素敵な夢になりますように…
先生と、初恋 9
Name change
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〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ービビーッビビーッ
「!まさか…っくそ!」
NAMEと近くのスーパーで落ち合う約束をしていた相澤がそろそろ出ようかと家で準備をしていると、突如、鳴ることがないようにと願っていたアラートが鳴り響いた。
これはサポート課に作ってもらったNAME専用の防犯ブザーとセットのものだ。
拘束されたとしても発動出来るであろう、NAMEの小指に付けた指輪のボタンを押せば相澤のアイテムが連動し、アラートが鳴る時だけ指輪の位置がこのアイテムに表示されるというシステムだ。
これが鳴ったということは、恐らくあのヴィランに遭遇、もしくは捕まった可能性が高いとふんだ相澤は、急いで表示された位置へと向かった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「NAMEちゃん…」
「んーっ、むうっ…!」
「会いたかったよう…、しばらく、見ない間に体つきがしっかりしてきたんだねえ」
爆豪が視線を外している僅かな瞬間、NAMEはこのヴィランに口を塞がれ路地裏へと引きずり込まれていた。
壁に押し付けられ、両手首は頭の上でまとめられ、口をも拘束されたNAMEの視界には、数ヶ月前馬乗りにされた時に見た男が、あの時と変わらない気味の悪い笑みを浮かべて立っていた。
もちろん、あの時よりも確実に強くなったNAMEではあるが、その実力も自信も、恐怖が身体を支配し微塵も発揮出来ない。
引きずり込まれた瞬間に指輪のアイテムを起動することだけは出来たが、今も身体は震え、ヴィランからも目を逸らしてしまう。
「一緒にいた奴、爆豪って奴だよねえ」
「っ!?」
「すごく仲が良さそうだったけどさあ、もしかしてさあ、もしかしてだけどさあ、まさかとは思うけどさあ、あいつと付き合ってたりなんかしてないよねえ!?」
「っ、」
ギリッと手首をより強く押さえつけられ、NAMEはその痛みに反射的にギュッと目を瞑った。
…怖い…!
ダメ、私はヒーロー…!ヴィランを捕らえなくちゃ…
でもいや、触らないで…
ダメ…!ヴィランになんて屈しちゃダメ!私が触れられればきっと倒せる…!
動け!…身体、動け…!!
ぅ…やだ、来ないで…!
、、お願い、身体っ、動いてよ!!!
「そいつから離れろや、クソ陰気野郎がァ!!」
-ドガッ「ぐっ!?」「っ、かっ(かっちゃん…!)」
目を瞑り、背けたNAMEの顔に自分のソレを近づけようとしている男の脇腹に、爆豪が走ってきた勢いそのままに跳び蹴りを思いきり食らわした。
男が蹴り飛ばされたと同時にNAMEは解放され、その場にズルズルと腰をつく。
「てめェ、俺に恨みでもあんのか?薄気味悪い気ィ向けやがって」
「一っ、こ、こんな粗暴で野蛮な奴…NAMEちゃんに合ってないよねえ」
「あァ?(ちゃん付け…知り合い、…じゃ、ねえな)てめェー体なにもんだ?」
爆豪は、訳の分からない言葉を発する男のNAMEに対する馴れ馴れしい発言にチラリとNAMEを見遣れば、その場で震え、見たことのない怯え切った目をしてるのを確認した。
間違いなくこの男はヴィランだと確信し、爆豪は掌をバチバチと鳴らしながらその男に近づいていく。…しかし。
「必ずそいつから救ってみせるからさぁ…、待っててネ」
「っ!チッ、移動個性か…!逃げやがった」
引き際と感じたのか、男は前回と同様、瞬く間にその場から姿を消したのだった。
「…あ、…あり、ありがと…。かっちゃん、ど、どうしてここだって、分かったの…?」
「勘」
「か、かん…、そっか…あは。さすがかっちゃんだなぁ」
震えがおさまっていないにも関わらず、無理して笑うNAMEに爆豪はイラつきを隠さず舌打ちをする。
「ヘラヘラすん…」
「!爆豪っ、NAME2!!」
「!」「、あ、いざわせんせ…」
相澤の姿が目に入った瞬間、緊張の糸が切れたのかNAMEはそのまま意識を手放し、地面へと倒れていく寸前で爆豪がNAMEの上半身を咄嗟に受け止めた。
―事のあらましは爆豪から聞き、ひとまず二人に外傷がないことに安堵した俺は、以前にも同じような事件を起こしストーカー化したヴィランがNAME2を付け狙っていることをザックリと爆豪に説明した。
今は学校側の安全な施設でNAME2を預かっていると誤魔化したが、爆豪は珍しく安心したような表情を見せた。
「すまなかったな。俺が対処すべきだった。」
「俺が気を取られた所為でこいつを見失った。」
爆豪の自分を責める物言いに一瞬目を見開いたが、俺はすぐに言葉を続けた。
「お前が居てくれて良かったよ。お陰で大事には至らず済んだ。本来なら、俺が常に警護すべきだったんだが…。
この数か月、四六時中俺が見張ってるようなものだ。こいつも息が詰まるだろうと思ってな…。
昼間のうちなら大丈夫だろうと油断した。完全に俺の失態だ。お前の所為じゃない。」
「…」
「NAME2を守ってくれてありがとう。…個性も使ってないようだしな、咎めることは何もない」
「そーかよ」
素直に納得はしてはいないが、理解はしたような返答だった。
「あとは俺が引き受ける。お前も気を付けて帰れよ」
「…あぁ。」
相澤は、両手をポケットに突っ込みながら帰路へとつく爆豪の背中を見送ると、気を失ったままのNAMEの身体を抱き上げ、一度学校へ向かい今日の事件を校長に報告した。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「…目、覚めたか」
「…、せんせ…、っ、あ、ご、ごめんなさい、私…」
気が付くと、そこは見慣れた相澤の家だった。
目の前にいた相澤を視界に入れた瞬間、先程のことを思い出し、あれからずっと看病させてしまったのかと申し訳ない気持ちが先に立つ。
それを察したのか、相澤は大きなその手でNAMEの頭をポンポンと無でた。
…先生の手…、なんでこんなに落ち着くんだろう…
「謝るのはこっちだ。傍に居てやれなくてすまなかった…。俺の油断が今回の件を招いた。本当にすまない」
「そ、そんな…!先生は何も悪くなんて!私が油断して」
「まだ寝てろ。お前は何も悪くない」
ガバリと起き上がり抗議の声を上げるNAMEの額を、相澤は優しく押して枕に戻した。
冉ひ仰向けにされたNAMEだったが、掴んでいた掛布団を顔まで引き上げ、急に込みあげてくる涙を隠す。
「ち、違うんです…、ほんとに、私が…、私が全然、う、動けなくて…」
「…」
「あ、あんなに、先生に特訓してもらったのに、何も…、何も出来ませんでした…、、っ、私…、こんなんじゃ…ヒーローになんて…」
ボロボロと溢れる涙を止められないまま話すNAMEの頭に、相澤はもう一度優しく手を置く。
「NAME2、ヒーローにだって怖いもんはある」
「うぅ…、ほ、ほんと、ですか?…、せん、せいも…?」
「ああ。あるよ。…俺だけじゃない。マイクや13号、オールマイトだってあるだろうさ」
「…オール、マイトも…」
「ああ。怖いもんがあるから強くなろうとする、いつか克服するために強くなれる。…みんなそーゆーもんだ。
ただ、ヒーローはそれを人々に見せちゃならん仕事ってだけで」
「…」
「どんなに怖くても立ち向かわなきゃならない。その悪意が市民に向いていようが、仲間に向いていようが、自分に向いていようが」
「…」
「お前が目指しているのはそーゆー世界だ。」
「…、」
「NAME2、ツライ状況だというのは重々承知の上で言わせてもらうよ」
「…、はい…」
相澤が言わんとすることをNAMEは察し、心臓がドクンと大きく鳴った。
「立ち向かう勇気が出ないなら、ヒーローは諦めろ」
予想していた言葉が、NAMEの心臓を抉るように突き刺さる。
「お前だから諦めろと言ってるわけじゃない。この世界は理不尽で、恐怖ばかりの過酷な世界だ。誰にでも出来る仕事じゃない。…諦めたからって恥じることじゃないんだ」
「…、」
「ヒーロー科から普通料に編入も出来る。…もちろん、俺の生徒じゃなくなっても、あのヴィランを捕まえるまではお前を保護するのは変わらない」
「、せ、先生は…、私には、向いてないと、思いますか…?」
決して咎めるわけではないが、ただ淡々と話す相澤にどんどん追い込まれていくNAMEは、聞くべきではないと思いつつも、耐え切れず言葉が出てしまう。
その言葉を聞いた相澤がふぅ、と溜息をつき、NAMEの身体がビクと体が震えた。
「…俺の主観に左右されるのは感心しないな。そんな腹積もりなら…」
「ご、ごめんなさい!…い、今の言葉はて、撤回…します」
相澤の言葉を遮り、NAMEはもう一度勢いよく起き上がり慌てて謝罪の言葉を口にする。
「私、諦めたく、ありません…。雄英に来れて、やっと夢が、現実的に見えるようになれました。」
「…」
「情けないことを言って、ごめんなさい。…もう、もう逃げません。次に対峙したら…、次こそは、私が捕まえます…!」
覚悟を決めたその目を見て、相澤は優しく微笑んだ。
「悪い、少し意地悪だったな。お前がそう言ってくれて嬉しいよ」
「…、せんせ…」
「お前の強さは俺が知ってる。自信を持て。誰がお前を特訓してきたと思ってる」
「、は、はい」
「…お前は立派なヒーローになれる。頑張ろうな」
「!はいっ…!引き続きご指導、よろしく、お願いしま…、っ」
泣きながらも笑顔を取り戻したNAMEに、相澤は無意識に手が伸び、その零れる涙を自分の親指で優しく掬い取った。
あまりにも突然なその触れ合いに、NAMEは途端に顔を赤らめ、身体が硬直する。
―っ、だ、だめ、意識するな、私…!先生にとってはきっと普通のこと…。
特別だなんて、思っちゃダメ。
赤い顔のまま何かを堪えているかのような表情で自分を見つめ固まるNAMEに、相澤はハッとして自分の行動に静かに驚く。
…しまった、また俺は無意識に…
相澤はバレないように自分に舌打ちをすると、「個性には向き不向きがある。頑張りどころはしっかり見極めるように」とすかさず釘を刺してゆっくりとNAMEから離れた。
「は、はい…(どうしよう…、心臓、痛い…。どう、しよう…、私…先生のこと…もっと、もっと好きになってる…)」
…、俺は、本当に何やってんだ…。
聞き間違いじゃなきゃ、こいつは俺に惚れてる…。
気を持たすようなことしてんじゃねぇぞ…!
お互いがそれぞれの気持ちに葛藤し始めるが、時間は無情にも過ぎていく。
そして、3日間の期末筆記試験を終え、ついに演習試験の日がやってきた。
to be continued...
2024.6.27
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