃあ、とりあえず太臓が
全身を整形する、
太臓がドエロじゃなくなる、
っていうか聖人になる、
かつ私が無神経無脊椎
単細胞生物である
という条件が来世で揃ったら
付き合うってことで。」
表情を変えずに言い放ったあたり、
本気なんだろうなというか
身近な女子の今世紀最大の
拒絶を見た気がする。
「キャスティングからオレと
ねえむの存在が
読み取れないんだけど!」
涙を流して抗議する太臓に、
諭すように微笑みかけるねえむ。
「…落ち込まなくても
大丈夫だよ、太臓。
今生はお前の恋が実る確率は
菊翁師匠が面白くなるのと
おなじだから。」
「絶望的じゃん!」
「菊翁師匠に謝れ!!」
ついツッコんだオレと、
後からフォローに来た悠に
心底 邪魔だからアッチ行け の
視線を寄越した太臓。
あまりに身の程がわかってねえので
踵落としをお見舞いしておいた。
と、悠が太臓の肩を支えながら
「いいですか、王子」と何やら
切り出す。
「絶望的などと…、
そんなことはありません。
菊翁師匠の面白くなさげな芸は鉄板…
鉄板化しているという
ことはその姿勢そのものが
ネタなのですから。」
「えっ?!つまりどういう
ことだってばよ!?」
「お前の変態が鉄板化
しちゃってるから菊翁師匠と
おなじってことだよ」
「ぐわーやっぱりか!
何で1度でわかる説明を
2回してんだよ!!」
フォローに見せ掛けてむしろ
追い討ちという、それこそ鉄板化した
悠から自分の主人への仕打ちは
清々しすぎるものがあるよな。
ちょっと感心してしまっていた
ところへ、ねえむが
ざまあみろとでも言いたげに、
うんうんと頷きながらやってきた。
さっさと逃げときゃいいのに…
「悠は太臓が泣きわめく姿が
好きだからねえ…新学期からの
短い付き合いでも
わかっちゃうほど露骨に。」
「えーん慰めてねえむ~」
太臓は性懲りもなくねえむに
飛び付こうとする。
止めようと腕を伸ばした時
同時にねえむが鞄から何かを
取りだして太臓に放ったのが見えた。
「ほら、これやるから泣き止みな?」
「こ…ッコレはッ…!!」
見覚えのある、というと語弊を
生みそうだが、とにかく
男子であれば知らないものはない
ベストデザイン賞受賞商品が
ねえむから太臓の手に
収まっていたのだから
驚く他ないだろう。
「兄貴の部屋から発掘された
未使用のTENGA様だよ
嫌味がましくキッチンで
花瓶として使ってやろうと
思ってたけどお母さんに
流石にとめられたわ」
「…女子の口からTENGAの言葉を
聞く日がくるなんて…!!
今日良い日なんじゃねーの?!」
「あーあ避けるつもりが
余計たぎらせちまったくせぇぞ…」
「うっわしくったー…どうしよう
阿久津くん」
「心配するな。オレは楽しい。」
「悠、お前のことは聞いてねえ」
もう、面倒くせえなあこいつら…
こんな会話にも慣れてきた
自分がまた一層、情けなく思える。
end
寒い寒いと文句を言いながら
悠に手を温めてもらう情けない太臓。
その隣で歩いているオレがまた
情けなく思える。
と、完璧に身を縮めていた太臓が
あっと声をあげた。
「ねえむだ!」
聞きなれない名前だな、とは思うが
この嬉しそうな反応は女子に
違いないだろう。
とりあえず太臓をひっぱたく
準備でもしておくか。
「お~いねえむ~!
朝勃ちんこ~」
「オハヨー太臓。
それが朝イチ挨拶の
替わりってことか?ん?
相変わらず脳が
快晴のようですねあんたは。
やり直すか?原子のレベルで
やり直したいか?」
「イエーイ、ドッピーカン!
原子より精子から」
「よーしそこからやり直したいかー」
「ちょちょちょっと何で
サバイバルナイフ持ってんの
コルク抜きじゃオレの息子は
抜けないってねえむ!!」
出会い頭の下ネタに、悲鳴でも
上げて太臓を殴るか蹴るか
走り出すかのどれかを想像していたが、
ねえむと呼ばれた女子は
にこりと笑みを返しながら
佐渡並みのサドっぷりを発揮し出した。
今はどっちかっていうと太臓の
方が泣き叫んでいる。
「な…なんだあの太臓のセクハラに
わりと前向きな女子は…!
思わずツッコミ忘れちまった…!」
誰に聞くでもない呟きだったが、
隣で楽しそうにビデオをまわしている
悠が淡々と答えた。
「あまり冷たくされないからか
最近の王子のお気に入りだ。」
「…いや、かなり冷たいことは
言われてたと思うが」
だが悠が言う様に、まだコルク抜きを
かざすだけで行動に出ないねえむは
太臓相手にしては甘い対応だ。
そのせいでか、太臓も隙あらば
ねえむにちょっかいを
掛けにいく始末。
そして一応心配なのでそれを
うかがいに行くオレ、と。
「ねえ~んねえむ~!
オレと付き合ってよー!
この際身体だけの
関係でもいいからぁ!!」
「来世でならいいよ。
まあ私来世は自我を持たない
アメーバかプラナリア辺りに
なる予定なんだけど。」
「チクショー細胞分裂ゥ!!」
はたから聞けば一体なんの話だ。
実りのない二人の会話に
悠が首を突っ込む。
あの野郎余計なことしやがって。
「ねえむ、王子には
人間でないことは
もはや問題ではないぞ。
もっとドギツイことを言え!」
「えっマジで?魔界の王子こわい!」
「悠オレの許容範囲って
無限大じゃないよ!?
割りと狭いよ!?
カワイイ女の子だけだよ!?」
悠の台詞を聞いたねえむは
顎に手を添えて、真面目な顔で
しばらく考え込んだあと
よし、と意気込んで太臓に
向き直った。
「じゃあ、とりあえず太臓が
全身を整形する、
太臓がドエロじゃなくなる、
っていうか聖人になる、
かつ私が無神経無脊椎
単細胞生物である
という条件が来世で揃ったら
付き合うってことで。」
表情を変えずに言い放ったあたり、
本気なんだろうなというか
身近な女子の今世紀最大の
拒絶を見た気がする。
「キャスティングからオレと
ねえむの存在が
読み取れないんだけど!」
涙を流して抗議する太臓に、
諭すように微笑みかけるねえむ。
「…落ち込まなくても
大丈夫だよ、太臓。
今生はお前の恋が実る確率は
菊翁師匠が面白くなるのと
おなじだから。」
「絶望的じゃん!」
「菊翁師匠に謝れ!!」
ついツッコんだオレと、
後からフォローに来た悠に
心底 邪魔だからアッチ行け の
視線を寄越した太臓。
あまりに身の程がわかってねえので
踵落としをお見舞いしておいた。
と、悠が太臓の肩を支えながら
「いいですか、王子」と何やら
切り出す。
「絶望的などと…、
そんなことはありません。
菊翁師匠の面白くなさげな芸は鉄板…
鉄板化しているという
ことはその姿勢そのものが
ネタなのですから。」
「えっ?!つまりどういう
ことだってばよ!?」
「お前の変態が鉄板化
しちゃってるから菊翁師匠と
おなじってことだよ」
「ぐわーやっぱりか!
何で1度でわかる説明を
2回してんだよ!!」
フォローに見せ掛けてむしろ
追い討ちという、それこそ鉄板化した
悠から自分の主人への仕打ちは
清々しすぎるものがあるよな。
ちょっと感心してしまっていた
ところへ、ねえむが
ざまあみろとでも言いたげに、
うんうんと頷きながらやってきた。
さっさと逃げときゃいいのに…
「悠は太臓が泣きわめく姿が
好きだからねえ…新学期からの
短い付き合いでも
わかっちゃうほど露骨に。」
「えーん慰めてねえむ~」
太臓は性懲りもなくねえむに
飛び付こうとする。
止めようと腕を伸ばした時
同時にねえむが鞄から何かを
取りだして太臓に放ったのが見えた。
「ほら、これやるから泣き止みな?」
「こ…ッコレはッ…!!」
見覚えのある、というと語弊を
生みそうだが、とにかく
男子であれば知らないものはない
ベストデザイン賞受賞商品が
ねえむから太臓の手に
収まっていたのだから
驚く他ないだろう。
「兄貴の部屋から発掘された
未使用のTENGA様だよ
嫌味がましくキッチンで
花瓶として使ってやろうと
思ってたけどお母さんに
流石にとめられたわ」
「…女子の口からTENGAの言葉を
聞く日がくるなんて…!!
今日良い日なんじゃねーの?!」
「あーあ避けるつもりが
余計たぎらせちまったくせぇぞ…」
「うっわしくったー…どうしよう
阿久津くん」
「心配するな。オレは楽しい。」
「悠、お前のことは聞いてねえ」
もう、面倒くせえなあこいつら…
こんな会話にも慣れてきた
自分がまた一層、情けなく思える。
end
