「くるまいす」□×○ ○side
撮影の休憩時間中。俺は、役柄車椅子に座っている小山さんのところへ行った。
□「あーシゲちゃん♡どうしたの?」
○「…んー、」
周りには、誰もいない。
○「…甘えに来た」
座長として、みんなを引っ張らなきゃいけないのは、結構キツイ。
ちょっとした息抜きだ。
□「ふふっ、そっかそっか」
○「…甘えても、いい?」
答えを聞く前に、小山さんの膝の上に乗った。
□「寂しくなっちゃったの?」
○「…うん」
□「シゲちゃん頑張ったね。あと少しだよ、頑張って」
ぽんぽんと優しく頭を撫でられる。
優しく柔らかく微笑んで、俺はうんと頷いた。
□「…キスする?」
○「は…!?何言って、んん…ッや…ぁ、…っ、」
無理矢理振り向かされ、口付けられて甘くでろでろに溶かされてしまった。
俺は小山さんの身体に抱きついて息を整える。
□「もー、とろっとろじゃん」
○「おまえの、せいっ…だろ」
小山さんは、ひとにバレるギリギリのところでイチャイチャするのが好きらしい。変わった人だ。
一方で、俺はちゃんと二人きりの時にイチャつきたい訳で…。
○「…こやま、さん」
□「ん?あ、ちょっ、」
甘く甘く溶かされてしまった俺は、弱々しく小山さんの服の裾を掴み、無意識に上目遣いで小山さんを見つめた。
○「お家帰ったら…もっと…っとろとろに溶かして?」
ほんのり赤く染まった頬が見える。
小山さんは眉を下げて「もー」と微笑み、YESの代わりに触れるだけのキスをした。