素敵な夢になりますように…
go on 10
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…古いですが、こんな素敵なお城が前は調査兵団の本部だったんですね」
部屋に案内するからついてこいというリヴァイの後を追い、コツコツと靴の音が響く廊下を進みながらNAMEはリヴァイに語り掛けると、リヴァイは、前を見ながら答えた。
「…壁から遠くて不便だがな」
「そう、ですよね。…でも、やっぱりお城って憧れます。」
「…そうか。…その感覚は俺には分からんがな」
ようやく振り返ったリヴァイは、クスクスと笑うNAMEにつられて小さく笑っていた。
「この一番奥の部屋だ。隣はペトラで、俺の部屋は反対側の端だ。何かあれば呼べ」
「はい。ありがとうございます」
「…」
「…?どうかしましたか?」
何かを言い掛ける風なそぶりを見せるリヴァイに、NAMEは首を傾げながら問いかけると、リヴァイはゆっくりと口を開いた。
「…お前、俺達がここへ来る前の最後の勤務の晩、何故俺の部屋へ来なかった」
「え…」
ギクリとした。
「あ、えと…それは、…じゅ、準備などがあって忙しいかと…」
「誤魔化すな。…その日は勤務中も様子はおかしかった。何かあったのか」
鋭い三白眼に捕らわれ、まさに蛇に睨まれた蛙状態のNAMEは、ごくりと息を飲みこむ。
何も答えようとしないNAMEに、リヴァイは息を吐いて言葉を続けた。
「…今夜、部屋に来い」
「う、あ、でも…」
「いいか、命令だ」
「あっ、リヴァイさんっ」
そう言い残して踵を返すリヴァイを、NAMEは咄嗟に服の裾を掴んで引き止めた。
「なんだ。文句でもあるのか」
「あ、…いえ…命令には、従います…。でも、先にエレンのところに行ってきてもいいですか?」
その言葉に、リヴァイは途端に不機嫌さを露わにした。
「エレンのところへ行ってどうする」
「あの…ハンジさんから、元々はエレンの実験がうまくいくように、エレンの疲れを取るよう言われてここへ連れてきてもらったので…。ちゃんと役割を全うしたくて」
「なんでてめぇがエレンの疲れを取れることになってる。逆に疲れたらどうするつもりだ」
「えっ、あ、いえ!私も、自分がエレンの疲れを取れるかは分からないんですが…、やっぱり、尊敬する上官や先輩に囲まれるよりかは、友人である私との方が、多少は、その、緊張せずに、いられるのかなって…。それで、最近の、エレンの同期の子達の近況とか伝えられたらと…」
急に圧を感じるリヴァイに、思わずしどろもどろになりながらNAMEは答えた。
「…つまり、お前はエレンの話し相手になりに来た、って言いたいわけか」
「そ、そう言われると…役割というにはかなりお遊びのように聞こえてしまいますが…でも、まぁ、はい…。そういうことです…」
少し落ち込むNAMEに、射抜くような瞳を向けていたリヴァイは、眼光を緩めて息を吐いた。
「いいんじゃねぇか。…お遊びでも、あいつには息抜きになるかもな」
「…リヴァイさん…」
「クソガキ同士、話も合うだろ」
「っ、ま、また!子供扱いしないでください////」
さっきまでピリッとしていた空気が穏やかになった時、階下から上がってきたペトラが顔を出した。
「兵長!ハンジさんが呼んでますよ」
「チッ。クソ眼鏡…大人しく待ってられねぇのか。…俺は先に戻る。お前も、荷物を置いたら降りてこい」
「あ、はい!」
「それと、」
「…?」
「エレンと話が終わったら部屋に来いよ」
そう言い終わると、リヴァイはNAMEの返事を待たずにペトラと去っていった。
「…どうしよう…。追及…される、かな…」
一抹の不安を覚えながら、NAMEは部屋へと入っていった。
・-・-・-・-・-・-
久々に会うメンバーとの会話に華も咲き、終始賑やかに夕食を終えたNAMEは、ペトラと後片付けを済ませ、地下室で寝ているというエレンの部屋に向かっていた。
カツーン…カツーン…
「…。」
地下へと続く螺旋階段を、蝋燭の明かりを頼りにゆっくりと歩いていく。
より響く靴の音を聞きながら、NAMEは薄暗いその足元を息を飲みながら進んでいた。…そう、NAMEは暗い所が苦手だった。
…な、なんか映画の世界、みたい…。しかも…ホラー…。
そこまで考えてより恐ろしくなってくる感覚に、NAMEはブンブンと頭を振った。
「違う違うっ、お城だし、ファンタジーよ!ファンタジー!」
「NAMEさん?」
「きゃあっ」
「う、わっびっくりした!」
急に階段の下から現れたエレンに、NAMEは驚きのあまり大声を上げ、さらにエレンもそれに驚きお互いに尻もちをついた。
「な、なんだ、エレンか…も、もう驚かさないでよ~…お化けかと思って心臓止まるかと思っちゃった」
「いや、こっちのセリフっすよ!そろそろ来るかなと思って迎えにいこうとしたら、なんかめっちゃ独り言言いながらNAMEさん降りてくるから声掛けたのに。人の事お化け扱いだし」
そう互いに言い合うと、そのバカバカしさに笑い合ってそのまま部屋へと入っていった。
「ハンジさんの話で徹夜??」
「そうですよ。しかも訓練学校で習ったことを永遠と…。それでそのまま庭の草むしりで…。実験の時にはさすがに眠すぎて休憩させてもらってました」
「ハンジさんってば…。エレンが疲れてるの自分の所為じゃないのー」
エレンの部屋に来てからしばらく経ち、NAMEはジャン達の近況を話したり、エレンの話を聞いたりしながら和やかな時間を過ごしていた。
「今日も割と休ませてもらえたんで、明日はしっかり実験できると思うんですけどね」
「そっか。ならよかった。…なんか私、やっぱり必要なかったね。エレンも自力で頑張ってるし」
そう言って、NAMEはほんの少し申し訳なさそうに笑った
「そ、そんなことないっすよ!NAMEさんが来てくれたおかげでなんかピリピリしてた感じがなくなったつーか…そう、兵長が特に…」
「え?リヴァイさん?」
「あ、はい。なんかこっち来てから兵長いつもに増してずっと機嫌悪くて。…まぁ機嫌のいい兵長の方が珍しいんすけど。」
「そ、そう…。」
「…でも、今日の夕食はすげー久しぶりに和やかな空気だったんで!絶対NAMEさんが来てくれたおかげっすよ!」
「そう、だといいんだけど…(ハンジさん達もそんなようなこと言ってたけど…、あれで本当に機嫌が良いんだろうか…)」
自分の行動で呆れられることはあっても、機嫌を良くさせているとは到底思えないNAMEであった。
1/2ページ