【rkrn】害悪天女ちゃん【本文】
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rkrn夢小説共通認識天女ネタのよくある「前に来た天女様」像
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嫌われではないがハッピーエンドでもない
恋愛要素なし
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◆
死ぬほど殴られる痛みは初めて知った。
◆
何がどうなったのか、ゆえにはよくわからなかった。
目の前の男は、誰だかよくわからない。らんらんとした目をして、よくわからないことを口走り、そしてゆえを痛めつけている。
暴力、と呼ぶのがふさわしい、それ。
いたい。こわい。くるしい。
身体中がいたい。殴られたところがいたい。掴まれたところがいたい。何度も責め立てられたところはもうずたずたで、どこがいたいのかももうわからない。
口に詰められていた布が落ちて少し息がしやすくなったけど、どこもかしこも痛くてうまく呼吸ができないし、つぶれた喉からはろくに声も出やしない。
揺さぶられるたびに走る痛みに、ただ垂れ流れるだけのうめき声。
痛くて、怖くて、逃げたくて、でも竦んでいる。
「たす、けて」
がさがさに掠れた声。
意味はない。ぐちゃぐちゃになったゆえの中で辛うじて形になった言葉がこれだったというだけの。
「こわいよ、たすけて、せんせ……」
現実味のない懇願。
先生。忍術学園の、優しい大人たち。
「、ふ」
思わず笑いが漏れた。馬鹿馬鹿しい。あまりにも。
助けられるわけもない、ここにいない人に救いを求めて。つくづくゆえは頭が悪い。
笑ったことが癇に障ったらしく、両手で首を絞められる。みしみしとなにかが軋む。
顔を真っ赤にしてなにか喚いている男を見て、ゆえはふと、自分が男ではなくてよかったと思った。
もし自分が男で、忍たまたちが女の子だったなら。きっとこんな風にひどいことをしたのだろうから。
夜這いをかけて衣を脱いだ自分は、きっとこんな表情をしていたのだろう。きっと、こいつとおんなじバケモノだった。
痛みも苦しみも、もう、どこか遠い。
ああでも、ちゃんと生きなくちゃ。だってそう、ゆえは彼らのことが好きだから。痛くても苦しくても、ちゃんと生きると決めたから。
投げ出された手で地面を探る。何か細い棒が手に触れた。つくねか何かの串、たぶんそう。ちゃんとゴミ箱に捨てないと、伊助が怒るのに。それを握りこんで、目の前にある男の目玉にずぶりと突き刺した。
奥までしっかり届く前に男はゆえを突き飛ばして、手が離れてしまう。ああ、だめだ。やっぱり一人じゃ、ちゃんとできない。ゆえは。おかあさんの、言う通り。
でも、ちゃんとできなくても。褒めてくれた人がいた。認めてくれた人がいた。受け入れてくれたみんながいた。だから。
もしも。もしもまた、会えたら。みんなは。みんなに────────
◆
数日後、よくあるニュースが一つ流れて。
知らない誰かが好きに勝手に推察し、インターネットの片隅で、誰かと誰かが言い争って。
そしてすぐに、誰からも忘れ去られて消えていった。
おわり