素敵な夢になりますように…
go on 3
Name change
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「あ、厚かましいお願いをしてほんとにごめんなさい…」
「本当にな」
「(う…でも負けない…)な、なんでもやります!」
「…」
「なんでも、お手伝いさせてください。…まだ、この世界のこと全然分かってないとは、思うんですが…!お願い、します…!行くところもないんです。ここで、働かせてください。お願いします!」
私はベッドから降り、思いきり頭を下げた。
もう、今はこうするしか方法がない。
「…エルヴィン、」
「…いいだろう。君を一旦、調査兵団で預かろう」
「っありがとうございます…!」
「おいおいおい…気は確かかエルヴィン」
「ああ、もちろん正気だ」
「チッ…てめぇもだ。なんでもやると言ったか?なら巨人の餌になることも厭わねぇってことだな?」
「あ、えっ…と…」
「俺達の世界のこと知らねぇくせに、なんでもなんてナメた口聞いてんじゃねぇ、グズ野郎が」
「…す、すみません…」
「リヴァイ、そのくらいにしておけ。… NAME、預かると言ったのは君のことを調べさせて欲しいからだ。もちろん、監視もさせてもらう。それも構わないということだね?」
「は、はい。私が協力出来ることなら…し、従います」
「よし。…そういうことだ。異論はないな、リヴァイ」
「チッ…」
「NAME、君は明日までここに居てくれ。手の傷や喉もまだ診てもらう必要もあるだろう。明日までには、君の部屋を用意しておく」
「あ、ありがとうございます。ご面倒を増やしてほんとにすみません…」
「気にしなくていい。我々も、君を利用するつもりでいるんだ」
「は、はあ…」
なんだか少し怖い気もするけど、一応は私がここでお世話になるのを認めてもらえたようだ。ハンジさんは「いやー!よかったよかった!!さすがエルヴィン!」と言ってくれている。反対していたリヴァイさんはあんまり納得はしてくれてないようだけど、とりあえずは団長さんの言うことを聞いてくれてるみたいだ。
「では、我々は失礼する。何かあれば外の兵士に伝えてくれ」
「あ、はいっ…わざわざ、来ていただいてありがとうございました」
団長さんはにこりと微笑みながら部屋を後にする。そしてミケさん、リヴァイさんも後に続く。「じゃあまた明日ね」と言って一緒に出ていこうとするハンジさんを私は引き留め、小声で耳打ちをした。
「あの、ここってお風呂はあるんでしょうか…」
「え?お風呂?入りたいの?」
大きな声で聞き直されてしまい、部屋から出かけていたリヴァイさんが少し睨むようにしてこちらに視線を戻した。
モブリットさんは、入らなくても平気なのは貴方くらいですよ、とハンジさんを咎めている。
よかった…。
変なことを聞いてしまったのかと思ってかなり恥ずかしかったが、モブリットさんのその言葉でどうやらそうではないようだと分かりほ、と息を吐いた。
そしてそれに畳み掛けるようにリヴァイさんも口を挟む。
「てめぇはいい加減風呂に入れ。クソ眼鏡」
「ああ、そうか、そうだよね、普通は入りたいよね!」
ははは、と笑い出すハンジさんを呆れたように一瞥した後、リヴァイさんは部屋を出て行った。
「医療班に伝えておくよ。今は手の包帯が取れないだろうから、洗髪や清拭もしてくれるはずだから。もちろん、お風呂はあるよ!明日また兵舎内を案内してあげるからさ!」
それを聞いてお礼を伝えると、ハンジさんはモブリットさんを連れて部屋を後にした。
しばらくして、医療兵だという女性がやってきた。
「洗髪と清拭をさせてもらうね」
「あっ、よ、よろしくお願いします」
病院に入院などしたことのない私は、美容院以外で他人に洗髪をされたことも、ましてや他人に身体を拭いてもらうことなど大人になって初めての経験で…。いくら女性の、医療関係の人だとしてもかなり緊張した。
「そんなに緊張しなくて大丈夫だよ!あ、衣服はここに脱いで置いといて。洗濯して明日また持ってくるから。終わったら、この下着と病衣を着て。新品のものだから気にせず使いな」
そうテキパキと指示してくれる彼女は、私に大きいタオルを渡してくれた。裸になったらこれを巻けということらしい。
私は意を決し、依然テキパキと準備を続ける彼女の前で制服を脱ぎ始める。そしてようやく下着姿になった私は、ブラのホックを外し、肩から紐を下ろそうとしたその時。
ガチャリと部屋の扉が開け放たれた。
「おいサシャー!見舞いに来てやったぞ!」
「おいコニー、ノックくらいしてやれよ」
「っきゃあ!?」
「あっ!?こら!!!」
「っ////////!?」
「わっ/////!あ、すっすすすみません!!!」
一応ベッドの周りにはカーテンが掛けられていたのに、そのカーテンをも無遠慮に開けたその男の子達と私はガッチリと目が合ってしまった。
反射的に、胸と、役目を果たしていないそのブラもろとも両手で隠すと、準備をしていた彼女がその男の子達を外に蹴り飛ばして声を荒げた。
「腹を痛めた子なら1つ下の階だ!お前ら医療棟出禁にするからな!!」
「すみませんでしたァァ!!!」と大きな声で去っていく足音を聞きながら、私は、この世界へ来て初めてパニックになっていた。
み、見られた…見られた…!
見ず知らずの男の子に裸見られちゃったぁぁ!涙
「あー、すまないね…。今のは新兵のコニーとジャンだ。清拭をするから、見張りに立ってた兵士にはしばらく外れてもらってたんだ。…あとでキツく言っておくから」
「…い、いぇ、大丈夫、です…。(あぁ…そう言えばハンジさんが、今日はケイジという男性の方が外にいるって言ってたっけ…。うぅ…ショック…泣)」
「ほんとに悪かったね。…まあ、あいつらまだ15のガキだからさ、あんまり気に病まないようにしてよ」
15…てことは中学生か…
なんだ、私より背高い子いたし同い年くらいかと思っちゃった…。思春期なのに逆に申し訳ない気がしてきた…私なんかの裸見せてごめん…。
そんな罪悪感を感じつつ、私はようやく清拭と洗髪を始めてもらった。
最初は緊張したけど、段々とそれは心地良くなり、終わったあとは本当にサッパリして気分も晴れやかになった気がした。
彼女は、私がお礼を言うと「明日服を持ってくるね。昼食は別の兵士が持ってくるから」と言って部屋を後にした。
時刻はまだ13時を過ぎたところだ。
昼食を持ってきてくれたのは、昨日見張りに立っていてくれたニファさんだった。とても優しい女性で私の身体を気遣ってくれる人だった。
団長さんから、私が異世界から来た事は、話を伝えたあの5人以外には他言無用と言われてしまったので、ここの医療関係の方達やニファさん達には、怪我で記憶を失ってる民間人、として通っているらしい。
「記憶が早く戻るといいね。私でよければ協力するから、なんでも言ってね」と言ってくれるニファさんに、私はここぞとばかりにこの世界の話をしてもらうことにした。ハンジさんだと脱線してしまう気がしたから。
ニファさんは快く承諾してくれて、その日はずっとこの世界の、特にここにいる皆さん、調査兵団のことを教えてもらうことになった。
そして私は、私がいた世界とは比べ物にならないほどの、とても残酷な、そして悲しい世界の話を知ることになったのだ。
・ー・ー・ー・ー・ー
「おい…俺は耳までおかしくなったのか?…てめぇが言っている意味が全く分からねぇんだが、エルヴィンよ」
「そうか、ではもう一度言おう。NAMEはお前が監視をするんだ、リヴァイ」
会議室では、NAMEの処遇についての話し合いが進んでいた。
しかし、エルヴィンの発言によりその場にいた全員が目を見開き、リヴァイに至っては不機嫌を隠すことなく拒絶反応を示していた。
「だからそれが意味が分からねぇと言っている。寝言は寝てから言えよクソが」
「まぁまぁ、リヴァイ落ち着きなよ!でもどうしてリヴァイなの?エルヴィン。NAMEは私に調べさせてほしいんだけどなぁ」
ハンジがそう訊ねれば、エルヴィンは微笑みながら話を続けた。
「もちろん、ハンジにはNAMEについて調べる事は引き続き頼むつもりだ」
「なら俺は関係ねぇだろ」
「まあ聞け。…いくら彼女が美人でか弱そうに見えても、異世界という未知の場所からの来訪者だ。我々には想像もできない力を秘めているかもしれない。彼女が信用に足る人物なのかハッキリするまでは、警戒を解くわけにはいかない。それには、リヴァイ、お前の力が必要だ」
「…」
「丁度お前の隣の部屋も空いている。何か不審な動きをすれば、お前なら隣にいればすぐに気がつくだろう?仕事中も、彼女には兵士長補佐としてしばらく働いてもらうつもりだ」
「…補佐、だと?」
「ああ。彼女も働きたいと言っていた。何もせずにここに世話になる気はないだろうからな。折良く、兵士長の君は書類整理が苦手な上に必要以上に仕事量も多いからな。一人では大変だと常々溢していただろう?」
「なるほど!!確かにそれは良い考えだね!」
「チッ…随分と都合のいい話にすり替えやがる」
「しかし、彼女の能力もまだ測り兼ねる状況だ。役に立たないと判断出来れば別の任務についてもらう。それまでしばらくは、お前が監視をしつつ面倒を見てくれ。最初に彼女を拾ったのもリヴァイ、お前だしな」
そうエルヴィンが笑みを称えれば、ミケは鼻で笑い、リヴァイは「猫みたいに言いやがって」とさらに不機嫌を露わにしていた。
「それじゃあ私は、NAMEの執務の間に話を聞いたりすればいいね」
「そういうことだな。…あとは身の回りのことなどもハンジ、君がサポートしてあげてくれ。女性の方が何かと頼みやすいだろう」
「よーし!任せてよ!」
「エルヴィン、そういうのはハンジよりもモブリットの方が適任だろう」
「ちょっとミケ!それはどーゆー意味だよ!?」
「同感だな。こいつには女のかけらも感じねぇ」
「リヴァイまで!ほんと失礼だな!!」
「フッ。そうだな、そこはモブリット、君もサポート頼むよ」
「はっ!」
ビシ!と敬礼をするモブリットに、些か不満そうなハンジであった。
「いいか、彼女のことはこのまま、記憶を失くした民間人を保護していることにしていろ。身元の確認が出来るまで幹部が彼女に付いて対応する、ということもな。…異世界から来たというのが憲兵や王都の奴らに広まるのは避けたい。そこは徹底してくれ」
エルヴィンの言葉に、その場にいた全員はその意味を理解し、しっかりと頷いた。
to be continued...
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