素敵な夢になりますように…
go on 11
Name change
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「質問に答えろ。どこでこいつの名前を知り、顔を覚えた」
「失礼致しました。私、ゾウマ・メンフィス侯爵にNAME様という名の美しいご淑女がこちらにいらっしゃるので夜会の招待状を持っていくよう遣わされました。」
「夜会…だと?」
「はい。ゾウマ様はバードウォッチングがお好きでして…」
「おいおいおい。待て。そいつが鳥好きかなんて聞いちゃいねぇ」
「は、申し訳ありません。実は今朝方、ゾウマ様はこの周りの森までバードウォッチングに来ておりまして、どうやらその時、そちらのNAME様をお見かけしたようでして。」
「今朝?…お前、外に出たのか?」
「い、いえ…。っ!まさか…あの時の…」
あの人影はそのメンフィス侯だったのかと合点がいくNAMEであったが、リヴァイは、自分の知らない所でNAMEが誰かと会っていたのかと益々機嫌が悪くなる。
「さらにゾウマ様は絵もお上手で。屋敷に帰ってきてすぐにNAME様をお描きになり、その絵を頼りにこちらへ参った次第でございます。
お名前は、ゾウマ様が仰るにはそのお見かけした際に誰かに呼ばれてる所をお聞きしたと伺っております。」
「おいNAME、そいつとはどこで会った。覚えがあるみてぇだが」
「あ、いえ!会ったわけでは…」
「はい、私も、お会いしたのではなく、この城に居るのを外から見かけただけだと聞いております」
「…ほう?…つまりてめぇの主人は、たまたま見かけたこの女に、夜会に参加しろと言ってるわけか?」
「ハハ。美しいNAME様に一目で虜になってしまわれたようですな」
「笑い事じゃねえ」
「今回の夜会にはエルヴィン団長をはじめ、調査兵団の方も参加されると伺っております。NAME様が調査兵団の方ならば、団長殿には後日改めてお手紙送らせていただこうかと…」
「…こいつは兵士じゃねえよ。」
「おや。では一般の方が調査兵団の旧本部に出入りされておられるので?」
ここで余計な事を言うのはリスクが伴うと感じたリヴァイは珍しく明言を避け、後日返事をすると伝えて男を帰らせた。
「…実は…今朝、お風呂に入っていたところを多分、その、侯爵様?に、見られていたみたいで…」
説明しろ、と言葉を発さずともリヴァイの睨みでその空気を感じ取ったNAMEはゆっくりと話し始めた。
「あ?風呂だと?…覗きじゃねぇか…見かけただとぬかしやがって」
「あ、えと…その、わ、私がちょっと外から見やすいところまで行ってしまって…」
「…」
「朝も早かったですし、こんな森の奥に人が通るとも思っていなくて…、つい、開放的になってしまって…」
言いながらも俯き、恥ずかしそうに小さくなっていくNAMEを見ながら、リヴァイははぁと大きく溜息をついた。
「前言撤回だ。危機管理どころか隙だらけだな」
「…はぃ…、返す言葉も、ありません…」
「そもそも、見られたならなんで早く報告しねえ」
「す、すみません…。ハッキリと誰かを見たわけではなかったので私も自信がなく…。視線を感じた時に人影を見たような気がしただけだったので…。気のせいならわざわざ時間を取らせる必要がないかと、思ってしまいました。」
頭を下げ続けるNAMEにもう一度大きく溜息をつくと、リヴァイは徐に近づき、NAMEの顎をすくって上に向けさせる。
「いいか。今後どんな些細なことでも気になったことは全て俺に報告しろ。気にするかどうかは俺が判断する」
「あ、…」
「分かったんなら返事くらいしろ」
「はっはい!承知致しました!」
至近距離のリヴァイに思わず言葉を失ってしまったNAMEだったが、次の一言でシャキッと背筋を伸ばしながら返事をした。
リヴァイはその返事を聞くとNAMEの顎から手を離し、そのままその手を、ダン!と彼女の顔の横の壁に勢いよくつく。
NAMEはビク、と肩を震わせ、壁に背をつき、リヴァイの射抜くような瞳と自分のそれを合わせた。
「それで?覗かれた時、てめえは身体にタオルを巻いてたんだろうな?」
「え…」
「ハ。まさか、真ッ裸を晒したなんて言わねぇよな」
「え、…あ、…えっと…」
サーと血の気が引き、しどろもどろになるのが最早答えとなっている為、リヴァイはより一層眉間の皺を濃くした。
しかし、今ここでNAMEを責めても見られてしまったものはどうしようもないことも分かっている。リヴァイは自分の気持ちを落ち着かせるように息を吐くと、そのままNAMEから離れ、「とにかく本部へ戻る。早く準備をしろ」と伝えた。
…また、リヴァイさんを怒らせてしまった…。
最近、失望させてしまってばかりだな。
部屋に戻りながら、NAMEは泣きそうになる気持ちを堪え、もっとしっかりしなければ。と優秀なモブリットを思い浮かべて自分の頬を両手でパン!と叩いた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「……」
「……あの、リヴァイさん…」
「なんだ」
馬に乗って本部へと戻る途中、無言の空気を壊したのはNAMEだった。
NAMEは、後ろに居るリヴァイの方を振り向かず、ただ自分の手元を見ながら声を掛け、リヴァイも、NAMEと馬越しに前を見つめながらそれに答えた。
「…巨人が殺されてしまって大変な時に、また別の面倒事を増やしてしまって申し訳なく思ってます」
「…まったくだな」
「…、で、ですので!今回の件につきましては、リヴァイさんにご迷惑をかけないよう私がエルヴィン団長に伝えてきます」
「…んなもん、お前が報告しに行こうがなんも変わらねえ。お前は何もしなくていい。もちろん夜会にも行かなくていい」
「で、ですが…、…その、夜会?というのも調査兵団の大事な資金繰りの最大の機会なんですよね?」
「ほう?よく勉強してるな」
「そのチャンスが与えられているのなら、私は行くべきだと思っ」
「バカ言え。夜会は大人の場所だ。お前みたいなガキに務まるもんじゃねえよ」
「っ…、」
途中から、NAMEは後ろを振り返りリヴァイを見遣るも、リヴァイは一度も目を合わせず、そしていつもなら、その言葉は冗談のような軽口なのに、今日に限っては分厚い壁を落とされたみたいにNAMEに重くのし掛かった。
to be continued...
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