素敵な夢になりますように…
不死鳥の隣 2
Name change
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…異世界なぁ…。だからか?俺が知る女の子となんか雰囲気が違う気がすんのは…。
女の子はみんな可愛いのはまぁ変わんねえけど…なんだろな…?うーん?いや、ただナース達に見慣れ過ぎてタイプが違うだけか…
サッチは、そんなことを思いながら隣のNAMEを盗み見る。
髪は胸くらいまである黒髪で、前髪は長く目は隠れ気味。元々化粧気のないNAMEの容姿は、良く言えば素朴だが悪く言うと地味だ。
どちらかというと、サッチ達白ひげ海賊団の周りにはナースや、立ち寄る島の娼婦など、色気がだだ漏れ且つ愛想の良い女達ばかりで、特に旅を共にするナース達は美人揃い。
NAMEのような地味で愛想もなく、真面目で面白味のないタイプは初めてだった。
サッチの視線に気付いたのか、NAMEがサッチを見て「なにか?」と口を開きかけた瞬間、物陰から急に隊員が飛び出してきた。
「いた!!サッチ隊長!!こんなところに!!探しましたよ~!早くこっち来て飲みましょ~」
「ひゃ!!」
「おお、お前急に出てくんなよ。NAMEちゃんがビックリしてんだろ?ほらNAMEちゃん、こんな酔っぱらい野郎に絡まれる前に俺の腕に掴まってな?」
「い、いえ、すみません…、急でビックリしただけ、です」
「だーいじょぶ、俺っちにくっ付いてりゃこんなバカ共すぐ…追っ払っ、て…、んん?」
「ちょっとサッチ隊長、なんですかその言い草はぁ!!島民達も隊長達と飲みたいって騒いでんすよぉ」
「わーった、わーった。それより、適当に酒とツマミ見繕って持ってこいよ」
「あー、それ、俺に持って来させてこっち来ない気じゃないっすかぁ」
「ったくうるせぇな!どうせあとで島でも飲むだろうが!」
「んなこと言っても、島着いたら俺たち4番隊は調理ですぐ飲めねえじゃねーっすかあぁ」
泣き言を叫ぶ隊員に心底面倒くさそうな表情を見せるサッチ。そしてそれを交互に見て少しオロオロしていたNAMEは、背の高すぎるサッチに少し屈んでくれと言うように服を引っ張り、背伸びをしながら声を掛ける。
「あ、あのサッチさん、私のことでしたら全然気にせず皆さんと飲んできてください」
「っ、NAMEちゃん、ちょっと待って。俺興奮しちゃうし、こいつらにも刺激が強ぇ」
「はい?…え、お酒、飲むと…ですか??」
「や、そうじゃな…」
「サッチたいちょお~」
「だー!わかったって!すぐ行くから先行ってろ!」
「そうこなっくちゃ!!みんなにも伝えてきますっ!」
そう言い残し、バタバタと走り去っていく隊員の後ろ姿を見送ると、サッチは徐に「ハァ」と息を吐いた。
「…すごく慕われてるんですね」
「いやあ、ありゃ久々だからはしゃいでるだけだな。…ってかそんなことより!NAMEちゃん、ちょっと耳かして」
「?はい」
急に片手を口元に当て身を屈ませてきたサッチに、NAMEは疑問符を浮かべながら耳を寄せた。
「…NAMEちゃんさ、今ブラ付けてないよね?」
「・・・・・・・・・・・・っ!?//////////////////////」
耳元でコッソリと囁かれたその言葉に一瞬フリーズしてしまったが、意味を理解した瞬間に真っ赤になったNAMEは、思わず両手でパーカーの襟元をバッと掴んだ。
「や、さっき俺の腕にNAMEちゃんの胸が当たった時、その、感触がさ、…、あ、わ、わざとじゃねぇよ!?不可抗力っつーかなんつーか。
じゃなくてよ、もしそうならあいつらんとこ戻らせるのは危ねぇからさ、俺が取ってくるからマルコと待ってな?…いや、マルコと二人も危ねぇか…、いやまああいつらよりはマシだな!」
「え、あ、でっでも//////」
「そりゃあんな透けちまうくらいびしょ濡れだったもんな。…ってあら?…もしかして下も…とか?いやさすがに下は履い…」
そうチラリとNAMEを見ると、ボボボとさらに赤さを増していく顔にサッチもつられて赤面してしまう。
「あ、れ//////マジか…。じゃあ、そのシャツの下なんも付けてねえってことだよな?…うわ、それめっちゃエロ…ぶげうばっ!!」
「!」
「様子がおかしいと思って来てみりゃ…。ったく…ほんとに懲りねえバカだよい」
ドゴーンと大きな音が横から聞こえてきた時には、すでに目の前の人物はサッチからマルコに変わっていた。
先程見た光景をもう一度見るとは思っていなかったNAMEは、きっとこれが彼らの日常なのだとなんとなく理解したのであった。
「NAME、とりあえず島に着くまでさっきの部屋に居ていいよい。ついてきな」
「あ、は、はい」
チラとサッチの方を確認しながら、NAMEはマルコの後を追った。
「あー、いってぇ…。クソ、ありゃマルコの野郎もNAMEちゃんが下着付けてねぇの知ってたクチだな。ったくスケベな野郎だぜ」
…しかし…あの腕に触れた感触からしても…中々の張りと弾力…。そういや下着も黒だったし…
いや、俺には分かる。間違いない。NAMEちゃんは、エロい身体をしている!
「サッチ隊長?そんなとこで何やってんすか」
物音を聞きつけた隊員が様子を見に駆けつけると、そこには「どーん」という文字を背中に背負いながら、顔はだらしなくにやけているサッチがブツブツと独り言を漏らし座っていた。
「あの赤くなった顔もだし…地味なのにエロいとか…。やっべ…最高かよ!」
「あ、ダメだ。ほっとこうぜ」
隊員達にとってはいつもの光景だったため、そのままサッチを放置して戻っていくのだった。
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「悪かったよい。どっちにしろ、島に着くまでは治療したとはいえ足も動かさない方がいいしここに居た方が良かったな。」
先程シャワーを浴びた部屋のソファにNAMEを腰掛けさせた後そう言い、片手で頭を掻きながらすまない、と声を掛けるマルコにNAMEはブンブンと頭を振った。
「マ、マルコさんは何も悪くないので謝らないでください」
「いや、配慮が足りなかったよい」
「そ、そんなことないです、お気遣いしていただいて感謝してます。ありがとうございます」
そう逆に頭を下げられ、マルコは押し問答だな。と思いながら笑みを浮かべ、隣にドサリと腰掛けた。
その際、自分との体格の差を改めて感じ、マルコは思わず言葉が漏れた。
「…ちっせえな」
「え?あ、わ、私の国では標準です!…マルコさん達が大きすぎるんですよ…」
「お前さんの国ね」
「エースくんくらいの人でさえ大きい人の枠ですよ」
「ハハ、そうかい。じゃあオヤジに会ったら卒倒しちまうな」
「そ、そんなに大きいんですか…?」
「あァ、…でっけェよい」
そう何かを含んだようにニヤリと笑うマルコに、NAMEは頭の中でその大きさを自分の常識の範囲内で想像した。
「この部屋はNAMEが使っていいよい」
「え、こ、こんな立派なお部屋をですか?」
「あぁ。元々空き部屋だ。あとでオヤジにも確認するが、まぁダメとは言わねえよい」
「…、あの、そのオヤジさん、というのはマルコさん達のお父さんですか??」
何度も会話に出てきた名前に、NAMEは思いきって訪ねてみる。
マルコは一瞬目を丸くしたが、「そういやこの世界のこと何も分かんねえんだったな」と溢し笑顔を向けながら答えた。
「オヤジは俺達の実の父親ではねぇが、俺達は仲間であり家族なのさ。…んで、オヤジはこの白ひげ海賊団の船長で、世界最強の男と呼ばれてる」
「せ、世界最強…⁉そ、そんなに、すごい、方なんですか…」
「そのうちもっとスゲェのがつくよい。海賊王っつ一最高の肩書がな」
「海賊、王…」
スケールの大ききにあまりピンときてないNAMEは、マルコがこの部屋に戻る途中に仲間から奪ってきたお酒を口に含む。
「う”っ…⁉げほっ!ごほっ!」
「!大丈夫かよい?」
「す、すみ、ません、げほっ、お、思ったより、つ、強いお酒で、げほげほっ」
「あぁ、悪い。確かに普段そんなに飲まねえ奴なら水で割った方がいい酒だったな」
尚もゴホゴホと咽せているNAMEを見て、マルコはコップに水を入れに素早く立ち上がった。
「…ゴホッ(…え、これ、いくら飲み慣れてると言っても普通にこのまま飲めるもの…⁉︎)…ゔ…、喉、燃えそう…」
「ほら、飲めよい。水だ」
「す、すみませ…」
マルコから受け取った水をコクコクと飲み干し、少し落ち着いたNAMEを見てマルコもほ、と息をつく。
「悪かったな、なんも考えず注いじまったよい…。もっと水飲むかい?」
「……」
「NAME?…気分悪いか?…!、っと」
返事のないNAMEに心配の目を向けた瞬間、持っていたコップがスルリと手から抜け落ち、マルコは咄嗟にそれをキャッチした。
すると、そのままNAMEが自分に凭れ掛かってきた為、確認すればNAMEはすでにスース―と規則的な寝息を立てていた。
「…、ほんとに寝ちまいやがった。……、まぁ、色々あったんだ、無理ねぇか」
マルコは「酔うと寝てしまう」そうNAMEが言ってはいたが、まさかこんなすぐに寝てしまうとは思ってもみなかった為少々驚いたが、
いきなり訳の分からない世界に飛ばされ、奴隷になりかけ、海に入ってイカに襲われ、海賊に助けられる、という流れを考えればとんでもなく疲れていても仕方ないと思った。
酒の所為か真っ赤な顔で気持ちよさそうに眠るNAMEを見て、マルコは思わず口元が緩む。
…島まではまだ掛かる。着くまでゆっくり寝かせてやるか
マルコはNAMEの身体をひょいと抱き上げ、ベッドの上へと優しく運んだ。
すると、それと同時に扉を強くノックする音が鳴り響き、次いで酒とツマミを持ったサッチとエースが顔を出した。
「おーいマルコ、NAMEちゃん用のお菓子と飲みもん持って…っておまっ、何やって!」
「ああ!!マルコがNAME襲ってる!!!」
「てめぇら…人聞き悪ぃこと言うんじゃねェよい!!」
今まさにベッドに組み敷こうとしてるようなその光景を見て騒ぎ立てる2人に、マルコは隠さず舌打ちをして語気を強める。
その一連の騒々しさに目を開けたNAMEは、そのままムクリと起き上がった。
「あ、すまねぇ、起こしちまったか」
「…」
「NAME?大丈夫か?」「NAMEちゃん、顔赤いけどマルコになんかされたか!?」
「あ、つい」
「「「あ?」」」
マルコにエース、サッチが矢継ぎ早に心配の声を掛けるが、当の本人はそれに返事をせず、ボーっと虚ろな目をしたまま羽織っていたパーカーのチャックをいきなり引き下ろした。
そのままパーカーを脱ぎ、シャツのボタンにまで手が掛かったところで、一瞬固まっていたマルコとサッチが慌てて止めに入る。
「うおおおおおいNAMEちゃん!!ストップストップ!!」
「暑くても服は脱ぐなよい!ほれ、水飲め!」
「?なんだ、お前ら…別にパーカーくらい脱がせてやれよ」
「「お前は黙ってろ(よい)!」」
「はあ?」
2人のあまりの剣幕に、エースは若干引き気味だ。
「おい、まさかマルコ…酒飲ませて手籠めにしようとしたんじゃ…」
「んなわけねぇだろ。酒飲んだら即行で寝ちまったからベッドに移動させただけだ」
「ほんとかねー。ウチの長男坊は意外とむっつりスケベ野郎だからな。その点、俺はオープンだから心配いらねえ!NAMEちゃんは俺が介抱するから安心して任せろ!」
「どこが安心できんだよい。却下だ。島に着くまでこの部屋には誰も入るんじゃねぇよい!!」
その後再度水を飲み干したNAMEは、またスヤスヤと眠りにつき、島に着くまで心労が絶えなそうだと懸念するマルコであった。
to be continued...
2024.8.29
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