素敵な夢になりますように…
go on 7
Name change
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「んー。…まとめ方が難しいな…。…やっぱり一回、資料室に行ってみようかな!」
リヴァイを見送って早2時間。NAMEは、気分転換も兼ねて資料室へと向かうことにした。
途中、すれ違う兵士に会釈をするも、背後でヒソヒソと話す声が耳を掠めた。
…やっぱり、あんまり歓迎、されてない感じだよね…。アウェイ感がキツイなぁ…。
仕方のないことだとは思いつつも、兵士達の奇異の目に溜息をもらしながら、NAMEは資料室へと入っていった。
―わぁ。結構広いんだ…。図書室…的なとこなのね。
思ったよりも広いその部屋を見渡し、自分以外に誰も利用している人間がいないと分かると少し安心した。そして、誰も居ない今のうちに、さっさと過去の報告書を見つけて執務室へ帰ろうと急いで目当ての書物を探し始めるのだった。
…あっ…た、これだ!よし、これ持って早く戻ろ…
―ガチャッ
「っ!?」
探していた物を手にし、急いで戻ろうと思った矢先だった。資料室の扉を開ける音が響き、NAMEは思わず書棚の陰に身を隠した。
―しまった…。別に隠れる必要ないのに…
そう思いながら、NAMEは恐る恐る今入ってきた人物を確認するように顔を覗かせた。すると、予想外の人物にNAMEはまたほ、と胸を撫で下ろした。
「ジャン!」
「え?あ、NAMEさん!どうしたんすか、こんなとこで」
入ってきたのはジャンだった。まさかいるとは思ってなかった人物に声を掛けられ、ジャンは不思議そうな顔を向けた。
「仕事の参考にしようと思って、過去の書類を取りに来てたの」
「ああ、なるほど」
「ジャンはどうしたの?訓練はお休み?」
「いや、俺は訓練は午後からで。ハンジさんに頼まれた書類を探しに来たんです。…しっかし、資料室がこんなに広いと思わなかったな。こりゃあ探すのに一苦労っすね」
そう頭を掻きながら苦笑いするジャンを見て、NAMEは「分かる」とクスリと笑った。
「探すの手伝うよ。どんな資料なの?」
「え!いや大丈夫っすよ!NAMEさんも仕事の途中なのに」
「平気平気!私、今日仕事少ないから。それに、さっきまで私も探し回ってたからすぐ見つけられるかもしれないし」
そう言って笑うNAMEに、ジャンは申し訳ないと思いつつ「じゃあ、」と探している書類を伝えた。
「あ、それならさっき見たよ!」
「マジっすか」
「えっとどこだったかな…確かこっちの…あ、あそこ!あの棚の上だよ!」
キョロキョロと頭を回しながら、思ったよりもあっさりと見つかった資料にジャンは笑って感謝した。
棚の一番上にあるその資料をジャンは脚立を上がって引き出し、また降りていくとNAMEがにこやかな笑顔で待っていた。
「よかった、すぐ見つかって」
「NAMEさんのお陰っすね。マジでありがとうございます!」
「ううん、お役に立てて何よりです」
ふふっと可愛らしく笑うNAMEに、ジャンの胸はドキっと高鳴った。
…やっべぇ…。NAMEさん、天使かよ…。
そんなことを考えながら、ジャンは脚立を元の位置へと片付けた。
しかし脚立を立て掛けたその時、偶々ぶつかった書棚の天辺から、無造作に積まれていた分厚い本たちがバランスを崩し、NAMEに向かって落下した。
「!!」
「!っ危ねぇ!!」
―バサバサバサッッ
「っ………?」
大きな音が鳴り止み、予測していた衝撃を減らす為に両手で頭を守りながらその場にしゃがんで身を屈めていたNAMEは、一向にこない痛みに恐る恐る顔を上げた。
腕の隙間から上を見上げて驚いた。
そこには、両手を書棚について自分を庇うように立つジャンがいたのだ。
「ジャっジャン!!」
「いって…。NAMEさん、大丈夫っすか」
「わ、私は全然!ジャンこそ私を庇って…。…っ!////////」
「…え、//////」
痛みに顔を歪めるジャンを心配したNAMEは、両手を下ろして丸めていた身体を伸ばした。すると、その瞬間に昨夜の出来事がフラッシュバックし、ジャンとリヴァイの姿が重なった。
リヴァイのあの逞しい身体と、髪から水が滴った色っぽい姿が頭の中で混ざり合って飛び込んできて、NAMEの身体は一気に熱くなり、音が出そうなほど顔を真っ赤に染めた。
そのNAMEの顔を見たジャンも、思わずつられて赤くなる。
二人は、互いに見つめ合いながら言葉を失くしていた。
しばらく固まっていると、ふと物音が聞こえた気がしたジャンがその沈黙を破った。
「あ、えっと/////NAMEさん、怪我、ないっすか?」
「え?//////あ、う、うん!だ、大丈夫っ!!ジャンこそ怪我ない?」
「はい。これくらい大丈夫です」
「ごめんね、ぼーっとして」
「いや、俺が上を見ずに雑に脚立置いたのが悪いんで…。すんませんでした」
「い、いいよ、謝らないで!ジャンが守ってくれたから痛くなかったし!ありがとうね」
「っ…い、いえ//////」
NAMEの言動に、ジャンはまたも胸が早鐘を打っていた。
―な、なんなんだよ、さっきのNAMEさんの顔は…///////マッジで、可愛いすぎんだろ…/////
ジャンは片手で口元を押さえると、赤くなった顔に気付かれないよう顔を背け、先程探し出した資料を拾い上げた。
「も、戻りましょうか」
「そ、そうだね、そうしよ!」
お互いギクシャクしながら、二人は資料室を出て廊下を並んで歩いた。
―はぁ…///昨日のリヴァイさんが頭から離れない…。だって…あのリヴァイさんすごくセクシーなんだもん…/////あーダメダメ!変なこと考えちゃ…!平常心平常心…。
―さっきのNAMEさん…、あれは…俺にドキっとしてた顔…だったよな…/////もしかして、俺に惚れて…?はは、まさかな!……でも、もしそうなんだとしたら…。
///////やべぇ…。ついに俺にも春が到来か!?
それぞれが、それぞれの思いを心で暴走させながら、二人はそれぞれの場所へと別れていった。
まさか、先程の様子を誰かに見られていたとは微塵も思わずに…。
・-・-・-・-・-・-・-・
「終わったぁ…」
慣れない世界の文字を書き続け、NAMEはようやく報告書を完成させた。
手首が腱鞘炎になってるんじゃないかと思う程疲れていたが、時間はそれほど立っておらず、時刻は14時になる頃だった。
そういえばお腹が空いたな、と思ったNAMEは、先程、ジャンからハンジは今日ずっと研究室にいると聞き、きっとまだ食べていないであろうハンジをランチに誘おうと思い立ち、急いで書類を片付けてハンジの研究室へと向かった。
案の定まだ昼食を取っていなかったハンジは、二つ返事でNAMEの誘いに乗った。
「え?じゃあ今日はもう仕事ないんだ」
「はい。リヴァイさんから、終わったら自由にしていいと言われてて。ただ、私が兵団内をうろつくのは…あんまりいい気がしないかな、と思って」
「何言ってんの!NAMEはもう正式にうちの子なんだから、堂々としてていいんだよ!何かやりたいこととかないの?」
そうハンジに言われ、NAMEは少し考えてから言葉を続けた。
「…もし、可能だったら、」
「うん、なに?」
「訓練を、見学してもいいでしょうか」
「え?訓練?」
思いがけない言葉に、ハンジは目を丸くした。
「はい。立体起動装置?でしたっけ…。報告書で見ただけなので、どんなものなのか分からなくて。…巨人を倒すにはそれがないといけないんですよね?私、巨人をどうやって倒すのかもよく知らなくて…だから、可能なら、見てみたいなと思ったんです」
「そっか、見たことなかったか…!そりゃそうだ!ぜひ見てくれよ!君のいた世界にも似たようなものがあったのかも気になるな!!…よし!じゃあこれから一緒に見に行こう!」
ハンジはそう言うと、すぐさまNAMEの腕を引き、厩舎へと向かった。
「え、う、馬に乗るんですか?」
「ここから少し離れてるからね。馬の方が速い!さあ、乗って」
「え、えっ、でも、私、乗馬したことなくて…!」
「そうなの?…じゃあ歩いていくか!」
「す、すみません…」
「いーのいーの!馬乗りながら話すと舌噛むしね!立体起動の説明しながら行けばすぐ着くさ」
さあ、行こう!、と声高らかに歩みを進めたハンジは、そこから訓練場までの15分ほど、休む間もなく話し続けた。訓練場に到着した頃には、立体起動が何たるか、NAMEはしっかりと、概要だけは把握することが出来ていた。
「さあ着いた!なんとなく、立体起動については理解出来た?」
「はい!すごく分かりやすかったです!」
「まぁ、聞くよりも実際に見た方がより分かると思うよ。…あ、リヴァイ班だ!おーい」
リヴァイ、という名前にすらドキっと反応してしまう自分に、NAMEはこっそりと頭を小突いた。
ハンジの声に訓練中のリヴァイ班のメンバーがこちらに目を向けると、見慣れない人物に気が付き、ペトラがまず声を上げた。
「NAME!?どうしたの!?」
その声に、リヴァイもピクリと反応し、目をそちらに向ける。
そこには、すでにリヴァイ班に囲まれるNAMEの姿があった。リヴァイは、何か仕事で問題でもあったのかと思い、同じようにNAMEに近付いた。
「あ、リヴァイさん、お疲れ様です」
心配して近付いてみれば、NAMEは何の問題も抱えてなさそうな笑顔を向けてくる。拍子抜けしていると、ペトラがリヴァイに答えを与えた。
「訓練の見学に来たそうですよ!」
そういえば、こいつは立体起動を見たことがないんだったな、と、リヴァイは心の中で納得した。
それにしても、自由にしていいとは言ったものの、まさか訓練の見学に来るとは。
リヴァイは、NAMEの生真面目さにまた心の中で笑った。
「適当に見ていけ。他の班はもう少し奥で訓練してる」
「はい。ありがとうございます!訓練、中断させてしまってごめんなさい。皆さん、頑張ってくださいね」
NAMEの笑顔に、リヴァイ班のメンバーは急激に力が湧いてきていた。
別に、今まで力を抜いてやっていたわけではなく、当然真面目に取り組んではいたのだが、ギャラリーがいる、というだけで無意識にやる気が出てきてしまっていた。
しかし、そんな浮ついた気持ちは瞬時にリヴァイに見抜かれ、班員達は早々に釘を刺されていた。
「…ふふ、どうだい?実際に立体起動の動きを見て」
ハンジは、横で目を輝かせているNAMEを見て思わず笑みが零れた。
「…す、すごいです。ハンジさん…!聞いてイメージしていたのと全然違いました…」
「どう違ったの?」
「こ、こんなに、こんなに自由に飛べるとは思ってみませんでした…!ほんとにすごい…鳥みたい…」
NAMEのその言葉に、ハンジは一瞬目を丸くし、再び笑みを零した。そして、同じように、空を舞うリヴァイ達に目を向け言葉を返す。
「…ああ。そうさ。私達は、自由の翼を背中に持ってるんだ」
・-・-・-・-・-・-・
研究があるから、と言って先に帰ったハンジを見送ってからも、NAMEはリヴァイ班の立体起動の訓練に目が釘付けになっていた。それはNAMEにとって、訓練が終わる時間まで、じっと座って眺められる光景だった。
「はぁぁぁぁ疲れた…!」
「お疲れ様、ペトラ!」
「ありがとう~。てかNAME、ずっとここにいて飽きなかった?」
「全然!!寧ろもっと見ていたいって思ったよ!みんなすっごくかっこよくて素敵だった!!もう私、興奮しちゃって…!」
「あはは。ほんと?そんなに楽しんでもらえたんなら、私らもヘトヘトになるまで訓練した甲斐があるわね」
そんな会話をしている横で、班員達は帰る準備を始めていく。NAMEは、次々と馬に乗っていく班員達を見て、あ、そうか。みんな馬に乗ってきたのか。と思った。
「おい、NAME。何してる。さっさと乗れ」
「えっ?」
ゆっくり歩いて帰ろう、そう思っていると、後ろから黒い馬に乗ったリヴァイが近付いてきた。
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