treasure
「嫌じゃないでしょ!私のポケモンなんだから!マッチを返して!」
「見つけたのは私だもの。だからこのイーブイはわ・た・し・のイーブイよ!」
全く悪びれた様子もない少女。
「人のポケモンはゲットできないよっ!だからマッチは私のポケモンなんだもん!キミのポケモンにはならないよっ!」
「ばうばうばうっ!」
「っ!」
ルーツに吠えられ、少女が後ずさる。
「返して!」
「い…嫌よ!私イーブイがほしいんだからっ!ラッチーでんこうせっか!」
「らいー!」
「!?」
突如現れたライチュウが突っ込んでくる。
それに気づいたルーツがミウの前に飛び出し、代わりに攻撃を受けた。
「ぐ…」
「ルーツ!大丈夫?」
ルーツは何事も無かったかのように身構える。
逆にひっくり返っていたのは突っ込んできたライチュウの方。
「ちょっとー!ラッチー何してんのよ!起きなさい!」
「ら…らい…ちゅ」
ライチュウは少女の声で起き上がると数回頭を横に振った。
またミウ目掛けて突っ込んでくる。
「ルーツ!ずつき!」
「ばうっ!」
真っ正面からのルーツの攻撃でまたひっくり返るライチュウ。
「ぶいーっ!ぶいーっ!」
その様子を見ていたマッチがさらに暴れだす。
じたばたと足を動かし、さらには少女の腕に噛みついた。
「いっっった──────!!」
少女がたまらず手を離す。
マッチはするりと少女の腕から抜け出し、ミウに駆け寄った。
「マッチ………!」
寄ってきたマッチを抱き上げようと手を伸ばしたミウは、背中から衝撃を受けて倒れ込んだ。
拍子に辺りに飛び散るカバンの中身。
「…った…」
振り返ると、さっきひっくり返っていたライチュウが目の前に立っていた。
「らい…」
「ばうばう!」
直ぐ様ルーツがライチュウに向かって頭突きを繰り出す。
ライチュウはまたひっくり返った。
マッチはミウのカバンから飛び散った物を見つめている。
モンスターボール。
お財布。
薬の入ったポーチ。
ポケモンのおやつが入ったケース。
そして炎の石。
「おとなしく私のポケモンになりなさい。可愛がってあげるから。」
マッチに伸びる少女の手。
「ぶい!」
マッチは首を横に振ると、散らばったミウの荷物を口に咥えた。
迷うことなく咥えたのはあの、炎の石。
マッチの体は途端に光りはじめ、小さなシルエットがみるみる大きくなっていく。
その光景をミウは動けず、ただ見ている事しかできなかった。
「…マッチ…」
体が大きくなり、増したもふもふ。
色も姿も違うポケモンがそこにいた。
「ぶぶぅ!ぶーしゅたっ!」
マッチは少女に向き直り、いきなり火の粉を吐き出した。
「きゃーっ!」
ギリギリの所で少女はかわしたが、身につけていたマフラーが焦げている。
ミウの前に立ち塞がるように立ったマッチは少女に対してまた火の粉を吐き出した。
「ちょ!」
攻撃は少女のすぐ横の壁にぶち当たる。
「ななな!何するのよ!危ないじゃない!」
「先にラッチーにミウを攻撃させたお前がそれを言うわけ?」
割って入った少女の物でもミウの物でもない声。
ミウも少女も声に反応して同じ方に顔を向けた。
そこに立っていたのは黒髪でメガネをかけた少年。肩にはイーブイと変わらないサイズのサンダース。
メガネの奥の赤い瞳で少女に冷めた視線を送っていた。
「!!」
その存在を確認するや否や少女は慌てて逃げるように走り去ってしまった。
「ら…らい…」
戸惑いながらもライチュウが少女の後を追っていく。
少年は黙って散らばったミウの荷物を一つ一つ拾うと、ミウの前に差し出した。
「落ちた荷物ってこれで全部?」
「………あっ!うん…ありがとう…」
受け取った荷物をカバンにしまう。
一つだけ、足りない物があった…
「見つけたのは私だもの。だからこのイーブイはわ・た・し・のイーブイよ!」
全く悪びれた様子もない少女。
「人のポケモンはゲットできないよっ!だからマッチは私のポケモンなんだもん!キミのポケモンにはならないよっ!」
「ばうばうばうっ!」
「っ!」
ルーツに吠えられ、少女が後ずさる。
「返して!」
「い…嫌よ!私イーブイがほしいんだからっ!ラッチーでんこうせっか!」
「らいー!」
「!?」
突如現れたライチュウが突っ込んでくる。
それに気づいたルーツがミウの前に飛び出し、代わりに攻撃を受けた。
「ぐ…」
「ルーツ!大丈夫?」
ルーツは何事も無かったかのように身構える。
逆にひっくり返っていたのは突っ込んできたライチュウの方。
「ちょっとー!ラッチー何してんのよ!起きなさい!」
「ら…らい…ちゅ」
ライチュウは少女の声で起き上がると数回頭を横に振った。
またミウ目掛けて突っ込んでくる。
「ルーツ!ずつき!」
「ばうっ!」
真っ正面からのルーツの攻撃でまたひっくり返るライチュウ。
「ぶいーっ!ぶいーっ!」
その様子を見ていたマッチがさらに暴れだす。
じたばたと足を動かし、さらには少女の腕に噛みついた。
「いっっった──────!!」
少女がたまらず手を離す。
マッチはするりと少女の腕から抜け出し、ミウに駆け寄った。
「マッチ………!」
寄ってきたマッチを抱き上げようと手を伸ばしたミウは、背中から衝撃を受けて倒れ込んだ。
拍子に辺りに飛び散るカバンの中身。
「…った…」
振り返ると、さっきひっくり返っていたライチュウが目の前に立っていた。
「らい…」
「ばうばう!」
直ぐ様ルーツがライチュウに向かって頭突きを繰り出す。
ライチュウはまたひっくり返った。
マッチはミウのカバンから飛び散った物を見つめている。
モンスターボール。
お財布。
薬の入ったポーチ。
ポケモンのおやつが入ったケース。
そして炎の石。
「おとなしく私のポケモンになりなさい。可愛がってあげるから。」
マッチに伸びる少女の手。
「ぶい!」
マッチは首を横に振ると、散らばったミウの荷物を口に咥えた。
迷うことなく咥えたのはあの、炎の石。
マッチの体は途端に光りはじめ、小さなシルエットがみるみる大きくなっていく。
その光景をミウは動けず、ただ見ている事しかできなかった。
「…マッチ…」
体が大きくなり、増したもふもふ。
色も姿も違うポケモンがそこにいた。
「ぶぶぅ!ぶーしゅたっ!」
マッチは少女に向き直り、いきなり火の粉を吐き出した。
「きゃーっ!」
ギリギリの所で少女はかわしたが、身につけていたマフラーが焦げている。
ミウの前に立ち塞がるように立ったマッチは少女に対してまた火の粉を吐き出した。
「ちょ!」
攻撃は少女のすぐ横の壁にぶち当たる。
「ななな!何するのよ!危ないじゃない!」
「先にラッチーにミウを攻撃させたお前がそれを言うわけ?」
割って入った少女の物でもミウの物でもない声。
ミウも少女も声に反応して同じ方に顔を向けた。
そこに立っていたのは黒髪でメガネをかけた少年。肩にはイーブイと変わらないサイズのサンダース。
メガネの奥の赤い瞳で少女に冷めた視線を送っていた。
「!!」
その存在を確認するや否や少女は慌てて逃げるように走り去ってしまった。
「ら…らい…」
戸惑いながらもライチュウが少女の後を追っていく。
少年は黙って散らばったミウの荷物を一つ一つ拾うと、ミウの前に差し出した。
「落ちた荷物ってこれで全部?」
「………あっ!うん…ありがとう…」
受け取った荷物をカバンにしまう。
一つだけ、足りない物があった…