【ワートリ】迅ヒュ【全年齢】
暖かな朝日とふかふかの布団。
心地よい微睡みからヒュースはゆっくりと瞼を上に持ち上げた。
「じん……」
擦れた声で恋人の名を呼びながら、ノロノロと上体を起こす。うつ伏せのままでは周りが見えないからだ。気怠い腰に鞭を打って横で寝ているはずの迅の方を見た。
しかし、隣は既に空っぽでヒュースは首を傾げた。
いつもならば、ヒュースが起きるまで待っていてくれるはず。そしてふにゃりと微笑んで『おはよう』と言ってキスをくれるのだ。
とりあえずベッドサイドに置いてあったTシャツを手にする。きっと迅が用意したものだろう。裸のままでは風邪をひくから。襟に角に引っ掛けないようにして袖を通すと改めて周りを見渡した。
やはり迅はいない。
ベッドの上にちょこんと座り込んで、また首を傾げる。
一体どこへ行ってしまったのか……
ベッドから出てしまえばいいのだが、下半身がだるい。動きたくない。
布団を引き寄せて纏う。温かくてまた眠くなってきた。
ぼんやりとドアを眺めて迅を待つ。あいつが自分を置いて帰ってこないなんて有り得ない。
布団の温かさと朝日の心地良さに、うとうとと微睡んでいるとガチャりとドアノブの捻る音がした。
音が聞こえた瞬間、パチリと目が冴える。
慎重に部屋に入ってきた迅はヒュースを見るなり微笑んだ。
「おはよう」
迅は大きなトレーを器用に抱えて部屋のドアを閉めた。
ヒュースに近づき額にキスをするとベッドに腰をかける。
「身体は大丈夫?」
「あぁ、そんなに痛くない」
「まだ、ぼんやりしてるね……眠い?」
「まぁ……な」
布団を膝にかけなおしてヒュースは目を瞑った。
一晩、一緒に過ごしたというのに額にキスだけでは足りない。いつも通り、唇にキスをして欲しかった。
「やけに素直だねぇ」
ちゅっと可愛らしいリップ音を立てて迅がヒュースの唇に触れる。啄むようなキスを方向を変えて何度か楽しむ。
するとそこに無遠慮なグゥーと軽快な音が響いた。
自分の腹がなったのだと自覚してヒュースは反射的に腹を抑えた。
自分から誘っておいてこれは恥ずかしい……
頬が熱くなるのを感じながら迅の様子を伺う。
彼は笑いを堪えながらヒュースから顔を背けていた。
「貴様がいい匂いのするものを持ってくるからだろう!!」
「ふふっ……ごめんごめん……ご飯にしよっか」
そう言って迅はヒュースの前にトレーを差し出す。
トレーの上には、たっぷりとバターの塗られた厚いフレンチトーストとカフェオレ、それからトマトスープが乗っていた。
これは腹が鳴っても仕方がなかった。とても美味しそうだ。
「迅が作ったのか……?」
「うん、ヒュースがお腹空くかなって……食欲より性欲とは思わなかったけどね〜」
見逃したなぁと笑う迅を睨みつけてヒュースは言う。
「貴様が起きたらいなかったからだろう!」
「へ?」
「起きたら、キス……だろ?」
ヒュースは調節できるように別添えにされたメープルシロップをフレンチトーストに沢山かける。
甘くってしょっぱいからフレンチトーストは美味しいのだ。決してセリフを誤魔化した訳では無い。
「いただきます」
ひとくち大にナイフで切って、フォークで刺して口まで運ぶ。
甘くてしょっぱくて美味しい。
何度か噛んで咀嚼する。
切ったフレンチトーストに手をつけようと、フォークを刺した時だった。
「ヒュースの中では、おれと一晩過ごした後の朝はキスから始まるんだね」
ぼそりと口にした迅の言葉を聞いて手が止まった。改めて口にしなくてもいいだろうに……
ぶわりと顔が熱くなるのを感じる。
誤魔化す様にナイフでフレンチトーストを切って、口に放り込む。
もぐもぐと食べる事に集中していると、迅がじっとこちらに視線を送ってきた。無視を決め込んでいると声がかかる。
「ヒュース、ヒュース。こっちみて」
次のフレンチトーストに手をつける前に名前を呼ばれ、視線を合わせる。
迅の目がスっと細められ、嬉しそうな彼の顔が近づいてくる。
「迅……んぅ」
名を呼んだと同時に舌が捩じ込まれる。舌を絡めとられ吸われて、飲み込みきれなかった唾液が口の端を伝った。
「ふぅ、んんッ……」
迅に合わせてヒュースも一生懸命に舌を絡ませる。
キスに夢中になっていると再びヒュースの腹が鳴った。
「迅……」
「ごめ……ほんとに…………ふふっ」
堪えきれていない笑みがむかつく。そもそも迅が悪いのだ。起きた時に傍にいてくれれば腹の音など鳴らずにすんだものを……
「次から飯を作る時はオレを叩き起してからにしろ」
「えっ」
「そうすれば……ゆっくり、キスができる」
最後の方は小声になってしまったが、言いたい事は言えた。
迅は嬉しそうに微笑むと、今度は頬へキスをした。
「了解。そしたら次は一緒に作ろうか」
「……オレが立てたらな」
スパッとそう返して、またフレンチトーストをひとくち食べる。
「善処します」
苦笑いを浮かべる迅へ、ひと切れだけフレンチトーストを差し出す。
口の端をあげてヒュースは言った。
「こうして味見をさせてくれるのならば、必ず起きあがろう」
「現金だなぁ……」
そう言って迅はフレンチトーストを口で受け取った。
心地よい微睡みからヒュースはゆっくりと瞼を上に持ち上げた。
「じん……」
擦れた声で恋人の名を呼びながら、ノロノロと上体を起こす。うつ伏せのままでは周りが見えないからだ。気怠い腰に鞭を打って横で寝ているはずの迅の方を見た。
しかし、隣は既に空っぽでヒュースは首を傾げた。
いつもならば、ヒュースが起きるまで待っていてくれるはず。そしてふにゃりと微笑んで『おはよう』と言ってキスをくれるのだ。
とりあえずベッドサイドに置いてあったTシャツを手にする。きっと迅が用意したものだろう。裸のままでは風邪をひくから。襟に角に引っ掛けないようにして袖を通すと改めて周りを見渡した。
やはり迅はいない。
ベッドの上にちょこんと座り込んで、また首を傾げる。
一体どこへ行ってしまったのか……
ベッドから出てしまえばいいのだが、下半身がだるい。動きたくない。
布団を引き寄せて纏う。温かくてまた眠くなってきた。
ぼんやりとドアを眺めて迅を待つ。あいつが自分を置いて帰ってこないなんて有り得ない。
布団の温かさと朝日の心地良さに、うとうとと微睡んでいるとガチャりとドアノブの捻る音がした。
音が聞こえた瞬間、パチリと目が冴える。
慎重に部屋に入ってきた迅はヒュースを見るなり微笑んだ。
「おはよう」
迅は大きなトレーを器用に抱えて部屋のドアを閉めた。
ヒュースに近づき額にキスをするとベッドに腰をかける。
「身体は大丈夫?」
「あぁ、そんなに痛くない」
「まだ、ぼんやりしてるね……眠い?」
「まぁ……な」
布団を膝にかけなおしてヒュースは目を瞑った。
一晩、一緒に過ごしたというのに額にキスだけでは足りない。いつも通り、唇にキスをして欲しかった。
「やけに素直だねぇ」
ちゅっと可愛らしいリップ音を立てて迅がヒュースの唇に触れる。啄むようなキスを方向を変えて何度か楽しむ。
するとそこに無遠慮なグゥーと軽快な音が響いた。
自分の腹がなったのだと自覚してヒュースは反射的に腹を抑えた。
自分から誘っておいてこれは恥ずかしい……
頬が熱くなるのを感じながら迅の様子を伺う。
彼は笑いを堪えながらヒュースから顔を背けていた。
「貴様がいい匂いのするものを持ってくるからだろう!!」
「ふふっ……ごめんごめん……ご飯にしよっか」
そう言って迅はヒュースの前にトレーを差し出す。
トレーの上には、たっぷりとバターの塗られた厚いフレンチトーストとカフェオレ、それからトマトスープが乗っていた。
これは腹が鳴っても仕方がなかった。とても美味しそうだ。
「迅が作ったのか……?」
「うん、ヒュースがお腹空くかなって……食欲より性欲とは思わなかったけどね〜」
見逃したなぁと笑う迅を睨みつけてヒュースは言う。
「貴様が起きたらいなかったからだろう!」
「へ?」
「起きたら、キス……だろ?」
ヒュースは調節できるように別添えにされたメープルシロップをフレンチトーストに沢山かける。
甘くってしょっぱいからフレンチトーストは美味しいのだ。決してセリフを誤魔化した訳では無い。
「いただきます」
ひとくち大にナイフで切って、フォークで刺して口まで運ぶ。
甘くてしょっぱくて美味しい。
何度か噛んで咀嚼する。
切ったフレンチトーストに手をつけようと、フォークを刺した時だった。
「ヒュースの中では、おれと一晩過ごした後の朝はキスから始まるんだね」
ぼそりと口にした迅の言葉を聞いて手が止まった。改めて口にしなくてもいいだろうに……
ぶわりと顔が熱くなるのを感じる。
誤魔化す様にナイフでフレンチトーストを切って、口に放り込む。
もぐもぐと食べる事に集中していると、迅がじっとこちらに視線を送ってきた。無視を決め込んでいると声がかかる。
「ヒュース、ヒュース。こっちみて」
次のフレンチトーストに手をつける前に名前を呼ばれ、視線を合わせる。
迅の目がスっと細められ、嬉しそうな彼の顔が近づいてくる。
「迅……んぅ」
名を呼んだと同時に舌が捩じ込まれる。舌を絡めとられ吸われて、飲み込みきれなかった唾液が口の端を伝った。
「ふぅ、んんッ……」
迅に合わせてヒュースも一生懸命に舌を絡ませる。
キスに夢中になっていると再びヒュースの腹が鳴った。
「迅……」
「ごめ……ほんとに…………ふふっ」
堪えきれていない笑みがむかつく。そもそも迅が悪いのだ。起きた時に傍にいてくれれば腹の音など鳴らずにすんだものを……
「次から飯を作る時はオレを叩き起してからにしろ」
「えっ」
「そうすれば……ゆっくり、キスができる」
最後の方は小声になってしまったが、言いたい事は言えた。
迅は嬉しそうに微笑むと、今度は頬へキスをした。
「了解。そしたら次は一緒に作ろうか」
「……オレが立てたらな」
スパッとそう返して、またフレンチトーストをひとくち食べる。
「善処します」
苦笑いを浮かべる迅へ、ひと切れだけフレンチトーストを差し出す。
口の端をあげてヒュースは言った。
「こうして味見をさせてくれるのならば、必ず起きあがろう」
「現金だなぁ……」
そう言って迅はフレンチトーストを口で受け取った。
