「お誘い」▽×○ ▽side
♡「よし、行けシゲ!」
俺は、最初に違う仕事をしてからここに来た訳で。
愛しの彼女であるシゲは、小山と手越と何かを話していた。
ようやく解放されたシゲは、俺の隣に座った。
▽「ん、どうしたのシゲちゃん」
○「…あ…あの、その、」
シゲは俯いてしまったが、耳まで真っ赤になっている。
▽「…手越何かした?」
♡「へ?あたしゃ何も?」
□「無言で睨まないで、何もしてないから…!」
…絶対何か吹き込んだだろ。
シゲは俺の服の裾を引っ張った。
○「…た、たか、」
名前呼びなんて珍しい…!
手越がニヤニヤし始めた。
○「……っ、」
シゲがちらりと小山たちを見た。
2人は優雅にヒラヒラと手を振る。
○「う…、ぁ、むり、むりむりむりっ…!」
シゲは真っ赤な顔を覆ってしまった。
▽「シゲちゃん?何が無理なの」
肩を叩くと、シゲが顔を上げた。
その目はうるうるとしていて、俺の目をじぃっと見つめる。
▽「…シゲ?」
○「うぁ、ぁ、むり、むり…っ」
▽「いや、だから何が無理なん」
♡「ほーら、はーやーくっ!じゃないと携帯返さないよ?」
□「言っちゃえば楽だよ?」
それはダメ、と小さく悲鳴をあげるシゲ。
シゲは軽く深呼吸をすると、俺の目を見つめて言った。
○「…ちゅ…ちゅー、…して、…?」
俺の「は?」という声と、小山と手越が悶絶してテーブルに頭をぶつける音が見事に揃った。
○「う、…〜〜っ///だからやだっていっ…」
真っ赤な顔と同じように紅い唇を奪った。
すぐに離す訳がない。こんなかわいい恋人を。
後頭部を支えながら、舌をいれて長く濃い口付けをする。
○「ん、ッ!ふ…ぅあ……っましゅ…ッん、」
シゲの切ない声に、小山と手越がまた悶絶する。
○「っ…んん…ッん…」
▽「ぷは…、えっろ」
○「…ばか、ばか、我慢してよ」
そんな真っ赤な顔で言われても説得力が皆無。
▽「何言ってんの、キスしてって言ったのはシゲだよ?」
○「あ…っ!!その、それは違くてっ」
♡「ネタバレしまぁ〜す!」
○「だめ!手越っ、だめ、おねが、」
手越はシゲの携帯を掲げる。
シゲは口をパクパクとさせて何も言えずにいる。
♡「ここにねー、まっすーの写真があるの〜」
□「しかも、世に出回ってないやつ!」
携帯のケース──手帳型のもの──に俺の写真を挟んでいたらしく、それが運悪く手越にバレてしまい、このことを俺にバレたくなければ俺にキスをせがめと言ったのだという。
○「嘘つきっ、ちゅーしてって言ったらっ、バラさないって…!」
♡「んー?覚えてないなぁ」
○「こ、こやまっ」
□「俺は知らないよ、手越が言ったんだから」
シゲは顔を真っ赤にしたまま、俺と目を合わせようとしない。
▽「しーげ、こっち向いて」
○「…気持ち悪いって思った?ごめ、んなしゃ、まっす、」
ぎゅーっと抱きついてきてぽろぽろと涙を零すシゲ。
▽「…おい手越。ついでに小山」
「「はい」」
▽「シゲ泣かせてんじゃねぇよ。おい。ふざけんな。あ?どうなるかわかってんだろうなぁ…」
小山と手越は引きつった笑顔を浮かべた。
○「…ましゅ…だめ、怒っちゃだーめ」
▽「んふふ、大丈夫。すぐ終わりにするからね」
キッと2人を睨む。
シゲはキョトンとした様子だったけど、俺の体温が高くて暖かいからなのか、またぎゅっと抱きついてきた。
▽「まぁ俺優しいから、そんな厳しいことしないよ」
♡「はぁぁよかっ」
▽「今日から1ヶ月、シゲに指1本でも触れるな!」
「「はぁっ!?」」
ビシッと指を差して決め込む。
♡「ななななんで、撮影とか」
▽「雑誌の撮影のポーズは許す。でもテレビ収録ではダメ。ラジオもダメ」
□「1ヶ月って長くない!?てか俺何もしてな」
▽「うるせぇ!とにかく触るな!」
小山と手越が崩れるなか、「ねーねー」と裾を引っ張られた。
目が合うと、ふにゃりと微笑む。
○「てことはさ、俺はまっすーといちゃいちゃできるの?」
▽「っ!?…そ、そうだね」
○「んふふ、じゃあいーっぱいいちゃいちゃしよ?」
シゲが目を瞑って唇を突き出してきた。
○「ん…は、ぅ…ッ」
俺は唇をゆっくり離すと、そのままシゲを押し倒した。
○「へ…?」
▽「どうする?」
○「ん…えっちしたい」
小山と手越に目線だけで「いなくなれ」と合図を送る。
2人はバタバタと忙しそうに出ていった。
▽「シゲちゃんってばエッチだね。しょうがないからシてあげる」
○「ふっ…ゃ、ん、たかぁ…ッ」
誘ってきたのはシゲちゃんだから、俺は何も責任追わない。
口付けて、深く。溶けていく。そしてそのまま。
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