素敵な夢になりますように…
先生と、初恋 1
Name change
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訓練は2人か3人のチームで、ヴィランとヒーローに分かれるもの。
NAMEは自分のチームメイトを見て一瞬身じろぐ。爆豪と飯田だ。
しかも自分達は敵側。相手のヒーロー側は緑谷と麗日チームと決まった。
「よろしく、飯田くん」
「ああ、こちらこそよろしくNAME2くん!」
カクカク動く飯田に微笑み、NAMEは隣の爆豪にも声を掛ける。
「爆豪くんも、頑張ろうね」
「あ?頑張る必要なんざねえ…。相手はクソ雑魚だぞ。足引っ張りやがったらぶっ殺す」
「ぶっ…!?」
「爆豪くん!君はほんとに口が悪いな!俺達はヒーロー…」
「うるせえな、今はヴィランだろうが」
「ムッ!た、確かに…!」
すぐに納得し、しかしまだブツブツと悩む飯田にNAMEはまた少し微笑みつつも、それを無視して先に進もうとする爆豪の手を掴んだ。
「あ?なに?」
ギロと睨みをきかせる爆豪にたじろぎながらも、NAMEは言葉を続けた。
「っ…、た、確かに私達はヴィランだけど、仲間でもあるわけだから…!ちゃんと協力しよ?」
「…。ヴィランの気持ちなんざ知りたくもねぇが、協力するヴィランもいれば意思疎通も出来ねえ奴もいるだろ。俺はデクを潰す。あとは勝手に作戦でもなんでも好きにしろ」
そう言い放つと、爆豪はNAMEの手を振り解きスタスタと進んでいった。
「彼は協調性という言葉を知らないのか…」
「…でも、確かに爆豪くんの言ってる事も一理あるよね。単独行動するヴィランもいれば…計画的にチームで動くヴィランもいる…。全くの考え無し、て感じではないのかも…。」
「ふむ…。そうだな」
「まあ…協調性がないのは困るけどね」
そう言って笑うNAMEに飯田は一つ頷き、俺達は俺達で動くヴィランに徹しよう!と2人で拳を握りしめた。
そうして始まった戦闘訓練。案の定単独行動に走る爆豪に結局翻弄され続けたNAME達のチームは、意味の分からない下からの爆発と共にあっという間に敗北。講評の時間だったが、NAMEは緑谷の大怪我を見て、一緒にリカバリーガールの元へと向かった。
「緑谷くん、どう…?痛み、落ち着いたかな」
「あっ、あっ、あり、ありがとうNAME2さんっっ////////(やっやばぃ////女子にペタペタ触られた…!し、しかも視覚的に色々ヤバいぞぉ〜うああぁあ////)」
NAMEは自分の個性で緑谷の痛みを軽減させていたが、緑谷にとっては有難い反面、露出の高いNAMEの姿で目のやり場に困っていた。
「まったくまた無茶して!とにかく安静だよ!!アンタもありがとね。」
緑谷にお大事にねと声を掛け、リカバリーガールに一礼してからNAMEは保健室を出て演習場へと向かう。
その道すがら、前から歩いてくる担任の姿に気づいてNAMEが声を掛けると、相澤は一瞬目を丸くした。
「…NAME2か。…中々…、攻めたな」
「え?なんですか?」
「…いや、なんでもない。それよりどうした。その格好てことはまだ訓練中だろ?」
「え…、っあ、//////あのえっと、このコスチュームはっ、これは違くて、ですねっ、これはっ」
「…落ち着け」
相澤の言葉で自分の姿を思い出したNAMEは、真っ赤に顔を染めながらわたわたと顔を抑えたり体を隠したりと忙しなく動く。
見た目だけなら大人っぽく、清楚なイメージのあるNAMEだが、こんな風に恥ずかしがる姿はやはりまだ幼く、高校生なんだと思わせる。
だがしかし、そんな雰囲気とは裏腹に、NAMEの身体はやけに妖艶で美しく、普段は隠れている豊満なバストや華奢な肩やウエスト、際どい太もものラインに思わず目がいってしまうのは男の性なのか。
相澤は静かに呼吸を整えると邪な目で生徒を見ていた自分を心の中で叱責した。
「す、すみません///…あの、訓練で怪我を負った緑谷くんの付き添いで保健室に行ってました。…これから演習場へ戻るところです」
「そうか。アイツ…また怪我か。学習しねぇな」
「…」
「…?どうした」
相澤が緑谷のことを思い浮かべ苛立ちを隠さずにそう言えば、NAMEは何かに気付いたようにハッとして顔を落とした。
「いえ…、わ、私も…、さっき先生がせっかくアドバイスをくださったのに…今の実践で何も出来ずに終わったので…。」
「俺が言ってるのは個性の制御についてだ。緑谷の怪我はどうせ自分の個性のせいだろ?」
「あ、はい…、8割は…そうです」
「お前の個性は元々戦闘向きじゃないんだ。落ち込んでないでお前は基礎体力アップに励めよ、NAME2。」
「は、はいっ」
「分かったなら、ほら、早よ行ってこい」
「はい!それでは、失礼しま、…っ?」
「っ!おいっ」
勢いよく頭を下げたNAMEは、頭を上げた瞬間に眩暈を感じた。フラリと後ろへ倒れていくNAMEに気づいた相澤は、素早くNAMEの背中に手を回して抱き止め、床に倒れるのを防いだ。
「おい、どうした。具合悪いのか」
「すみませ…、??も、もう大丈夫です。ちょっと、立ち眩み的な感じで!」
眩暈が治ったNAMEは慌てて体勢を立て直すと、お礼を言い、急いでその場から走り去る。
相澤はその後ろ姿を心配そうに見送った。
…なに、ドキドキしてるんだろう…!先生はただ、倒れそうな私を支えてくれただけだってば…!
…先生に抱き止められた肩が熱い…
火照った顔を冷ますように、飛び出てきそうな心臓を落ち着かせるように、NAMEは深い呼吸を繰り返しながら演習場へと急いだ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「体調、大丈夫なのか」
放課後の特訓の時間、体操服に着替えたNAMEが指定された体育館で柔軟体操を行なっていると、到着した相澤が怪訝そうな顔つきでNAMEの背中に声を掛ける。
「先生!お疲れ様です!はい、大丈夫です。よろしくお願いします!」
「…。」
「…?せんせ…っぅ、わっ⁉︎」
振り返って挨拶をするNAMEの顔を見るなり、相澤は眉間に皺を寄せた。
何も言わない相澤にNAMEが首を傾げて声を掛けると、その瞬間、相澤の捕縛布に捕らわれぐいと目の前まで引き寄せられ、そのまま相澤はNAMEの額に手をあてた。
「なっ、なん、…です、かっ///////⁉︎」
「顔が赤い。熱も、少しだがあるな」
「(そ、それは近いから…!////////)」
「今日は帰れ。」
「え…!そんな、先生っ私ほんとに大丈夫で…っぅ?」
「ほら見ろ。フラついてんじゃねぇか」
「???」
「……緑谷の怪我に個性使ったっつってたな。」
「は、はい」
「映像確認したが、あの怪我に使うのは相当な体力使うんじゃねえのか?」
「…そ、そうなんでしょうか…。すみません…私、個性を人にあまり使った事がなくて…」
「なら尚更だな。お前の個性は誰かが怪我しないと練習にならねぇわけだ。」
「…、」
「とにかく、これからお前の個性の把握、特訓のメニューは考える。だから今日は休め。特訓を中止にするわけじゃないから安心しろ」
相澤の言葉に、NAMEはほ、と安堵の息をついた。
「歩けるか」
「あ、はっはい!」
捕縛布を解かれ、NAMEは相澤の後ろを大人しくついて歩いていく。
少し猫背の、でも大きなその背中を、NAMEはぼぅと眺めた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
制服に着替え、NAMEは校門まで送ってくれた相澤にもう一度謝罪を伝えた。
「せっかくお時間作ってくださったのにすみませんでした…。」
「いや、いい。俺もお前の個性をしっかり把握してなかったのが悪い。明日の朝、詳しく個性の使い方を聞くから今日はしっかり休めよ。」
「はい…。ありがとうござ…」
グぅうぅ〜〜
「…」
「あ////////」
「…お前…」
自分の言葉を遮るほどの大きなお腹の音に、一瞬の間をおいてNAMEはあわわわと赤面し出し、相澤はまたも眉間に皺を寄せた。
「まさか、昼ちゃんと食ってないのか」
「う…、す、すみません…」
「晩飯はどうするつもりだ」
「え、えと…まだ決めてないので…このあとスーパーに行って適当に…」
「…よし、わかった。今日は俺が飯に連れていこう。」
「へ?」
「何が食いたい?」
「えっ、えっ、そんな!」
「子供が遠慮するな。そんな大層なとこには行かないよ。食えないものはあるのか」
「い、いえ…。な、何でも食べれます」
「ラーメンでいいか?」
「ラーメン大好きですっ」
食い気味に答えるNAMEに、相澤はフッと思わず笑みが溢れた。
「そうか。…ここで待ってろ。支度してくる」
…先生と、らーめん…。
校舎に戻っていく相澤を見つめつつ、NAMEはふふふ、と嬉しさが、溢れる笑顔で滲み出ていた。
「そんなに好きか。」
「えっ⁉︎/////////」
「ラーメン」
「あっ、ら、ラーメン…!は、はい、好きです…けど、顔に、出てますか?//////」
「まぁ、そこそこな」
嬉しそうにラーメンを頬張るNAMEを見て相澤が不思議そうに問うと、NAMEはまた恥ずかしそうに答えた。
「…ラーメンは、もちろん好きなんですが、…その…こうして、誰かと一緒に夜ご飯を食べるのが嬉しくて」
「…。…そうか。」
「…はい。朝とか大丈夫なんですけど…やっぱり夜は誰かと食べる方が楽しいですね」
「…」
「あ、でも、もう慣れてきたので普段は全然大丈夫ですよ!お母さんが必死で働いてくれた分、しっかり勉強して強くなって、絶対ヒーローにならなきゃって思ってるのでくよくよしてられないですしね!」
そう言ってニコッと笑うNAMEが本当に健気で、生徒といえど素晴らしい人間力だと相澤は思った。
…こいつは、父親をヴィランに殺されて復讐を考えたって無理はないのに…。そんなこと一切表に出さず、一人ぼっちになっても弱音も吐かずに前を見て生きてる。
大した奴だ。
「お前は頑張ってるよ。…だが、ヒーローは思ってる以上に過酷な職業だ。…必死でついてこい」
「はいっ…!」
「…それと」
「はい…?」
「…飯なら、いつでも付き合ってやる」
「…え」
少し言いづらそうに伝える相澤の言葉にNAMEは思わずキョトンとしてしまうが、すぐさま目を輝かせた。
「ほ、ほんとですか」
「俺で良ければだがな」
「せ、先生が良いです!」
強めに推された言葉に一瞬怯むも、嬉しそうなその顔に、相澤も同じように嬉しく感じた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「先生、ご馳走様でした。美味しかったですし、すごく、楽しかったです!」
「なら良かったよ。…元気も出てきたみたいだな」
「は、はい。お腹空いて倒れそうになるなんて、ほんと恥ずかしいです…。」
「まあ、それだけじゃないけどな。これからはちゃんと昼飯食えよ」
「はいっ!…あ、あの先生?」
「ん?」
「次、…次ご飯一緒に食べてくれる時は、私ご飯作ります!」
「…は?」
思ってもみない申し出に、相澤は思わず顔を顰めた。しかしNAMEは構う事なく言葉を続ける。
「わざわざ時間を割いてくださるのに、先生にいつも奢ってもらうわけにはいきません」
「いや、んな豪華なものじゃないんだ。気にすることは…」
「それだと、わ、私の気が済まないので…!」
「…、しかしわざわざ俺の分まで作るのは手間だろう」
「いいえ!一緒に食べてくれる人がいたら、嬉しくて全然手間に感じません!」
ここは中々譲らなそうなNAMEの頑固さに、相澤はやれやれと息を吐き、じゃあよろしく頼む、と一言零した。
それを聞いた瞬間、NAMEはパッと嬉しそうな笑顔を見せてもう一度頭を下げた。
「ありがとうございます!では帰ります。また明日から、特訓よろしくお願いします!」
「ああ。気をつけて帰れよ」
家まではその場から歩いて10分くらいだ。NAMEは相澤と別れの言葉を交わすと、すぐに視界から消える曲がり角までダッシュし、そしてそのまま、ふにゃりと腰から砕けるようにその場にしゃがみ込んだ。
「〜〜〜っ////////ぅれしぃっ…!」
…先生と、一緒にご飯が食べれた…!
また、次も、これからも一緒に食べてもらえる…!
「ぅ〜////どうしよう……」
NAMEは両手で赤い顔を覆いながら喜びを噛み締めていた。
彼女はずっと、相澤に恋をしていたのだ。
中学に上がったばかりの3年前、交通事故に遭いそうな自分を救ってくれたのがイレイザーヘッドだった。
まさに間一髪。あと1秒でも助けるのが遅ければNAMEの命はなかった。そんな危機を救ってくれたヒーローに碌にお礼も言えなかったことを後悔していた。しかもそのヒーローは中々メディアに現れない為探すのは勿論、名前を知るのも難しかった。
自分は、目の前で父親が殺されても何も出来ず、周りからは疎まれ、母親も心労で病んでいく日常に、悲しみに加え、自分は誰からも必要とされてないんだという孤独感に、何年も苛まれていた。
事故に遭う瞬間、逃げなくては、という判断が遅れたのも、きっとそういった理由からだ。
助けられた時、自分はどんな顔をしていたのか。死んでも良かったという顔をしていたのだろうか。…そう思った。
何故なら、そのヒーローが言ったからだ。「そんな顔するなよ。君が居なくなったら、家族が悲しむぞ」と…。
そんなことすら忘れてしまってたのだ。彼に言われ目が覚めたような気がした。
父も母も、私をとても大切に育ててくれたのだ。今のこの状況を変えるには、私がもっと逞しくならなくてはいけないんだと、NAMEはその時ようやく気付いた。
それからは、自分もヒーローになると必死に勉強するようになり、母も、そんなNAMEを見て少しずつ明るくなっていった。そんな時だ。雄英の体育祭の放送でついに彼を見つけたのは。
彼を見つけた瞬間、NAMEはすでに、どうしようもなく恋に落ちていたのだ。
あれから3年。想い続けた人が担任と知り、嬉しさもありつつ、それ以上に身が引き締まる思いだった。今は恋だなんだと浮かれてる場合ではない。ヒーローになる為必死にならなければいけない時で。それはヒーローを志した時から決意していたことだ。
しかし、浮かれてはいけないと思う反面、距離が近づく度に胸が締め付けられるようだった。
そして、母と離れて2年。母が亡くなったのは半年前だ。雄英に行く事さえ悩んだNAMEだったが、母の遺言と遺産を受け取り、前を向くことを誓った。
しかし、ご飯を食べる時、1人になるのは無性に寂しかった。そんな状況からの今日の相澤の申し出は、NAMEにとって飛び上がるほど嬉しいことだったのだ。
…浮かれちゃダメだけど…、でも、喜ぶくらいはしてもいい、よね…。
NAMEはニヤけてしまう顔を抑えつつ、ふわふわとした足取りで家路へとついた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
…生徒の一人に入れ込むつもりはないが…。あいつは、何故かほっとけない気分にさせられる…。
「ふっ…。らしくないな。…あ。」
そんなことを独りごちて、相澤は帰り道でハタと歩みを止めた。
…しまった。特訓の時にあいつに渡そうと思ってた講評のプリント…渡しそびれたな。…明日でもいいか…。…いや、確かあいつの家はここからすぐだったはず…。
「仕方ない。届けるか」
相澤は踵を返し、NAMEの住むアパートへと向かった。
to be continued...
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