でみめん
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プネブマで指揮官として、隊員たちをまとめていく日々にもようやく慣れてきた。連日連戦だった魔王軍も今は小休止、ここ数日は出現の報告がない。急務だけを終わらせる日が増えて、少し散らかってしまったデスクの資料を整理することにした。片付けの最中、アルバムなんかを見てしまうのはよくあることで、ふと隊員名簿が目に入る。
「懐かしい〜」
名簿を手に取って、片付け作業はこれ以上進まないことが確定した。すると、そこへ扉をノックする音が軽快に響く。もうそんな時間かと顔を上げて、扉を開けると、想像していた通りの笑顔が飛び込んできた。青い鱗に、長い尻尾、そして作業着。色とりどりの野菜が入ったカゴを手にしたフィックスだ。
「どうも〜指揮官さん、お疲れさまです。野菜お裾分けに来ましたよ!」
「あ、フィックス。お疲れ様、いつもありがとう!」
農作業と収穫物の販売を終えて、フィックスが自慢の野菜を届けてくれる。この光景もいつの間にか習慣になっていた。事務処理などの良い区切りになるので、ある種の時報のようにも感じている。
「何してたんですか?」
「机の整理整頓を…と思ったんだけど、つい隊員名簿眺めちゃって…」
「あ〜…あるあるですねえ。オレ名簿に何書いたっけな」
恥ずかしいこと書いてませんよねえ!?と慌て出したフィックスをからかってみようかと、入隊時に提出された彼のプロフィールを探して、めくり、唖然とした。
「よっ…!?」
身長体重の欄、164cm・45kgの文字に悲鳴のような声を上げた。他の隊員も驚く情報は多々あるけれど、フィックスの身長は自分とさして変わらない。にも関わらずなんて数字を提出してくるのか。地球でいえば美容体重を通り越してシンデレラ体重なんて言われてしまう。サンミゲルやブルームーンのように魔力溜まりから出来たとか、サタンやウルケルのように体がゲル状とか、そういったわけでもないのに…。
「フィックス、私より体重軽いの…!?」
「えっ?そうなんですか!?」
「はァウッ!!」
墓穴!!自分の体重の方が重いだなんて、要らない情報を教えてしまった。恥ずかしい。名簿と彼の全身を交互に確認しながら数字に間違いのないことを確認する。疑問は特に解消されないけれど。
「なんで?身長はそんなに違わないのに…!」
「単純にカラダのつくりが違うんじゃないんですか?あと、トレーニングとか。オレはほら、農作業もしてますし」
「え〜!筋肉量が多いなら体重も重くなるんじゃないの?もしかして骨が地球人より薄いとか…?」
「ちょっと、ジロジロ見ないでくださいっ」
「ごめん…」
セクハラを受けた部下のような視線を向けられて、少し反省した。いや、実際セクハラだった。申し訳ない。しかしセクハラまがいなりにフィックスを観察してみて、やはり無駄な脂肪とは無縁な肉体に整えられていることはわかった。
「うーん…私もダイエットかトレーニングすべき…?」
「指揮官さんは必要ないですって!そのままで、ありのままでいいんです!あ、でも美容には野菜が必要ですから、野菜は摂ってくださいね」
「はいはい」
これは野菜ハラスメントにならないんだろうかと考えながら、訴える気もないのでありがたくいただきます、と深々とお辞儀をしておく。毎日の食物繊維とビタミン諸々の栄養が補えているのは、彼のおかげだもの。
「そういえばさ、私がトレーニングしたとして、フィックスのことお姫様抱っこできるようになっちゃうかもしれないね!」
「何でですか!何でしようとするんですか!!」
「私より軽いし、私と身長そんなに変わらないから。」
「やるにしても逆でしょ、逆…。
まあ〜、たしかに背丈はそんなに高くありませんけど…それでも今のところ十分だと思ってるっていうか」
そう宣って、視線は私に向けたままフィックスはにっこりと笑みを作る。彼は裏のない性格だと知ってはいるけれど、何か物言いたげな態度にゆっくりと返す。
「なぜ…私を見ながら言うのかな?ん?フィックスくん」
「いいえ?何も?」
「私よりは身長高いからいいかなーって
ことでしょーそれ!!」
「アハハ!バレました?それに…あ、いや…」
「それに?」
これだけたくさん異種族が集まるプネブマで、身長や体重なんて比べるだけ野暮ってもんですよ!と至極正論を頂戴したのだった。
「す、すみませんでした…」
「わかってくれれば良いんです!」
(背が高い皆が抱き上げるより、背が低い皆が覗き込むより、どんな時でもねえむさんの顔を近くで見られるし、何だか得してる気がしてるんで。
……とは、言えず。)
end
「懐かしい〜」
名簿を手に取って、片付け作業はこれ以上進まないことが確定した。すると、そこへ扉をノックする音が軽快に響く。もうそんな時間かと顔を上げて、扉を開けると、想像していた通りの笑顔が飛び込んできた。青い鱗に、長い尻尾、そして作業着。色とりどりの野菜が入ったカゴを手にしたフィックスだ。
「どうも〜指揮官さん、お疲れさまです。野菜お裾分けに来ましたよ!」
「あ、フィックス。お疲れ様、いつもありがとう!」
農作業と収穫物の販売を終えて、フィックスが自慢の野菜を届けてくれる。この光景もいつの間にか習慣になっていた。事務処理などの良い区切りになるので、ある種の時報のようにも感じている。
「何してたんですか?」
「机の整理整頓を…と思ったんだけど、つい隊員名簿眺めちゃって…」
「あ〜…あるあるですねえ。オレ名簿に何書いたっけな」
恥ずかしいこと書いてませんよねえ!?と慌て出したフィックスをからかってみようかと、入隊時に提出された彼のプロフィールを探して、めくり、唖然とした。
「よっ…!?」
身長体重の欄、164cm・45kgの文字に悲鳴のような声を上げた。他の隊員も驚く情報は多々あるけれど、フィックスの身長は自分とさして変わらない。にも関わらずなんて数字を提出してくるのか。地球でいえば美容体重を通り越してシンデレラ体重なんて言われてしまう。サンミゲルやブルームーンのように魔力溜まりから出来たとか、サタンやウルケルのように体がゲル状とか、そういったわけでもないのに…。
「フィックス、私より体重軽いの…!?」
「えっ?そうなんですか!?」
「はァウッ!!」
墓穴!!自分の体重の方が重いだなんて、要らない情報を教えてしまった。恥ずかしい。名簿と彼の全身を交互に確認しながら数字に間違いのないことを確認する。疑問は特に解消されないけれど。
「なんで?身長はそんなに違わないのに…!」
「単純にカラダのつくりが違うんじゃないんですか?あと、トレーニングとか。オレはほら、農作業もしてますし」
「え〜!筋肉量が多いなら体重も重くなるんじゃないの?もしかして骨が地球人より薄いとか…?」
「ちょっと、ジロジロ見ないでくださいっ」
「ごめん…」
セクハラを受けた部下のような視線を向けられて、少し反省した。いや、実際セクハラだった。申し訳ない。しかしセクハラまがいなりにフィックスを観察してみて、やはり無駄な脂肪とは無縁な肉体に整えられていることはわかった。
「うーん…私もダイエットかトレーニングすべき…?」
「指揮官さんは必要ないですって!そのままで、ありのままでいいんです!あ、でも美容には野菜が必要ですから、野菜は摂ってくださいね」
「はいはい」
これは野菜ハラスメントにならないんだろうかと考えながら、訴える気もないのでありがたくいただきます、と深々とお辞儀をしておく。毎日の食物繊維とビタミン諸々の栄養が補えているのは、彼のおかげだもの。
「そういえばさ、私がトレーニングしたとして、フィックスのことお姫様抱っこできるようになっちゃうかもしれないね!」
「何でですか!何でしようとするんですか!!」
「私より軽いし、私と身長そんなに変わらないから。」
「やるにしても逆でしょ、逆…。
まあ〜、たしかに背丈はそんなに高くありませんけど…それでも今のところ十分だと思ってるっていうか」
そう宣って、視線は私に向けたままフィックスはにっこりと笑みを作る。彼は裏のない性格だと知ってはいるけれど、何か物言いたげな態度にゆっくりと返す。
「なぜ…私を見ながら言うのかな?ん?フィックスくん」
「いいえ?何も?」
「私よりは身長高いからいいかなーって
ことでしょーそれ!!」
「アハハ!バレました?それに…あ、いや…」
「それに?」
これだけたくさん異種族が集まるプネブマで、身長や体重なんて比べるだけ野暮ってもんですよ!と至極正論を頂戴したのだった。
「す、すみませんでした…」
「わかってくれれば良いんです!」
(背が高い皆が抱き上げるより、背が低い皆が覗き込むより、どんな時でもねえむさんの顔を近くで見られるし、何だか得してる気がしてるんで。
……とは、言えず。)
end
