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(とても非現実的な話。
サンタクロースから
プレゼントがもらえると。
小さなころは信じたことが
あった迷信も、今やただの
年末イベントに
成り下がってしまいました。)
「ご…ごめんねねえむちゃん…
ケーキ買うだけなのに
随分付き合わせちゃって…」
「いえいえ、私もこのお店のケーキ
食べてみたかったんで、
一石二鳥です。」
「そう言って貰えると
ちょっと楽だよ…ありがとう。」
とは言えど、長い長い列に
深い溜め息をつきながら、
のろのろと進んでいく。
隣に並ぶご近所さんのねえむちゃんは
私のクリスマスケーキ購入に
付き合ってくれているところ。
ブッダをびっくりさせたくて
一人商店街に来てみたは良いけれど、
孤独なケーキ選びは
ゴルゴダを彷彿するほど過酷だった。
くじけそうになっていたところに
運良くねえむちゃんが
通りかかり、お勧めの
ケーキ屋さんを教えてくれたのだ。
しかしそのお店は長蛇の列。
会話のない列待ちほど
辛いものはないよ…、
何か話題を見つけなきゃと
私が必死になっていると、
ふとねえむちゃんが口を開いた。
「イエスさん、クリスト・キントって
ご存知ですか?」
唐突な質問だけれど
どこかの国の、クリスマスに
関係した単語だったのは覚えている。
「えっ?んー、なんか
聞いたことあるけど、
妖精?だったよね。たしか」
「妖精というより天使ですね、
元々は幼いイエス・キリストが
プレゼントを配る、なんていう
サンタクロースに対抗した
偶像だったとか。」
しかしそれでは恐れ多いと
姿が変化していったようで。
人間も勝手に天使を作り出し
ちゃうなんて自由だなあ。
「えーそうなんだ!
じゃあ私がそのモデルって
ことだね!?」
「イエスさんじゃなくて
イエス・キリストですけどね。」
「あっ、ああ!そうだね!ウン!」
つい聖的な話だと天界の子たちや
ブッダにするように話して
しまうね。
身内用ネタとして後で
書き留めておかなくちゃ。
「一般的なサンタクロースは
聖ニコラウスだといいますよね。」
続けてねえむちゃんの
口から今度は聞き知った
名前が出てきた。
「へー、そういえば
ニコラウスさん今何してるんだろ」
「お知り合いの方ですか?」
「そうそう、彼世界を
飛び回ってるんだー」
私の飛び回っている、と
いうのは文字通りの
意味だったんだけど
ねえむちゃんには
諸国漫遊みたいな
イメージがついたらしい。
お金持ちですねえと羨ましそうに
呟いてたから…
クリスマスにちなんだ談笑に、
お次のお客様どうぞ、という
小一時間待ち望んだ声が掛かる。
ガラスケースの中には
サンタクロースが乗った
ブッシュドノエル!
「買えたああー!ねえむちゃん
本っ当にありがとう!
私ひとりじゃ心細くて
聖痕開いちゃってたかも…!」
「精根…?
よかったですよね、
売りきれなくて。」
寒い夕方の商店街で
一時間も付き合わせて
しまったから
何かお礼もしたいし、
ねえむちゃんに
温かいものをあげたい。
でも手元にはケーキの箱だけ。
「ねえむちゃん、
何も予定なかったら
うちに寄っていかない?」
「え、えっ?いいんですか?」
「ねえむちゃんがきたら
ブッダもきっとびっくりするよ!」
「…嬉しいです。
今年は私のところにも
クリスト・キントが
来たんですかね。」
「え?何か貰った?」
「はい!」
(聖ニコラウスは子供たちにお菓子や
玩具を与え、クリストキントは
大人にもプレゼントを
くれるそうでして。
天使と同じ名前のあなたから
実りある時間を貰いました。
これはとても現実的な話。)
end
サンタクロースから
プレゼントがもらえると。
小さなころは信じたことが
あった迷信も、今やただの
年末イベントに
成り下がってしまいました。)
「ご…ごめんねねえむちゃん…
ケーキ買うだけなのに
随分付き合わせちゃって…」
「いえいえ、私もこのお店のケーキ
食べてみたかったんで、
一石二鳥です。」
「そう言って貰えると
ちょっと楽だよ…ありがとう。」
とは言えど、長い長い列に
深い溜め息をつきながら、
のろのろと進んでいく。
隣に並ぶご近所さんのねえむちゃんは
私のクリスマスケーキ購入に
付き合ってくれているところ。
ブッダをびっくりさせたくて
一人商店街に来てみたは良いけれど、
孤独なケーキ選びは
ゴルゴダを彷彿するほど過酷だった。
くじけそうになっていたところに
運良くねえむちゃんが
通りかかり、お勧めの
ケーキ屋さんを教えてくれたのだ。
しかしそのお店は長蛇の列。
会話のない列待ちほど
辛いものはないよ…、
何か話題を見つけなきゃと
私が必死になっていると、
ふとねえむちゃんが口を開いた。
「イエスさん、クリスト・キントって
ご存知ですか?」
唐突な質問だけれど
どこかの国の、クリスマスに
関係した単語だったのは覚えている。
「えっ?んー、なんか
聞いたことあるけど、
妖精?だったよね。たしか」
「妖精というより天使ですね、
元々は幼いイエス・キリストが
プレゼントを配る、なんていう
サンタクロースに対抗した
偶像だったとか。」
しかしそれでは恐れ多いと
姿が変化していったようで。
人間も勝手に天使を作り出し
ちゃうなんて自由だなあ。
「えーそうなんだ!
じゃあ私がそのモデルって
ことだね!?」
「イエスさんじゃなくて
イエス・キリストですけどね。」
「あっ、ああ!そうだね!ウン!」
つい聖的な話だと天界の子たちや
ブッダにするように話して
しまうね。
身内用ネタとして後で
書き留めておかなくちゃ。
「一般的なサンタクロースは
聖ニコラウスだといいますよね。」
続けてねえむちゃんの
口から今度は聞き知った
名前が出てきた。
「へー、そういえば
ニコラウスさん今何してるんだろ」
「お知り合いの方ですか?」
「そうそう、彼世界を
飛び回ってるんだー」
私の飛び回っている、と
いうのは文字通りの
意味だったんだけど
ねえむちゃんには
諸国漫遊みたいな
イメージがついたらしい。
お金持ちですねえと羨ましそうに
呟いてたから…
クリスマスにちなんだ談笑に、
お次のお客様どうぞ、という
小一時間待ち望んだ声が掛かる。
ガラスケースの中には
サンタクロースが乗った
ブッシュドノエル!
「買えたああー!ねえむちゃん
本っ当にありがとう!
私ひとりじゃ心細くて
聖痕開いちゃってたかも…!」
「精根…?
よかったですよね、
売りきれなくて。」
寒い夕方の商店街で
一時間も付き合わせて
しまったから
何かお礼もしたいし、
ねえむちゃんに
温かいものをあげたい。
でも手元にはケーキの箱だけ。
「ねえむちゃん、
何も予定なかったら
うちに寄っていかない?」
「え、えっ?いいんですか?」
「ねえむちゃんがきたら
ブッダもきっとびっくりするよ!」
「…嬉しいです。
今年は私のところにも
クリスト・キントが
来たんですかね。」
「え?何か貰った?」
「はい!」
(聖ニコラウスは子供たちにお菓子や
玩具を与え、クリストキントは
大人にもプレゼントを
くれるそうでして。
天使と同じ名前のあなたから
実りある時間を貰いました。
これはとても現実的な話。)
end
