「失格?」セイギ×零 セイギside
リーダー失格、という語呂の悪いコール。
零は自分に絶望したように力を失い、唇を震わせていた。
ヒ「零っ…」
もう、時間が無い。早く解いてもらわないと俺たちは──
○「ぁ…ッ」
ひゅっと息を吸い込む音に続き、零の手が震え出した。
…嘘だろ。まさか──!
○「か、ッふ…は……ぁ゙、ひゅ、っ」
チ「ぜぜぜ零!?」
ス「こ、これ、か、過呼吸、かな」
気づいたら動いていた。零を、もう一度、助けたかった。
「退け!」
零の背に手を添え、そっと撫でる。
「大丈夫だ、心配すんな」
○「ぁ゙、せ…っぎ、さ、ッか、はっ」
大きな目が潤んで、震えている手が、弱々しく俺の服の裾を掴んだ。
「てめぇらは自分たちなりに何か考えてろ…見られてるんじゃまた緊張しちまうだろうがよ」
他の奴らは俺たちから目を背けるように、また数式に立ち向かった。
零は俺に合わせて呼吸を整えていたが、まだ治らない。
○「っ……は…、…」
今度は、息ができなくなったらしい。
…大勢人がいるとか、そんなことはこの際どうでもよかった。
俺は迷宮のトライアングルの時のように、零の唇に唇を当てて人工呼吸をした。
○「ふ…ッしぇ、ぎさ…?」
「この問題は…お前にしか解けないんだ」
フッと微笑み、零の柔らかな髪を撫でる。
「自信持っていけよ──零」
はじめて、彼の名前を呼んだ気がする。
零は目を開いて、こくりと頷いた。