素敵な夢になりますように…
go on 11
Name change
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「あ、おはようNAME」
「!ペトラ。おはよう」
昨夜、寝てもすぐに目が覚めてしまい中々寝付けないまま朝を迎えたNAMEは、眠るのを諦めかなり早い時間に部屋を出た。
すると、どこからか部屋に戻ってきた様子のペトラに出会う。持ち物と髪の濡れた具合からして、朝湯をしたのだろうとNAMEは思った。
「早起きだね」
「NAMEもね。ふふ。実は、ここのお風呂、朝入るとすっごく素敵なの」
「そうなの?昨日私入りそびれちゃったからまだ見てないの。せっかくだし行ってこようかな」
「そっか。昨日お腹痛いって言ってたもんね。もう大丈夫なの?」
ペトラのその言葉に若干のうしろめたさを感じつつ、NAMEは心配してくれてありがとうと伝えた。
「昨日教えようと思ったんだけどタイミングがなくて。ごめんね。ここのお風呂、外にあるんだけどね、朝陽が昇ってくるのを真正面に見れるの!」
「へぇ!素敵ね(露天の温泉みたいなのね)…でもそっか。今はもう日の出は終わっちゃったね」
「またいつでも見れるから、次は一緒に入ろ!でも、今の時間でも、夜でも景色は綺麗だから行っといでよ。朝食まで時間あるしね」
そうにこやかに笑うペトラを、可愛いな、と心で思いつつ、NAMEも笑顔で行ってくると頷いた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「わぁ…(すごい。ほんとに景色綺麗だしお風呂も広くてオシャレ…)」
二階にあるお城のお風呂は、今でいうスパのような造りで、一人で入るには豪華すぎるものだった。周りの木々で外からは見えていないが、かなりの開放感のある露天風呂だ。
NAMEは髪と身体を綺麗に洗い、ゆっくりと湯舟へと足を入れる。
はぁ~…気持ちいい。やっぱり湯舟は最高だなぁ。
NAMEが調査兵団で世話になってからしばらくして、部屋のシャワーはようやく改善され、それからは大浴場へ行くこともほとんど無くなっていた。
たまに、お風呂に入り忘れるハンジを一緒に連れて行ってくれとモブリットに頼まれることがある為、その時は二人で大浴場へ行くのだが。基本的には他の兵士に気を遣わせないよう、部屋で済ませるようにしていた。
「〜lalala〜…♪…(今日からエレンは実験か…私も残りの仕事しっかり終わらせなきゃ。)…ん?」
少し前から火照る身体を冷まそうと端の湯舟の縁に座り、足湯だけしていたNAMEは、背を外に向け、長い髪を髪留めでまとめながら今日の予定を思案していた。
その時、なんとなく視線を感じたのと微かな物音が聞こえた気がして、NAMEはなんとなしに城の外へと目を向けた。
広大な土地に生い茂る木々。それを視界に入れながらゆっくりと視線を下へと移してのぞき込む。その瞬間、一つの人影が森の中へと消えていくのが見え、反射的にバシャンと湯舟に沈みこんだ。
…え、…い、今…誰か居た…?いつ、から…?
温まったはずなのに、ゾッと身震いがする体とドクドクと早くなる心臓を落ち着かせようとしていると、城の中から「NAME〜!!」というハンジの呼ぶ声が聞こえて、急いで浴場を後にした。
ペトラは朝食の準備をしながら、集まっている皆に目を向けていた。
リヴァイは、昨夜のNAMEとの会話から不機嫌が治っておらず、未だにピリリとしたオーラを纏いながら紅茶を啜っている。
その空気に緊張しているエルドやグンタ、オルオにエレン。
ハンジはいつも通り、巨人の話をしながら今日の実験について語っている。
そして、ペトラが一番違和感を覚えたのは隣でスープを取り分けているNAMEだった。
昨夜リヴァイと別れた時は様子がおかしいとは思っていたが、今朝会った時は普通だったので腹痛の所為だろうと思っていた。しかし、今はまた若干挙動不審だ。
「NAME、お風呂どうだった?」
「え?あっ、うん、すごく素敵だったよ!…ただ…」
言い淀むNAMEに、ペトラは首を傾げてその先を促す。
「ただ、どうしたの?何かあった?」
「…もしかしたら気のせいかもしれないんだけど…ーーバタァン!!!
「「「!?」」」
NAMEの言葉を遮るように勢いよく開いた扉にその場にいた全員が目を向けると、血相を変えたモブリットが飛び込んできた。
「ハっハンジ分隊長はいますか!?た、大変ですっ、被検体が…巨人が2体とも殺されました!!」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
『お前はここに居ろ。俺が戻るまでこの城から出るな』
そうNAMEに言い残し、リヴァイはリヴァイ班のメンバーと共に、先に向かったハンジとモブリットの後を追いかけるように馬を走らせていった。
NAMEは旧本部に一人残され、不安な気持ちを抱えたまま自分の仕事に取り掛かるが、やはり頭の中は昨日初めて見た巨人を思い浮かべていた。
巨人が殺されたと知り、個人的には、あの不気味な生物がいなくなったと分かって少しだけホッとしていた。
誰が殺したのかは分からないが、殺した人物もきっと、怖かったり憎かったりしたんだろうか…。と、そう思い沈む。
みんなが行ってもうすぐ2時間か…。みんな朝ごはん食べずに行ってしまったし、お腹空かせて帰ってくるよね…。
食事の準備をしておこうと立ち上がったNAMEの耳に、ドンドンドン、という入口の扉を叩く音が城内に響いた。
え?みんな帰ってきたのかな…
NAMEは「はーい!」と返事をしながら急いで入口へと向かった。
とはいえ、本当にリヴァイ達なのか開ける直前に不安が過ぎる。
そう言えば…朝のあの人影は誰だったんだろう…。
……まさか…巨人を殺した犯人…なんじゃ…
NAMEは近くにあった高そうな壺を掴み、震えそうな声を落ち着かせながら言葉を発した。
「…どなた、でしょうか…?」
NAMEのその問い掛けに、外にいる人物から「俺だ」と聞き慣れた低い声が聞こえ、NAMEはほー、と安心しながらゆっくりと扉を開き、自分を見て怪訝そうな顔を向けるリヴァイに微笑んだ。
「おかえりなさい」
「ああ。…お前、俺にその壺を投げつける気か」
「あっ、すっすみません…!ふ、不審者だったら丸腰じゃダメかなと…////」
「…まあ、開ける前に相手を確認するのは良い心掛けだ。危機管理ができてきたようだな」
そう言いながら、ポンと頭を撫でられたNAMEは途端に嬉しい気持ちでいっぱいになった。
「他の皆さんは一緒ではないんですか?」
「ああ。ひとまず本部に戻ることになった。俺はお前を迎えに来ただけだ」
NAMEは、準備しろというリヴァイに今朝の事を話すか一瞬悩んだ。
見間違いかもしれないし、そうだとしたら余計な心配事を増やすだけかもしれないと。
しかし、巨人殺しの件が収まっていないのなら、少しでも不審な点は伝えておくべきだと思い至った。
「っ、あのリヴァイさ…ーードンドンドン
またNAMEの言葉を遮るように、入口の扉からノック音が響く。
リヴァイはNAMEの腕を掴んで自分の後ろに下げさせると、「誰だ」と威圧感たっぷりの声を外に掛けた。
「メンフィス侯の使いの者でございます。」
「(メンフィスこう…?)」
「…何の用だ」
「こちらに、NAME様、というご淑女はいらっしゃいますか?」
NAMEの名前が出された瞬間、リヴァイは一瞬振り返るが、意味が分からないというような顔をしている彼女を見てすぐに向き直り扉を開けた。
「おお、これはリヴァイ兵士長殿でしたか。先日の壁外調査では多くの巨人を討ち取ったとか…」
「挨拶は結構だ。…メンフィス侯の使いと言ったな。NAMEという名をどこで知った」
開けた先にいた初老の使いの男は、冷たい眼差しのまま自分を威圧するリヴァイに少々たじろぎながらも、彼の後ろに控えるNAMEを視界に捉えた途端明るい声を上げた。
「おお!彼女だ!彼女がNAMEさんでお間違いないですかな?」
NAMEは困ったようにリヴァイを見遣る。
リヴァイは隠そうともせず舌打ちをすると、NAMEを自分の方へ引き寄せて言葉を続けた。
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