素敵な夢になりますように…
go on 7
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「えっ、リ、リヴァイさんの馬にですか!?」
「ハンジに、お前が馬に乗ったことがないから帰りは俺の馬に乗せてやってくれと言付かっている」
「ハ、ハンジさんが?…で、でも…」
「おい、NAME!ボサッとすんな!兵長の馬に乗せてもらえるなんて滅多にねぇんだぞ!光栄の極みだと思え!!分かったらさっさと乗れぇ!」
「オルオ。お前羨ましいのか。…見苦しいからやめておけ」
中々馬に乗る勇気が出ないNAMEにオルオが横からチャチャを入れ、それを諫めるグンタ。エルドはその光景を見て笑い、ペトラは不安そうなNAMEに声を掛けた。
「兵長の馬は賢いから暴れたりしないよ。それに、兵長がついてるんだから落ちたりしないって!ほら、乗った乗った!」
ペトラにそう言われ、NAMEは視線をペトラからリヴァイへと戻す。すると、リヴァイが上から手を差し出した。
「掴まれ」
差し出された手に視線を落とし、NAMEは自分の手をゆっくりと伸ばす。
…な、なんかリヴァイさん、…王子様みたい…
手を重ねて上を見上げれば、お伽話に出てくるような、白馬、ならぬ黒馬の王子様にNAMEには見えた。
「(…目つきは悪いけど…。ふふ。でも、ほんとは優しい人なんだって知ってるんだ)-っわ!」
「何ニヤついてやがる。さっさとそこに足を掛けろ」
そんなことを想像していると、リヴァイがひょいと片手でNAMEを引き上げ、鐙に足を掛けるよう指示をする。NAMEは言う通りに左足を掛けた。
「そのまま右足をこっちに回して座れ」
「えっ、ま、前に座るんですか?」
自分の脚の間を顎で指したリヴァイに、NAMEは若干慌てた。
「あ?後ろに乗りてぇのか?」
「あ、いえ、二人乗りって、普通運転する人が前なんじゃ…?」
「(…また分かんねぇこと言ってんな…。)…他は知らんが馬は後ろの方が揺れる。それに鞍もズレるからケツが痛くなるぞ。それでもいいなら構わんが」
片手はリヴァイの手を掴み、もう片方は馬の背に軽く置いた状態のままNAMEは一瞬固まり、前に乗ります、と小さく答えた。
「両手でここを握れ」
NAMEはリヴァイの前にちょこんと座ると、リヴァイの言われた通りに鞍の先端に付いている突起を両手で握った。
…よかった、今日はスカートにしなくて…
だ、だけど…この態勢、落ち着かないな…//////
後ろから抱きしめられているような態勢に、NAMEの心中は穏やかではなかった。しかも、リヴァイの顔がすぐ後ろにあり、耳元で語り掛けるリヴァイの低い声が、余計に心臓をうるさくさせる。
「おい、もう少しこっちに寄れ」
「はっはいっ///////」
自分でも、顔が熱を帯びている気がしたNAMEは、赤くなってるであろう顔がバレないように俯かせた。しかし、耳まで真っ赤なNAMEにリヴァイが気付かない筈もなく。リヴァイは、面白そうに口の端を上げ、班員達に「帰るぞ」と声を掛けて馬を走らせた。
「ひゃ…!」
段々と早足になるそのスピードに、NAMEの肩に力が入った。
「怖ぇか?」
リヴァイの言葉に、NAMEはすぐに首を横に振った。確かに慣れないスピードに一瞬身体が強張ったが、颯爽と掛ける馬の上が、こんなに爽快なものだと思っていなかった。
「い、今は平気です。…でも、馬ってこんなに速いんですね…。目線が高くなって、世界が違って見えます…!」
「…そうか。…ちなみに、こいつのトップスピードは80kmは出る。今は半分くらいだ」
「え、…この子、倍以上速く走れるんですか?-っ/////」
「…」
思わず振り返ると、思っていた以上に近い顔にNAMEはまた顔を赤くしてぐりんっと前に戻した。リヴァイも、振り向いてくるとは思ってなかった為、その近い顔に一瞬驚いたが、慌てるNAMEを見ておかしそうに鼻で笑った。
「…寄り道するか」
「え…?」
小さい声でそう呟くと、リヴァイは班員達に声を掛けた。
「お前ら!先に帰れ!」
「えっ!?」
「へ、兵長はどちらへ!?」
「用事を思い出した。戻ったらそのまま解散だ。しっかり休め!」
返事をする間もなく、リヴァイは帰り道から逸れていった。
「兵長…どうしたんだろう…」
「さぁな。用事があるんだろ?」
「でもNAMEまで連れて…?」
「兵長が言う必要がないと判断したんだ!詮索するな、ペトラ!」
「ま、そうだな。俺達は帰ろう。腹減った」
そんなやり取りをしながら、ペトラ達は兵舎へと向かっていった。
「リ、リヴァイさん、どちらに行かれるんですか?」
「本部と兵舎しか行き来してねぇんだろ。たまには外も案内してやる」
「えっほ、ほんとですか」
「まあ、今からじゃ敷地内だけだけどな。あとは、こいつの走りも見せてやる」
「わ!!」
リヴァイが馬の腹を蹴ると、ぐんっとスピードが上がり風が勢いよく顔と身体に当たっていく。NAMEは、その感覚に子供のように無邪気に喜び、リヴァイもそれを満足気に見ていた。
しばらく走らせていると、ある場所でリヴァイは馬を止めた。NAMEは、何故ここで止まったのかなんて、聞かなくても分かった。目の前に、大きく、そして美しく紅く染まる夕日が広がっていたから。
「綺麗…」
「…この前偶々この場所を見つけた。…ここからの景色は、悪くない」
「はい…ほんとに、素晴らしいです…。……~♪」
「…降りるか」
夕日に見惚れながら小さく鼻歌を紡ぎ出すNAMEに気付き、リヴァイは馬から降りた。そして、NAMEも降りれるように手を伸ばす。NAMEはその手を掴み、ゆっくりと足を地面に下ろす。が、鐙に足が引っ掛かり、バランスを崩したNAMEはそのままリヴァイの胸の中へとダイブした。
「どんくせぇ…」
「ご、/////ごめんなさい///」
態勢を崩した驚きと、リヴァイに抱きついてしまったという驚きの、どちらでこんなにドキドキとうるさく心臓が脈打っているのかNAMEには分からなかった。
NAMEがその心臓を落ち着かせるように息を吐いていると、リヴァイがゆっくりと口を開いた。
「今なら誰もいねぇ。好きなだけ歌えばいい」
「…!…いいんですか」
キラキラと目を輝かせながら言うNAMEに、リヴァイはほんとに小さく微笑した。
「今日、訓練も見れてすごくよかったです。みんなすごくて、特にリヴァイさんが本当の鳥みたいで…」
「…そうか」
「とっても素敵でした。…私も、あんな風に自由に空を飛べたらいいのにな…」
「…」
「そしたら、空にもっと近づいたら、母に歌が、届きやすくなる気がします…」
「……飛んでやる」
「え?」
「俺が、お前を連れて飛んでやる」
「え…ほ、ほんと、ですか…」
「…暇があればな」
「!ふふふ、嬉しいです!ありがとうございます!…♪~lala~」
切なそうな顔から、パアッと明るく笑ったNAMEは、その場でくるくると回りながら歌いだす。
リヴァイは木に繋いだ馬の隣に腰を下ろすと、NAMEの歌と、ゆるやかに吹く風に、身体中で心地よさを感じていた。
…俺は一体どうしたってんだ…。こいつの監視を命じられてるっつうのに、いつの間にかこいつ自身に警戒心を解かれちまってるじゃねぇか…
「…は。…だが、この時間も悪くねぇ…」
リヴァイはその心地のいい時間に心と身体が休まるような不思議な感覚に、無意識に頬を緩ませていた。
・-・-・-・-
「悪い、暗くなっちまったな」
本部へと馬を走らせながら、すっかり日も落ちた空を見上げてリヴァイは言った。
「いいえ!私が歌い終わらないから待たせてしまいましたよね…。すみません」
「いや、それはいい」
「…。…素敵な場所を教えてくれてありがとうございました。…あっ、そういえば、背中の痛みはどうですか!?訓練、大丈夫でしたか…?」
「あぁ…。擦れると多少は痛ぇくらいだが、大して支障はねぇよ」
「そうですか…よかった」
リヴァイの優しい口調に、初めて会った時と随分リヴァイの印象が変わったな、とNAMEは心の中で嬉しく思い、思わず頬が緩んだ。
そして、そんな会話をしたりしなかったりしながら本部の前にようやく辿り着き、その門の前に一台の馬車が停まっていることに二人は気付いた。そこから降りてきた人物を見てNAMEが「あ」と声を漏らし、そのまま声を掛けるとその人物は目を白黒とさせる。
「団長さんっ」
「!…やあ、NAMEとリヴァイじゃないか。…仲良く揃ってどうかしたのか」
「あ、リヴァイさんが夕…っむ」
「訓練を見学しにきたこいつに、ついでだから敷地内を軽く案内してきただけだ。てめぇこそ今帰りか?」
「…。ああ、王都での会議が長引いてね」
なんとなく本当のことを知られるのが気恥ずかしいリヴァイは、NAMEの口元を後ろから手で覆って遮った。それを見たエルヴィンは何かを含んだように笑って答え、それが気に食わなかったのか、リヴァイは小さく舌打ちを零した。
NAMEはというと、あの場所は団長さんには秘密の場所なのかな、だとしたら余計なこと言うとこだった…!なんて、見当違いのことに考えを巡らせていた。
「ああそうだ、NAME」
「?はい、なんでしょうか」
「その団長さん、というのは慣れないな。エルヴィンか、団長、でいい」
「あ、そ、そうですよね!団長に敬称をつけるのは確かに変ですよね…!////…じゃ、じゃあエルヴィン団長と、呼ばせていただきます///」
「ああ、よろしく頼む」
エルヴィンの優しい微笑みにつられてNAMEもにこりと微笑む。そして3人は本部へと戻り、夕食を共にした。
to be continued...
2/2ページ