素敵な夢になりますように…
go on 14
Name change
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いよいよ、ウォールシーナのパーティー会場へと向かう時間がやってきた。
午前中、NAMEはハンジやナナバと共に町へ繰り出し、足りないメイク道具やドレスアップ用の下着を買いに行った。
昨日、オフショルダーのドレスを試着した際はブラのストラップはひとまず肩から外して中に隠していたのだが、今日はそうもいかず。ストラップが付いていない、もしくは取り外し可能な物を探す為だ。
その際、またもハンジが際どい下着に興奮し、着せようとしたり買わせようとしたりしたがNAMEは頑なに拒否した。
そして、自分には不相応なドレスに身を包み、ナナバに施してもらったメイクやヘアアレンジに、NAMEは感嘆の声を上げる。
「わ…、すごい…!ナナバさんほんとに器用ですね!私じゃないみたい…」
「うっひょーーー!NAME、昨日よりも更に可愛いよ!!」
「ありがとうございます。ナナバさんの神業のおかげですね」
「ハハ。NAMEの素材が良いんだよ。ほら、そろそろ時間だ、気をつけて行っておいで」
「はいっ!粗相しないように、調査兵団の為に資金提供してもらえるよう頑張ってきます!」
「あはは!それも大事だけどさ、あんま気負わずに楽しんどいでよ」
「そうそう、ハンジの言う通り。美味しい物たくさん食べてきな!」
優しく送り出してくれる2人に礼を言い、NAMEは早足で本部の正面口に待っているであろう馬車のもとまで向かった。
「お、お待たせ致しまし…た」
「やあ、NAME。今夜は一段と綺麗だな。」
「…遅ぇ」
「すみません…!お、お二人も、とっても素敵です…!」
いつも通り優しく微笑むエルヴィンに、いつも通り無愛想に睨みつけるリヴァイ。いつもと違うのは、彼らも正装をキッチリと着こなしている所だろう。
スタイルも良く清潔感のあるエルヴィンは、高貴で上品なまさに貴族のような出で立ちだ。
同じくタキシードに身を包むリヴァイも、目つきこそ悪いものの、元々端正な顔立ちの為オールバックにした髪型もよく似合い、とても洗練されている。
NAMEは思わず、そんな2人に見惚れてしまう。
「ありがとう。…さ、行こう。リヴァイ」
「ああ。…来い」
「…あ、はい。ありがとうございます」
馬車に乗りこむ際、リヴァイが手を差し伸べエスコートしてくれ、以前馬に乗る時も手を差し伸べてくれたことを思い出してNAMEの心臓の鼓動が速くなる。
…あの時も思ったけど…リヴァイさん、今日は本当の王子様みたいだ…。
や、やだな…、なんでこんなにドキドキするんだろう。心臓の音がうるさい…////
「おい。顔が赤ぇが熱でもあるのか」
「え?あっち、違いますっ////た、多分緊張してて」
赤い顔をリヴァイに指摘され、NAMEの顔はますます赤くなる。
「ハハハ。そんなに緊張しなくて大丈夫だ。慣れない場に呼んで悪いね。」
「いえ…!」
「おいNAMEよ、お前酒は飲めるのか」
「お、お酒ですか…、私がいた世界では、二十歳にならないとお酒は法律で禁止されていたので飲んだことはないです」
「…ほう、君の世界にはそんな法律があるのだな」
「…勧められても飲むなよ」
「え、こ、断って平気なんでしょうか」
「慣れねぇもん飲んでぶっ倒れる方が面倒だ」
「そ、そうですよね。分かりました、断るようにします」
そんな会話をしながら馬車に揺られ、ようやく着いた会場前ではNAMEの緊張はさらに高まっていた。
「NAME、夜会中、私とリヴァイが殆どつかまることになるだろうが、君もかなり注目の的にはなるだろう。基本的に先の巨人襲撃で記憶が曖昧だというスタンスでいていい。難しいことはそれで躱してくれ。」
「は、はい」
「それと、メンフィス侯は少し遅れて来るそうだ。来られたら向こうから挨拶してくるだろうから、探したりせずとも大丈夫だ」
「分かりました…。」
「大丈夫、困ったことがあればすぐ私かリヴァイを頼りなさい」
「はい…、ありがとうございます…」
「…俺が必ず見ててやる。安心しろ」
「リヴァイさん…」
リヴァイのその一言に、NAMEは不思議と緊張が解れ、鼓動が落ち着いていくのを感じた。
そしてエルヴィンもまた、そんな言葉を発するリヴァイを見て、気付かれないように静かに微笑むのだった。
受付を済ませフロアへ案内された3人が足を踏み入れると、会場中の視線を一気に集めることとなった。
ーザワ…
((調査兵団の団長だ…!))
((じゃああれがリヴァイ兵士長か…!初めて見た…))
((以外と小柄なのね…。人類最強のお話、聞きたいわ…))
((エルヴィン団長、今日も素敵だわ〜))
((リヴァイ兵士長もとてもハンサムだわ…!目つきは怖いけれど))
((お、おいおい、ちょっと待てよ…あの2人の後ろにいる彼女は一体誰だ…!))
((!!…な、なんと美しい…))
((彼らと一緒にいるということは彼女も調査兵団の兵士なのか…?))
((それにしてはか弱そうな…))
((なんと儚く、可憐な…!!))
エルヴィンの言った通り、その美しさで注目を集めたNAME。それを瞬時に理解したリヴァイはNAMEに言葉をかける。
「いいか、お前はあまりヘラヘラと笑うなよ」
「え?」
「前も言ったがお前は隙が多い」
「…はい…。自負しております」
「愛想は振り撒くな。毅然と立ってろ」
「は、はい。かしこまりました」
そう返事をしたところで、次々と3人の周りには人だかりができた。
あっという間にエルヴィンもリヴァイも人の波に連れていかれ、NAMEはポツンと取り残される。
…エルヴィン団長の言う通り、ほんとに2人ともすぐつかまっちゃった…。
わ、私も不安そうにしてちゃダメ!毅然と!ヘラヘラしない!…話しかけられたら当たり障りなく…!
色々と頭の中でシミュレーションを繰り返すNAMEだったが、ナナバやリヴァイの考えが功を奏したのか、その高貴なオーラでNAMEに気軽に話しかけようという者は貴族でさえも中々居らず、おかげで少し落ち着くことが出来た。
話しかけられないのをいい事に、NAMEは夜会の会場をゆっくりと歩きながら、キョロキョロせず細部までゆっくりと眺めた。
…調査兵団の本部とは大違い…。建物の造りも、ここにいる人達の服装も、アクセサリーも…それに料理も…。
お金はある所にはある。自分がいた世界でもそうだったが、ここまであからさまに分かる差を見せつけられ、NAMEは胸が苦しくなった。
調査兵団のみんなが命を懸けて人類の為に闘ってる間も…、ここの人達はこんなパーティーを毎回してるなんて…。
分かってる…!ここの人達が資金を提供してくれれば充分な装備で壁の外へ行けるというのも…。分かってるけど…!自分達の命を守る為に彼らが闘ってくれてるのに…その資金を提供するかしないかを考えるなんて…。…やるせないな…。
『貴族の豚共のクソみたいなパーティーだ』
『貴族の連中は私もあまり好きにはなれない』
リヴァイやナナバの言葉を思い出し、NAMEは、調査兵団の兵士達はきっと、今までに理不尽なことがきっとたくさん降り掛かってきたのだろうと感じた。
「やぁこんばんは、美しいお嬢さん」
「…、あ、こ、こんばんは。」
そんな時、恰幅のいい髭面の男が一人でいるNAMEに声を掛けた。
「おや、もう無くなりそうだ。同じ物でいいかね」
「え、あ、はい」
「あー、君。彼女に同じ物を持ってきてくれ」
男がボーイに頼み、NAMEはずっと飲んでいたオレンジジュースを新しい物と交換した。
「ありがとうございます。」
「見ない顔だね、私はマフィス。ドレット伯爵家の当主である。」
「は、初めまして。私はNAME・バーナーと申します。調査兵団の、リヴァイ兵士長の事務補佐をしている者です。」
「ほう…!あの人類最強と名高いリヴァイ兵士長の…。それはそれはさぞかし優秀な方なんでしょうな。ハッハッハ、ぜひ話を聞かせてくれたまえ」
「…!ちょっと失礼。…、リヴァイちょっといいか。」
「…なんだ」
マフィスに連れられバルコニーへと向かうNAMEにいち早く気付いたリヴァイが追いかけようとしたその時、エルヴィンがその歩みを引き止める。
リヴァイは鬱陶しそうに言葉を返した。
「まずいな…、あれはドレット伯爵だ」
「何がまずい」
「酒癖が悪くて有名な男でね。一度酔って暴動まがいなことを起こしてしばらくこういった席には顔を出していなかったんだが」
「チッ…よりによって今日現れたってのか。連れ戻して来るぞ」
「待てリヴァイ!奴は酒癖以外にも面倒なことに、調査兵団をあまり良く思っていない。事を荒げると逆効果だ」
「だから黙って見てろとでも言う気じゃねえよな」
あからさまに機嫌の悪いリヴァイに、エルヴィンは困ったように微笑む。
「様子を見ろということだ。今行っても伯爵の機嫌を損ねるだけだ」
「何か起きてから行けってのか」
「…そうだ。何も起きないのが一番だがな」
「チッ。…いいだろう。その代わり、俺はアイツらから目を離さねぇぞ」
「フ、堪えてくれて助かるよ。あとはそうだな、お前は多少愛想を振り撒いてくれると尚助かる」
「…振り撒いてやってるだろ。これ以上やれってんならハンジとかに頼むんだな」
その言葉に、やれやれ、と目で応え、エルヴィンはまた人だかりへと引き寄せられていく。
リヴァイはイラつきを抑える為に持っていたアルコールを流し込み、バルコニーにいるNAMEとマフィスを静かに見据えた。
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